2016.02.26 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第10章「その6:ミスターフットサル、プリンス、カリスマ……役者ぞろいのオールスター」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 2006年4月15日、関東リーグではオールスター戦なるものが駒沢体育館で開催された。今(2016)、振り返ってみれば、これは画期的、先駆的な試みで、未だにFリーグでも実現できていない。恐らく、今後もしばらくは関東リーグ以外で見ることはできない大会かも知れない。

 形式は、会場投票、インターネット投票で人気選手を選び、これを得票順位の奇数、偶数で振り分けて2チームを作り、勝敗を決しようというものであった。また、来年始まる全国リーグの有料試合を睨んで、関東リーグとしても初めての有料化試合を試みた。ただ、経費の問題もあり、記念のリストバンド1000円をスポーツショップ、フットサル施設で購入してもらう方式とした。このほか、「関東フットサルリーグプレス」なる広告を集めたフリーペーパー形式の広報誌を年4回発刊する試みも行われ、その第1号が会場にて配布された。また、CS放送スカイAでテレビ放送も行われた。

 さて、第1回の関東オールスターに選ばれたフィールドプレーヤーベスト10くらいまでを見てみよう。人気投票なので、当時の関東フットサル界の別の側面を見ることができるかも知れない。

モランゴミルチーロ

 まず、第1位はなんといっても絶大な人気を誇るフトゥーロの上村信之介であった。ミスターフットサルとも呼ばれ、フェイク、足の裏、トーキックシュート、意表を突くパスなど、フットサルの見本満載が人気の秘密であった。2位は、新興勢力のボツワナから北原亘が選ばれた。若さと潜在能力が買われたのであろう。3位は、カスカベウの金山で、スピードスターといわれゴール前への飛び出しに人気があった。4位は、プレデターの岩本昌樹で、プリンスと呼ばれ、華麗なテクニックと切れのあるスピードが売りであった。

 5位は、フトゥーロの渡辺英朗で、黄金の左足あるいは左足の魔術ともいわれた左足から繰り出されるパス、シュートは奇想天外であった。以降、6位にボツワナの太見寿人、7位に高橋健介、8位にカリスマと呼ばれる甲斐修侍、9位にカスカベウの稲田祐介、10位にマルバの緑川毅輝が入った。なお、GK部門では1位ボツワナの内山慶太郎(のちにステラミーゴいわて花巻、現在はフウガドールすみだのGKコーチ)、2位プレデター川原永光(のちに名古屋オーシャンズ、アグレミーナ浜松)であった。

 これらの選手を見てみると、上村(1位)、渡辺(5位)のフトゥーロコンビに根強い人気があったことがわかる。実際は、当時イタリアに渡ってしまった小野も加えたトリオとなるが、3人の絶妙なゴールに至る華麗なパスワーク、シュートシーンは今でも語り草になっている。同じようなパターンでは、カスカベウの金山(3位)、稲田(9位)、甲斐(8位)の3人のトリオも人気があった。甲斐の後方からの鋭い直線的なパスに金山が反応、あるいは稲田がポストで受けて反転シュートは、フトゥーロとは違った直線的な魅力があった。新興勢力では、ボツワナの北原(2位)と太見(6位)のコンビがあった。179センチ、178センチの後ろと前でのフィジカルを生かした力強い連携が魅力になったのであろう。

 このように、フットサルの魅力が連携プレーにあることをファンは見逃していないことがよくわかる。

 また、ミスターフットサル、スピードスター、プリンス、カリスマなどニックネームが付くくらいに特長あるプレースタイルが人気を集めていることも見えてくる。

 果たして、今のFリーグはどうなのであろうか——。

 このように、絶頂の象徴ともいえるオールスター戦であったが、同時に厳しい移籍シーズンをいずれは迎える前兆でもあった。実際、偶数、奇数チームあわせて24名の選手がオールスターに選ばれたが、時期はまちまちであるが、うち17名おおよそ7割の選手がのちに全国リーグデビューを果たし、いったんは関東リーグを去るのであった。

 さて、お宝写真は、もちろん、オールスター選手の選手名鑑である(関東リーグプレスより)。オールスター戦は、ファン投票順位の奇数順位上位12名をミルチーロ(ポルトガル語でブルーベリー)、偶数順位をモランゴ(ポルトガル語でイチゴ)の2チームで戦われた。結果は、ミルチーロが9-6で勝利した。そこで、冒頭の写真はミルチーロ、こちらの写真はモランゴとした。なお、MVPには前半に華麗なパスワークから2得点を挙げた市原が選ばれた。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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