2019.01.07 Mon

Written by EDGE編集部

コラム

月謝は東京並み、移籍・退団は自由、練習しすぎない。「トロンコ旭川FC」が目指す世界基準の選手育成。

写真:TORONCO FOOTBALL ACADEMY

フットサル日本代表としてW杯に出場した高橋健介と、エスポラーダ北海道で主力として活躍した佐々木洋文。2人の名選手が、生まれ育った北海道旭川市で立ち上げたのが「トロンコ旭川フットボールクラブU12」だ。東京並みの月謝、移籍・退団は自由、練習しすぎない……。異例とも言える方針を打ち出したクラブの狙いはどこにあるのか。
(文・北健一郎/futsalEDGE編集長)

旭川から世界を目指す選手を育てる

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 北海道第二の都市、旭川。ここに世界レベルのメソッドを学べるジュニアチームが立ち上がる。

 チームの発起人は、フットサル日本代表としてW杯に2回出場し、スペイン1部リーグでのプレー経験を持つ高橋健介と、Fリーグのエスポラーダ北海道で主力として活躍した佐々木洋文だ。佐々木は2011年に北海道を退団し、高橋は2016年で現役を退いた。引退後、2人は指導者の道に進んだ。

 高橋は古巣のバルドラール浦安の監督を経て、2018年にフットサルのインドネシア代表監督に就任。女子代表を率いて初出場のAFCフットサル選手権で5位という快挙を達成すると、男子代表でも東南アジア選手権3位という結果を出して、アジア各国から注目を浴びた。

 共に旭川生まれ、旭川育ち。小学生の頃から同じチームでプレーし、お互いを「ケン」「ヒロ」と呼び合う2人にはいつか実現させたい目標があった。

「旭川から世界を目指す選手を育てる」

 2人の思いが一つの形になったのが、2016年5月に発足した「トロンコ・フットボール・アカデミー」だ。高橋が監修・アドバイザーに、佐々木が代表と現場のメインコーチを務める。指導スタッフには元Fリーガー、元フットサル日本代表候補など多彩な経験を持つ旭川出身者を揃えた。

 ミスをした選手に指導者が「バカヤロー!」と怒鳴る、「俺の言った通りにやれ」と責め立てる--トロンコには“少年サッカーあるある”とも言える、こうした光景は見られない。スペインリーグで世界最先端のフットサルを学んだ高橋がスクールのコンセプトを説明する。

「僕たちが重点的にアプローチしているのは、認知・決断・実行のうちの認知・決断のところ。例えば、パスの狙いは良かったけど、フィジカル的にボールが飛ばなくてミスになったとします。そこでミスを怒るのではなく、子どもが何をしようとしていたのかを読み取って、正しく評価してあげる。そうすれば自信を持ってプレーできる。旭川に限らずですが、ジュニア年代ではシュートが強いとか、足が速いとか、実行のところにフォーカスが当たりやすい。でも2つ先、3つ先のビジョンが描けるのは一つの才能ですし、そういうタレントを持った選手が埋もれるのはもったいない。目に見えにくいけれども、そうした才能を高めることで、旭川から世界に通用する選手が出てくると思っています」(高橋)

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東京並みの月謝に設定した理由

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