2016.06.10 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第12章「その12:なぜ浦安はFリーグ初年度王者になれなかったのか?」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 第9回関東リーグがフウガの優勝で幕を閉じた約1カ月後の2008年2月3日、小田原アリーナにて、名古屋オーシャンズがFリーグの初代王者を決めた。湘南ベルマーレを5-1で下し、あと2節を残しての優勝であった。今にして思えば、9連覇の始まりである。

 一般的には、名古屋オーシャンズの強さがクローズアップされることが多いが、関東三国志としては、なぜ、バルドラール浦安が初年度優勝できなかったかについて書かざるを得まい。

 なぜなら、名古屋オーシャンズ以外が優勝するチャンスが最も高かったシーズンは初年度であり、それも関東の3チームが恐らく一番可能性が高かったと考えられるからである。周知のとおり、名古屋オーシャンズは、確かに、唯一プロチームとして発足したが、まだ、2年しか経っていない。

 一方、関東3チーム、バルドラール浦安、ペスカドーラ町田、湘南ベルマーレには、関東リーグで鍛えられた長年の技術蓄積、貯金があった。実際、名古屋オーシャンズとて関東出身の選手が大半を占めているから、初年度あたりでは、まだそれほど差がなかったといえる。しかし、時が経てば経つほど、プロとしての練習環境が差をつけるはずなので、今がチャンスというわけである。

 そんな絶好の初年度を関東3チーム、それも最も優勝に近かったバルドラール浦安は、2位で終えてしまった。メンバーを見てみると、浦安は、GK川原永光、市原誉昭、藤井健太、岩本昌樹、中島孝、稲田祐介、高橋健介、小宮山友祐、稲葉洸太郎など錚々たるメンバーで、名古屋の定永久男、完山徹一、北原亘、リカルド比嘉、上澤貴憲、森岡薫、前田喜史、ボラ、マルキーニョスらと遜色はない。

 実際、11節の折り返し点では、勝ち点2差で首位であった。しかし、12節、13節、長野のセントラル大会で、2試合引き分けたのが最初の躓きであった。相手は、デウソン神戸、シュライカー大阪の関西勢であった。一方の名古屋の相手は、当時は下位だったバサジイ大分、ステラミーゴいわて花巻であった。名古屋の方は2連勝、浦安は一気に逆転されてしまった。中盤に差し掛かっての疲れや、首位のプレッシャーもあったかもしれない。惜しむらくは、2日連続のセントラル大会だったため、初日の引分けを精神的に立て直す余裕がなかったことであろう。

 それでも、次の町田戦を8-1で破り、迎えた第15節が直接対決であった。しかし、もし勝てば逆転できるところを、1-4で破れ、勝ち点5差、ここで恐らく勝負はついてしまったのであろう。この時点で、浦安と名古屋の直接対決は浦安の1分け2敗となってしまった。最終成績の勝ち点が53対47で6ポイント差だから、ちょうど直接対決の2敗分に当たる。せめて、直接対決を五分に進めていたら3ポイント追いつくことができ、どうにかなっていたかもしれない。

 そう考えると、関東の残り2チームの戦いぶりが気になるところだ。そこで、町田、湘南の対名古屋の成績はどうだったのか調べてみた。残念ながら、町田、湘南とも3敗で同じ関東のチーム浦安を助けることはできなかった。実に、関東3チーム束にかかっても、1引き分け8敗だったのである。これでは、浦安は優勝できない。つまり、期待された関東の町田、湘南の成績不振が、結果的に名古屋を助けたことになり、唯一、名古屋以外が優勝できるもっとも確率の高いシーズンでありながら、名古屋に優勝を持って行かれてしまった。

 さて、10年目を迎えたFリーグは、今週末(2016年6月11日)からスタートする。初年度は、まだ設立して間がない名古屋の弱点を関東が突けるかが興味の的であった。10年目の今シーズンは、10年経過した名古屋の綻びの弱点を関東が突けるかが興味の的といっても過言ではない。名古屋で長年にわたってエースだった森岡がペスカドーラ町田に移籍して、関東に戻った。そして、2月6日、衝撃的なニュースが走った。森岡の後釜と目された新加入のブラジル代表経験者のシノエが一身上の都合で退団したのである。

 果たして、10年目の今シーズンは、関東の名古屋包囲網が名古屋を苦しめることになるのだろうか。ちなみに、初年度、関東は3チームだったが、10年目は関東5チームと包囲網の数は増えている。そして、名古屋と関東勢の初戦のスケジュールは以下のとおりである。

 6月26日 ペスカドーラ町田 テバオーシャンアリーナ
 7月10日 湘南ベルマーレ  小田原アリーナ
 8月6日  府中アスレティック 府中市立総合体育館
 8月14日 バルドラール浦安 浦安市総合体育館
 8月28日 ペスカドーラ町田 テバオーシャンアリーナ
 9月3日  フウガドールすみだ 小田原アリーナ

 さて、お宝写真であるが、名古屋と優勝争いを演じていた時の浦安の集合写真にしよう。

Fリーグ順位表

 これは初年度Fリーグの第11節の順位表(フットサルナビ掲載の順位表)である。11節は、ちょうど前半戦が終了、浦安が1位で折り返した証拠の写真といえる。浦安が勝ち点28、名古屋が勝ち点26、2差で確かに浦安が1位である。それぞれ1敗しているが、浦安は名古屋に敗戦、名古屋はなんと花巻に負けている。本文で述べたように、ここから浦安にとっては悪夢の長野セントラルの12節、13節、神戸に0-0、大阪に4-4の引き分け、名古屋は2連勝、得失点差でひっくり返されるのであった。

 実をいうと翌年も前半戦終了時点で浦安は1位で折り返している。筆者の記憶では、9シーズンの歴史の中で、前半戦を名古屋以外のクラブが1位で折り返したのは浦安だけではないだろうか。残念ながら初年度は勝ち点6差の2位、2年目は勝ち点2差の2位に終わってしまった。それだけに、今シーズン、5チームになっている関東の名古屋包囲網が連動して名古屋を苦しめ、デッドヒートのFリーグになって欲しいものである。それこそが、現時点のFリーグを盛り上げる特効薬であろう。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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