2016.05.20 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第12章「その6:初めての自国開催。第9回アジア選手権での“3つの誤算”」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 2007年5月13日から19日まで、大阪にて第9回アジア選手権が開催された。本来なら,2003年に予定された自国開催であったが、SARSの影響で辞退、あれから4年の日本開催となった。昨年のウズベキスタン開催の第8回で初優勝、この年はFリーグが始まるとあって、競技フットサル界は順風満帆、絶好のタイミングの開催と思いきや、実は3つの誤算があった。

 一つは、会場が関西となってしまった点である。実は、5千人規模が入る東京の国立競技場代々木体育館がアスベスト対策のための長期改修工事に入り使えない時期と重なってしまったのだ。その影響で、会場は大阪市中央体育館および尼崎市記念公園体育館となった。 

 むろん、この年の1月には選手権予選が関西で行われ、Fリーグに参入するクラブもシュライカー大阪、デウソン神戸の2クラブを擁するなどファンの基盤は固まりつつあったが、関東に比べるとまだ発展途上であった。

 ちなみに2006年、ちょうど1年前の第8回アジア選手権壮行試合ブラジル代表戦は、大阪中央体育館が約5600人、代々木体育館が約8700人の動員で、単純に比較はできないが、1.5倍の開きがあった。

 実際、自国開催とはいえ、予選リーグのフィリピン戦が約1550人、香港戦が600人、タジキスタン戦850人、準々決勝のタイ戦1100人、準決勝キリギスタン戦1500人、ようやく決勝のイラン戦で5300人という動員力で、Fリーグ発足の花火としては、多少誤算があったように思う。

 むろん、関東で開催されたからといって、どの程度動員されたかわからないが、この数字から推察すると、関東で開催されていたら、初めてフットサルを見る観客をもう少し動員できたのでないだろうか。

 2つ目の誤算は、優勝できなかった点もあるが、メンバーに新鮮味にかけた点であろう。1年前のブラジル代表戦に限らず、ここ2,3年の代表メンバーはほとんど変わらず、戦い方も変化はなかった。しかも年1回とはいえ、ここ2、3年はアジア選手権の壮行試合で目に触れる機会はあった。2004年のアルゼンチン戦、2005年のウクライナ戦、2006年のブラジル戦である。

 ちなみに選ばれた選手は、川原永光、石渡良太、小宮山祐介、鈴村拓也、リカルド比嘉、金山友紀、藤井健太、小野大輔、木暮賢一郎、高橋健介、北原亘、岸本武志、小山剛史らである。関西出身の選手が藤井、鈴村、岸本の3人しかいない点も影響したかも知れない。

 したがって、ようやくFリーグが始まる年の自国開催といっても、いざ開いてみたら壮行試合と大きな差は感じられなかった。しかも、海外組の木暮、鈴村、小野は、Fリーグには登場しないのだ。むしろ、イランあるいは噂のサムシャイーを見てみたいという関心の方が強かったのではないだろうか。最終日の5千人の動員がこれを物語っているようだ。最近でいえば、リカルジーニョ見たさと同じである。

 3つ目の誤算は、選手自身の意識の変化が顕在化してきたことである。それは、専門誌ナビやピヴォの報道によるものだが、海外組と国内組のプレーの質、戦術の差みたいなものである。当然、その差はサッカーの例でもあるわけだが、それを埋められるかどうかは選手の意識にある。ちょっと前までは、恐らくその差は簡単に埋められたのであろう。しかし、海外組にとっては海外経験が長くなり、国内組にとっては、Fリーグ開幕真近かとなって、それなりの自負心も生まれた。移籍によって、別の人間関係も生まれた。かくして、プレーの差、戦術の差を埋められない微妙な確執が顕在化したことは想像に難くない。結局、この課題は、2008年ブラジルで行われるワールドカップまで引っ張ることになるのだった。

 遅ればせながら、成績の方を紹介しておくと、このときは、まだ、日本はタイに準々決勝で勝ち、決勝でイランに1-4で負けたものの2002年から続いている5大会連続決勝進出を維持した。しかし、3つの誤算により、Fリーグ開幕、来年のワールドカップ進出に一抹の不安を感じさせて、自国開催アジア選手権の幕は閉じるのであった。

 お宝写真は、イランの優勝集合写真にしよう。当時の日本は、イランに追い付き追い越せの時代で、それがその前の大会でイランを破り、優勝してしまったものだから、次は世界だという風潮があった。その風潮に対して煮え湯を飲まされた写真ともいえる。

日本大会の日本暗い表情

 おまけの写真は、無念が滲み出る日本代表の表彰写真としよう。このたびのワールドカップ出場を逃した誤算は何だったのか、まだまだ検証が必要だが、日本での開催、前回優勝。経験豊富な選手層など、甘い罠がいくつかあったことは似ているような気がする。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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