2016.04.15 Fri

Written by ROOTS

インタビュー

己を磨き続ける“金狼” 森岡薫のROOTS。「自分に自信がないこと、それがルーツ」

来日し、ボールを蹴らない毎日を送る

 日本には行きたくなかった。

「ちょうど、自分に可能性を感じていた時期だったから。オファーをもらって試合をするとお小遣いをくれるし、年齢を証明するために、出生証明書をいつでも靴下の中に入れて歩いていた。学校も休みだったから毎日蹴っていて、もう楽しくて楽しくて。でも、夜に帰宅すると母親に怒られて、手に負えない子どもだった(笑)」。

 それでも選択肢はなく、来日。やってきたのは千葉県市原市だった。

「小学校にサッカー部もあったけどレベルが低かった。1対1をしてみろと言われてやったけど股抜きばっかりできて、しまいには先生も抜いてしまった」。

 その後、成田市に転校すると、サッカー部はなく、中学校でもサッカーをやらずにバスケットボールや野球をしていた。ボールを蹴る機会といえば遊びのキックベースくらい。

「市原にいたときは港が近くて、海を眺めながら、『あっちはペルーだよな、友達とまたボールが蹴りたいな』って、思い出すとつらいときもあった」。

 言葉の壁もあって日本の友達もなかなかできず、ボールを蹴らない日々が続いていた。でも、そういう寂しさも、ボールを蹴らない日常も、時間が解決した。

「18歳の頃には、『そういえばサッカーやってたな』くらいの感覚になっていたし、友達と遊ぶのが楽しくて、いつしかそんな思い出も忘れていた。ワールドカップは見ていたけど、やっぱりそこは自分が想像もしないような世界だから、夢は叶うはずもないと思っていたし、そもそも夢を追い掛けてもいなかった」。

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思い出したあの頃の感覚

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