2016.04.08 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第11章「その4:Fリーグ参入組と地域残留組のプライドをかけた“特別な全日本選手権”」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 2007年1月26日、いよいよ特別な選手権が始まった。Fリーグ参入組にとっては、日本一すなわち天下統一をしなければならない義務があった。それは、10年以上も前から全国リーグ、プロリーグを目指して戦い、夢敗れた数多くのフットサル戦士達の前で、これから始まるであろうFリーグに選ばれし選手達が無様な戦いはできないからである。

 とりわけ、唯一、プロチームといわれた大洋薬品バンフにとって、それこそ尾張名古屋の国からの天下統一は必達の命題であったろう。一方、長らく日本最高峰の地域リーグといわれ続けた関東はその栄誉を守らねばならない意地があり、大阪は地域リーグ2番手の座から虎視眈々と日本一の座を狙っていた。何やら、三国志ならぬ名古屋、関東、大阪の日本の戦国時代の様相を呈した第12回選手権であった。

 この年から、予選リーグおよび決勝トーナメント1回戦までは地方で開催、ベスト4から東京で開催されるようになり、第12回の予選リーグは大阪の舞洲アリーナが舞台となった。

 まず、グループAでは、早くも大洋薬品バンフとボツワナの戦いがあった。この戦いは、のちの第14回大会の衝撃的な結末となる決勝戦と同じ組み合わせである。しかし、そんなことは知る由もない。なによりも、かってボツワナにいた北原はまさかこんなに早く古巣と対戦するとは思ってもいなかったという。

 北原はフットサルナビで古巣対決をこう述べている。「1月の初旬に組み合わせが決まったときから、対戦するのが嫌で仕方がなかった。彼らとは、昔からの付き合いで家族みたいな存在ですからね。うれしかったけど、気まずかった」。と同時に、ボツワナが、1分け1敗で当たることになったことを受けて、「吹っ切れて本来のボツワナになるのだろうな」、「ボツワナを敵に回すと結構むかつきますよ」とも述べ、この時から警戒心を持っていた。古巣の実力を知ってのことであろう。

 この時は、3-2で大洋薬品バンフが勝利、3勝無敗で予選リーグ突破を果たす。ボツワナは、関東の意地を見せることができず、予選敗退となってしまった。しかし、この時の1点差勝負は2年後の戦いに大きな影響を与えたのだった。

 グループBにはファイルフォックスがいた。同一グループには、参入組、九州のエスペランサ(のちのパサジイ大分)と落選組、北海道連合の母体チームDC旭川(のちのエスポラーダ北海道)がいた。DC旭川は、前の年の地域チャンピオンである。ファイルフォックスは、両チームを下して関東の意地、ファイルフォックスの意地を見せて決勝トーナメントに駒を進めた。

 グループCでは、関東の第一代表で参入組のプレデターの戦いぶりが注目された。関東リーグでは下位リーグに甘んじたが、選手権関東予選では本来の地力を発揮、優勝を飾っての出場である。しかしながら、東海代表のプライアグランジにまさかの0-1で敗退、ワイルドカードによる決勝トーナメント進出となってしまった。ちなみに、プライアグランジは、東海予選で大洋薬品バンフと当たりたくないばかりに故意の自殺点で負ける作戦をとり、話題になったチームである。

 グループDは、完全に関東対関西の対決となった。同時にFリーグ落選組対参入組の戦いでもあった。府中アスレティックとマグは、地域リーグでも準優勝と優勝のチームである。結果は、直接対決は両者譲らす1-1の引き分け、得失点差で1位がマグ、2位が府中となり、マグが1位抜け、府中はワイルドカードで決勝トーナメントに進むことになった。

 最後のグループEは、参入組のAMV(のちのステラミーゴ岩手花巻)は、良いところなく、予選敗退、決勝トーナメントに上がったのは、落選組、北海道連合の母体チーム、アルーサであった。

 続いて、予選グループ1位通過の5チームとワイルドカード3チーム、合計8チームの決勝トーナメント1回戦が行われた。

 まず、大洋薬品バンフは、ファイルフォックスと同組のワイルドカードで進出した東北の強豪ディアボーイズを5-0で一蹴、東京行きを決めた。

 続いて、ファイルフォックスは、同じ関東同士のプレデターと対戦、2-1でプレデターを退けて、東京へ戻ることができた。プレデターとしては、予選リーグでプライアグランジに破れ、ワイルドカードに甘んじたことが最後に響いた。それでも、残り0秒の時計を指していたところでゴール、同点に追いついたかに見えたが、ゴールは認められず、涙を呑んだ。

 続いて、府中アスレティック対プライアグランジは、さすが関東リーグの強さを見せつけた府中が6-1で快勝、東京へ凱旋となった。

 最後は、マグ対アルーサ、こちらはマグがホームの強みを見せ、安定した戦いぶりでアルーサを2-0で下した。

 こうして、参入組、落選組入り乱れての戦いだったが、奇しくも、東京での戦いは、大洋薬品バンフ、マグの参入組、府中アスレティック、ファイルフォックスの落選組、仲良く2チームに分かれての戦いとなった。また。名古屋、大阪の西と、江戸ならぬ東京とまさに戦国時代の天下統一を争った地域同士の戦いとなったことは大変興味深い。

 さて、大洋薬品バンフがFリーグ発足に先立って関東から大型補強を行ったため、古巣対移籍組の対決があった。1つ目は、先ほども紹介したボツワナ対北原の対決である。2つ目は、準決勝の対決になるがファイルフォックス対難波田、森岡、定永らの対決である。当時のフットサルナビの表紙も大洋薬品バンフとファイルが対決している様子が描かれている。あれから、10年、今や、移籍は当たり前のようになり、古巣対決は珍しくなくなってしまった。新鮮なFリーグが懐かしい。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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