2016.03.19 Sat

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第10章「その10:“サッカースタイル”で関東リーグの勢力図を塗り替えたボツワナ」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 リアルの戦い、全国リーグ参入を賭けた「場外の戦い」、どちらも節目を迎える時期が来た。2006年9月23日が関東リーグ1stステージの最終日、9月30日が全国リーグ応募の締め切り日である。

 さて、1stステージの結果は、どうであったろうか。興味としては、上位6チームの行方と上位のべスト4の行方であることは間違いない。上位6位チームは、2ndステージで優勝争いにからむことができる。上位ベスト4チームは、選手権の都県予選免除の権利を得ることができる。結果は、1位ボツワナ、2位カスカベウ、3位ファイルフォックス、4位府中アスレティック、5位シャークス、6位マルバで、これらチームは上位リーグ進出である。下位リーグは、7位プレデター、8位ロンドリーナ、9位ブラックショーツ、10位フトゥーロ、11位コロナ、12位セニョールイーグルとなった。

 一方、全国リーグのエントリーの方は、のちにわかったことであるが、関東勢は最終的にはカスカベウ、府中アスレティック、プレデター、ロンドリーナ(湘南ベルマーレとしてエントリー)、シャークス、八王子のヴィオフットサル八王子、小金井ジュールが申請を行った。もっとも、シャークス、ヴィオフットサル八王子、小金井ジュールは、恐らく体育館の規模が大きな理由と思われるが、詳細審査、ヒアリングの前で不合格となってしまった。(関東以外では九州のスポルバ21が申請を行ったが、事前ヒアリングで不合格だった)

 この結果、関東リーグ優勝の可能性があり、全国リーグ参入も可能性があるチームは、カスカベウと府中アスレティックのみであった。こうしてみると、全国リーグ参入組を抑えたボツワナの上位リーグ1位は目覚しい躍進振りである。実際、ロンドリーナ、府中アスレティック、プレデターに勝利、カスカベウには引き分け、準参入組ともいえるファイルフォックス、フトゥーロを破っている。

 この躍進振りは、どう考えたらいいのだろうか。

 10年前からフットサルを始めた既成チームは、サッカーからフットサルに転向する経緯の中で、いわゆるミニサッカーの域を脱したかに思われた。それなりに、サッカーとフットサルは別のスポーツであるくらいの技術を確立したのである。しかし、いとも簡単にボツワナは、シンプルなカウンター攻撃と後方からのロングボールで次々と既成チームを倒し、開幕6連勝を飾った。とりわけ、太見寿人、星翔太の前線と木村幸司、関健太朗、GK内山慶太郎などの後方から縦の直線的なロングフィードは、逆に、新鮮な戦いぶりに感じたものである。

 そればかりではない。駒場高校、暁星高校のサッカー部OBの集まりという生い立ちから、ほかのチームにはない同窓の団結力と部活経験という規律心、何よりも、全員が1980年代生まれの若さが強みである。また、須賀雄大が専任の監督になり、ミニサッカーからフットサルへの脱皮を図るべく、単なるミニサッカーではないさまざまの戦術を取り入れ、チームとしても技術的に進化したといえる。2008年、フウガと改名して、選手権で名古屋オーシャンズを破って優勝した原点はこの頃の躍進にあったといっても過言ではない。

 さらに言えば、ボツワナはまだ若さゆえ、全国リーグ参入は現実的なものとはならなかった。したがって、全国リーグ何するものという反骨の気持ちも躍進の原動力になったのではないだろうか。

 これに対して既成勢力のチームはどうかというと、それぞれのチーム事情はあるものの、全体として、チーム力は踊り場にさしかかり、なかなかブレークスルーできない時期といえた。技術的、戦術的に限界が来てもおかしくない年月が経っていたのだ。既成チームには全国リーグ達成を目指してきた達成感、安堵感もあったかも知れない。この頃、まだ、鈴村、木暮、小野はスペイン挑戦真っ只中で技術を日本に還元できていない。日本代表監督も、サッポ監督で、スペイン人監督ミゲルになるにはまだ時間がかかった。むろん、スペイン流が全てというわけではないが、何か技術的、精神的にブレークスルーを求めていた時期であったといえよう。

 それを象徴するかのような衝撃的なニュースが飛び込んできた。ファイルフォックスの難波田治が、1stステージを終わったところで、自ら大洋薬品バンフに移籍を決断したのだった。難波田にとっては、府中3チーム連合がならなかった理由もあるが、1998年以来、約8年間続けてきたフットサルをより一段とレベルの高いものにしたかったに違いない。そのためには、府中、関東を飛び出す必要があった。

 全国リーグ設立は、あきらかに技術レベルのみならず今まで築いてきた人脈も含め、競技フットサルの構造を変えようとしていた。

 さて、お宝写真は、快進撃を続ける新興勢力ボツワナにしよう。

ボツワナ

  フットサルナビの関東リーグページではボツワナが大きく取り上げられている。実をいうと、この記事のタイトルである「逃げるボツワナ」とは結果的にはならず、古豪が復活してこの年の関東リーグは終わる。最終順位はお楽しみにとっておくとして、そこには、全国リーグ設立という力学が働いたのである。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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