2016.03.07 Mon

Written by EDGE編集部

インタビュー

“よく泣く女の子”から“フットサル女子日本代表のエース”へ。吉林千景を変えた3つのターニングポイント。

2015年9月に行われた、AFC女子フットサル選手権。フットサル女子日本代表は準優勝を果たし、吉林千景は最多得点者(7点)に選ばれた。日本女子フットサル界のエースとして輝く、吉林が歩んできた道。そしてこれからの目標とは――。
(文・鈴木智之/フットボールエッジ編集長)

スペインでぶつかった言葉の壁

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よく泣く女の子、というのが彼女のイメージだ。

5年前、初対面の彼女は「サッカーを続けるか、どうしよう」と言って泣いていた。あれから月日が流れ、高校生だった少女は大学生になり、スペインに渡って武者修行をし、フットサル女子日本代表のエースになった。

2015年に行われたAFCフットサル選手権では7得点をあげて、大会最多得点者に選ばれた。多くの経験が彼女を変えたのは間違いない。海外での経験、国際大会での活躍で自信をつけた部分もあるだろう。それでも、久しぶりに会った彼女はインタビューが始まって5分が立つ頃、「たぶん私、めっちゃ泣きますよ」と言ってカバンからハンカチを取り出した。話題がスペインでの武者修行について及んだときのことだった。

吉林が大学1年生の頃、女子選手を対象としたセレクションがスペインであり、1週間のトレーニングに参加した。そこでのプレーが関係者の目に止まり、1年後にオファーが届いた。それがスペイン・バレンシア州にある、アリカンテという大学のクラブだった。ある目標のために、自身のレベルアップが必要だと感じた吉林は、そのオファーを受けてスペインへ渡った。

スペインでの武者修行で、最初にぶつかったのは言葉の壁だった。

「スペインでプレーしていたときは、当たり前ですけど、周りはスペイン語なので、指示をされて、理解して、動き出すまでに時間がかかるんですね。ひとつでもわからない単語や指示があると、そこで止まってしまうんです。それで、やばい!となって…。言葉や指示がわからないことで、気持ち的にも後ろ向きになってしまい、1対1の場面でも仕掛けない、シュートを打てるときもパスをしてしまうという感じで、負の連鎖に入っていました」

異国の地で言葉もわからず、プレーも思うようにいかない。精神的にきつかった日々を思い出すだけで、吉林の目は潤んでくる。しかし、下を向いていても始まらない。スペイン語を必至で勉強し、チームメイトと積極的にコミュニケーションを取ることで、コートの中で周りの選手や監督が何を言っているか、少しずつ理解できるようになっていった。

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スペイン帰国後の葛藤

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