2015.12.23 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第9章「その5:ファイルvsカスカベウの天王山。ドラマを生んだ甲斐&金山ホットライン」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 2005年6月11日(土)、栄華期のピークシーズン第7回関東リーグが始まった。ピークシーズンにふさわしい激戦が繰り広げられる予定であったが、残念な事件が一つあった。それは、ロンドリーナのシーズン開始前の大事な代表者会議無断欠席である。前年にロンドリーナ、ゾットが同じようなルール無視を行い、リーグ全体で注意を喚起、ペナルティを強化したばかりの出来事であった。

 処分にあたっては、リーグ内でいろいろな議論があったが、2年連続であることから、前期の1stステージの出場停止、後期の2ndステージの下位リーグから出場を許可する裁定が下った。厳しいという意見もあったが、やがては全国リーグが設立される状況の中、チーム運営力向上も試されるわけであるから、やむを得ない措置であった。

 このような残念な出来事があったにもかかわらず、開幕節は府中市総合体育館で行われたこともあって、全試合超満員の大盛況であった。関東のフットサルファンが待ちに待った幕明けといった熱気が会場には溢れていた。

 ちなみに観客数は第1試合の府中アスレティック対サルバトーレソーラが1068人、第2試合ファイルフォックス対ボツワナ、1316人、第3試合シャークス対ガロ、1236人、第4試合カスカベウ対フトゥーロ、1239人で、延べ4859人であった。これは、府中市総合体育館での関東リーグ観客動員数記録を塗り替えトップとなった。

 ちなみに、現在、2015シーズンの府中総合体育館でのFリーグ第2節府中アスレティック対ヴォスクオーレ仙台戦が1108人、第8節名古屋オーシャンズ戦が1358人であるから、いかに当時関東リーグが、絶頂期にあったかがわかる。

 結果の方は、第2試合のファイルフォックス対ボツワナで番狂わせがあった。ボツワナが前年度無敗優勝のファイルフォックスを前半2-0、後半4-2の予想以上の大差をつけて勝利、早くも関東リーグ金星の初勝利を挙げるのだった。

  続いて、第4節は7月16日(土)駒沢屋内球技場で行われた。駒沢屋内球技場での観客動員数の最高は、第6回の第8節で、5試合で述べ3234人。人気のカスカベウ対フトゥーロ戦で1026人の観客を集めた。それが、第7回になって、第1試合カスカベウ対プレデター、1012人、シャークス対ブラックショーツ923人、第3試合府中アスレティック対マルバ、1132人、第4試合ファイルフォックス対フトゥーロ、1391人となり、延べで4458人、こちらもあっさり過去最高の動員数を記録した。

 結果の方は、第1試合、カスカベウ対プレデターは、カスカベウが9-5で勝利した。この試合から、プレデターはゴールキーパー川原永光が静岡の田原FCから移籍、デビュー戦となったが、デビュー戦を飾ることはできなかった。しかし、プレデターは全国リーグ参入を睨んで戦力強化を着実に進めているのであった。第4試合のファイルフォックス対フトゥーロ戦は、ファイルフォックス木暮がスペインに渡るため、木暮のファイルでのラストマッチとなった。結果は、6-5でファイルが勝利、木暮はハットトリックどころか4点を決めて関東リーグ有終の美を飾った。

 7月16日(土)の第4節を皮切りに今シーズンから試合数が1,5倍に増えたことを受けて8連戦が始まった。今でこそ全国リーグも出来て、毎週末試合があるのは当たり前になっているが、7月16日の第4節から第11節の9月3日までの8連戦は関東リーグ始まって以来のことであり、これを称して真夏の8連戦と呼ばれた。この8連戦は熾烈な戦いとなり、真夏の8連戦が終わり、残り2節となった段階でも1チームも上位リーグが確定しない大混戦となった。上位リーグに残れるのは6チーム、しかし7位までが2節を残して、勝ち点3差以内にひしめいているのであった。

 その極めつけは、9月3日(土)、真夏の8連戦の最終11節、寒川総合体育館で行われた関東三国志の両雄ファイルフォックス対カスカベウ戦であった。ここまで、カスカベウ、プレデター、ファイルフォックスが勝ち点で並んでいて、前の試合でプレデターとシャークスが引き分けたから、両者どちらかが勝てば1位になる戦いであった。しかも、勝った方は、上位リーグ確定という試合であった。後半残り33秒まで2-1でファイルフォックスがリード、堅守のファイルがこのまま逃げ切るかと思われたカスカベウのキックイン、キッカーは曲者の甲斐修侍だった。そして、ゴールの遠く向こうには金山友紀がいる。甲斐はトウキックでゴール前にボールを送ると、そこへ金山が走りこんでヘッドで合わせ、同点ゴールを叩き込んだ。甲斐、金山のホットラインが土壇場でファイルの勝利を阻んだのだった。宿命のファイルフォックスとカスカベウ対決は、関東リーグ3試合連続引き分けとなり、雌雄の決着は2ndステージまで持ち越すこととなった。それにしても、この先、秒を争うキックインのドラマが2試合も続くと誰が想像しただろうか。

 こうして、真夏の8連戦の結果はカスカベウ、プレデター、ファイルが同じ勝ち点で並び、得失点差で1位、2位、3位となった。4位にはトップとは勝ち点1差でボツワナ、5位フトゥーロ、6位府中アスレティックは勝ち点2差、7位シャークスは勝ち点3差であった。続いて、ブラックショーツ、ガロ、サルバトーレソーラと続き、最下位は出場していないロンドリーナで勝ち点ゼロ、得失点差マイナス36点である。しかし、サルバトーレソーラはこの時点で勝利がなく、得失点差でロンドリーナより下回る結果となってしまった。

 さて、お宝写真は、フットサルナビの1stステージの試合レポートから。後半残り33秒のファイル対カスカベウ同点の記事にしよう。ファイルの森岡薫が1点勝ち越しのゴールを挙げた記事が載っているが、当時はまだ花開いてはいなかった。また、同点の甲斐、金山のホットラインは有名であったが、多くは甲斐のスルーパスに合わせて金山がスピードスターの異名らしく飛び込むものであるが、浮かせたボールにヘディングで合わせるゴールは珍しい。この真夏の8連戦でのカスカベウ、プレデター、ファイルの熾烈な戦いはもはや伝説といってもよく、当時のメディアはこぞってこの8連戦の模様を報じていた。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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