2015.11.19 Thu

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第8章「その2:伝説の名勝負となったファイルフォックスvsロンドリーナの準決勝」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 鈴村、木暮、小野の3人が世界に挑戦している頃と併行して、2005年2月4日から6日、記念すべき第10回全日本選手権が開催された。日本代表を選考するために開催されたといっても過言ではなかった1996年の第1回選手権から数えて、10年が経ったわけである。

 この10年で、サッカーチームが強かった時代から、日系ブラジル人にフットサルを学び、王国ブラジルに挑戦、ついにはヨーロッパへ、世界へ挑戦するまでに日本のフットサルが進化したのかと思うと感慨深いものがある。

 ちなみに、選手権には出場できなかった府中アスレティックが、2月中旬、イタリアへ遠征している。チームとしてのヨーロッパ遠征は、2003年のプレデターのスペイン遠征以来である。

 さらに、全日本選手権優勝チームは世界クラブ選手権と目されるインターコンチネンタルカップに出場できることも設立当時は想像もつかなかったことである。

  本来なら、クラブ世界一を決める大会なので全国リーグ優勝チームが代表としてはふさわしいのであろうが、それは少し時期を待たねばならない。もっとも、全国リーグが出来てからは、インターコンチネンタルカップ自体が世界景気の後退影響から開催が厳しくなっていることやアジアクラブ選手権が設立されたことで、日本からの出場は途絶えている。 

 それにしても、日本の選手権は、全国リーグがまだなかったこと、アジアクラブ選手権がなかったことから、当時は直接世界につながっていたのである。

 優勝すると、4月に行われる2005年のインターコンチネンタルカップに出場できる。そして、優勝を飾ったのは、ファイルフォックスであった。ファイルフォックスは、初戦のカスカベウ関西にこそ2-2の引き分けに終わったが、順調に予選リーグを突破、準決勝は、関東同士すなわちロンドリーナとの対戦となった。

 ロンドリーナは、後半開始3分で1-4の3点差とされるとすかさず奥村のパワープレーに出た。奥村のパワープレーは、関東予選のカスカベウ戦でその効果は証明済みである。ファイルフォックスも予測していたとはいえ、あっという間に得点を重ね、残り2分でなんと6-6の同点にしてしまう。恐らく、このパワープレーは、結果的に負けたとはいえ歴史に残るパワープレーとなろう。

 パワープレーといえば、2010のFリーグ開幕戦、エスポラーダ北海道対名古屋オーシャンズ戦で最初からエスポラーダがパワープレーに出たことで賛否両論の議論があった。

 また、2014年、シュライカー大阪がパワープレーではないが、キーパーが前戦に上がり、ボールまわしを頻繁に行って、面白みに欠けるのではないかと物議を若干かもした。結果的にエスポラーダはその後の展開を思いどおりに進めることができ、引き分けに持ち込んだ。また、シュライカー大阪もプレーオフで名古屋オーシャンズを苦しめた。

 6-6の同点からファイルフォックスの勝ち越し点を決めたのは、新加入の稲葉であった。稲葉は、残り1分、相手のボールを奪うと右サイドを得意のドリブルで突破、そのまま思い切りよくシュートを放って、準決勝のヒーローになった。続く、決勝は静岡のエマーソンFCだったが、これを難なく7-1で下し、ファイルフォックスは3年ぶり4度目の優勝を飾ったのだった。

 なお、決勝戦は、全国リーグ設立に向けてのトライアルだろうか、有料試合(千円)が試みられた。また、有料に関する意識や入場者のプロフィルのアンケート調査も行われた。これは、全国リーグが設立された場合の収益性の調査にほかならない。このとき、前売りチケットは完売、駒沢体育館には1885人が詰めかけた。10年目にしてトライアルとはいえ、有料まで漕ぎつけたのである。 

 この年のファイルフォックスは強かった。選手権に先立つ1月22日に最終節を迎えた第6回関東リーグは9勝2分けの無敗優勝(2位は府中アスレティック、3位はシャークス)、第10回選手権優勝、3月25日から行われた第5回地域チャンピオンズリーグ優勝(2位はシャークス、3位は府中アスレティックで、関東のチームが独占)といわゆる当時の3冠を達成した。

 ちなみに、ファイルフォックスは前年の選手権決勝でバンフ東北に負けて以降、都のカップ戦、関東リーグ、全日本選手権、都カップ戦と公式戦無敗連続26試合を記録している。(無敗記録に土をつけた相手はカスカベウで3月13日の都カップ戦準決勝の試合だった。)

 こうして、4月4日、ファイルフォックスは、選手権優勝、地域チャンピオンズリーグ優勝と文句のない日本の代表として、スペインのプエルトジャーノで開催されるインターコンチネンタルカップに向けて跳び立った。

 お宝写真は、伝説の全日本選手権準決勝ファイルフォックス対ロンドリーナの一戦、ロンドリーナの奥村のパワープレーとしよう。囲みの写真は奥村が直接シュート、ゴール左隅に決めたあとのガッツポーズ。写真手前のフィールドプレーヤーは、現在、湘南ベルマーレの監督、横澤直樹、ゴールキーパーは、現在、シュライカー大阪のコーチ定永久男である。奥のファイルのプレーヤーは木暮であるから、今やこのとき戦った4人は、Fリーグの監督、コーチとなっている。

FIRE優勝

 もうひとつ、ファイルフォックス全日本選手権優勝4度目に敬意を表して、サポーターにその報告をしている写真を掲載しよう。後姿ではあるが、10番板谷、7番稲葉、3番吉成、5番北らが映っている。のちのことになるが、Fリーグ設立の影響もあって、以降、全日本選手権優勝は途絶えている。今のところはこれが最後の優勝記念写真である。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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