2015.11.19 Thu

Written by ROOTS

コラム

ナショナルチームの“多国籍化”を見て思うこと。外国出身選手はなぜ、日の丸を背負って戦うのか

日本のスポーツ界において、外国出身選手が国内でプレーすることは今現在、何も珍しいことではない。それと同様に、ナショナルチームにおける外国出身選手の帰化ということにおいても、実はかなり前から様々な競技で受け入れられてきた。事実、サッカーやフットサルでも、以前から日本国籍を取得した外国出身選手が日本代表に名を連ねてきている。それに、ラグビーでは全く異なる規定が設けられ、「日本人じゃないと日本代表になれない」ということですらない。そこで浮かんでくるのは、外国出身選手はなぜ日本代表を選んだのかという疑問だ。そこには、決して「日本代表」だけがゴールではないという、選手それぞれの理由があるようだった。
(文・本田好伸)

「迷いなく、100パーセントの気持ちで日本を選んだ」(酒井ラファエル良男)

 ラグビーワールドカップ2015で日本代表が南アフリカ代表に歴史的な勝利を飾り、五郎丸歩というスター選手の台頭やその後の躍進とも相まって、国内に空前のラグビーブームを巻き起こした。そんななかで、代表チームに所属する31人中10人の、外国籍選手や日本に帰化した外国出身選手が話題に上ることがあった。

 これまで、日本のスポーツ界でも、“外国人”が日本国籍を取得してプレーするのはよくあることだった。サッカー日本代表でも、ラモス瑠偉や呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王など、帰化選手が度々、日本代表に名を連ねてきた。それにラグビーでは、ナショナルチームであっても、居住する国や地域をベースにするという背景があり、それ自体は決して非難されるようなことではない。

 ただそうしたなかで常々思うのは、彼らはどうして日本代表としてプレーするのか、帰化した選手を含めて、外国籍選手がなぜ日の丸を背負って戦うことを選ぶのか、ということだ。そんな疑問に、とあるフットサル選手が一つの答えを示してくれた。

 現在のフットサル日本代表には数名の帰化選手が所属している。2年連続でFリーグ得点王、最優秀選手賞を獲得した名古屋オーシャンズの森岡薫もペルー出身であり、2012年に帰化の申請が下りて日本代表入りを果たした。そして15年4月に帰化が認められた名古屋の酒井ラファエル良男もまた、直後の5月から代表メンバーに名を連ねている。

 「僕はブラジル生まれのブラジル人だったけど、祖父や祖母の影響でブラジルでも日本の文化に触れていた。だからこそ、ブラジル代表になることと同じくらいの気持ちで日本代表になることに誇りを持っている。そして来日してからはさらにその気持ちが高まった」

 一度でも日本代表として公式戦でプレーすると、もう二度と他国の代表としてはプレーできない。ブラジル代表を狙えるポテンシャルを秘める酒井は、そこに迷いがなかったのだろうか。「僕は日本文化から影響を受けていたし、日本を背負って戦えることが幸せ。そこに迷いはなく、100パーセントの気持ちで日本を選んだし、それで日本代表になるチャンスをもらえた」

 酒井の言う「そこに迷いはなかった」という言葉には、もう一つの感情がある。それは、酒井が帰化という道を選ぶ際、必ずしも日本代表が第一目的ではなかったということ。「日本代表に選出される可能性があることは確かにプラスアルファだったかもしれない。でも一番は、この日本というすばらしい国で、より長く生活できる可能性が高まるということ。日本が大好きだからこそ、そこが最大の理由だった」

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「もし日本代表になれたら、全身全霊でプレーする」(イゴール)

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