2015.11.08 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【インタビュー】湘南・久光重貴の今。「限られた時間の中で、100%でやり続けたい」

僕をフットサルの「入り口」にしてほしい

P1060496

——改めて聞きます。久光さんにとってフットサルとは。

僕自身はプレーをすることも好きですし、ボールを蹴ることをずっと続けてきて、今この環境に置かせてもらっていることに感謝をすることと、何よりもいろいろな人をつなげてくれたなと。フットサルをやっていなければ出会うことがなかった人がたくさんいるわけで、その人たちとの出会いを作り上げてくれたし、その出会いの中で自分の人生がどんどんどんどん変わっていったなと。

“人生そのもの”というか、今自分が生きている時間もそうだし、今までの時間も共有してきたりだとか、してきたことは、本当に財産だなと思っています。短い時間だった人もいれば、長い時間ずっと一緒にいる人もいる。その多くがフットサルを通じてつながったものだし、それを与えてくれたスポーツはこれからも大事にしていきたい。だからこそ、もっともっと盛り上がってほしいし、一度見て魅力を感じてほしい。

それに、フットサルをやっていなければ、Fリーガーじゃなければ、健康診断で病気が見つかることもなかったので。病気が見つかって、支えてくれたのも、ボールを蹴る仲間のつながりですし。フットサル選手だったから、この病気について伝えられるチャンスももらえる。僕が伝えたいのは、病気があったとしても“病人”にはなってほしくないということ。前向きになって何かやろう、何かにチャレンジしようって思えばいくらでもできる。それを決めるのは自分の心の中だし、そこを僕はできるっていうのを伝えていきたい。 

——その一方で、体のことだけを考えたら、フットサルを、これだけ追い込んだりとか、激しい接触があったりとか、やんないほうがいいんじゃないかっていう意見もあると思いますが。

小児がんの子供たちを支援しようと「フットサルリボン」活動を始めた時に、たくさんの子供たちが病気で苦しんでいる姿を見て、その子たちが生きられる時間もそうだし、小さな体で苦しんでいる姿を見ると、34年も生きてこられたこと、それ自体が奇跡だなと思います。長く生きるのも大事なことかもしれないけども、僕は限られた人生の中で伝えたいことがあるし、Fリーグでプレーできる可能性がある。それは一般人の、34歳の久光重貴じゃ、できないことなんです。

確かに、体に負担がかかるんだから無理すんなよ、止めとけよって言われますけど、じゃあ僕の代わりにそれができますか。たぶんできる人はいないと思います。僕に力を与えてくれたのは、スズさん(鈴村拓也/デウソン神戸)だったし、スズさんががんになって、治療を経てピッチに立てるという姿を見せてくれたから、僕自身も頑張ろうと思えた。僕は、スズさんからバトンを受け取ったつもりで、次の誰かに受け渡すためには、子供たちもそうだし、僕を見に来た人たちが、頑張ろうって気持ちになってくれて、その人たちの輪がこう広がっていってくれたら、いいバトンがどんどん広がっていく。それが、まず一つやり続けることってできるのかなって。

——今は誰かのためにフットサルをやっているという感覚が強いのでしょうか。

誰かのためにやっているわけではなく、僕がやりたいことをやって、人を勇気づけられるのであれば、たぶん自分のためだけに頑張ってるよりも、自分のためにも頑張るし、人のためにも頑張るっていうに風になる。気持ちが折れそうになったときに、自分のためにという気持ちだけだったら、たぶんすぐ折れちゃうと思うんです。でも、折れないでやれるのは、支えてくれるたくさんの人がいるから。

——久光さんの本を読んで、最初に入った病院で同じ部屋になられた人が、今はもう全員亡くなられたという話があって、それがすごくショックでした。

でもそれも現実なので。この病気になって、知り合う人が増えていけば増えていくほど、悲しい思いをすることもある。「試合、見に行くよ」って笑顔で言っていた姿を最後に会えなくなってしまったこともある。でも、僕もいつかそうなるから。でもそうなるかもしれないけど、そこまでは笑顔で努力し続けたい。赤ん坊として生まれて、たどり着くところはみんな死ぬところだと思うから、その死ぬまでの時間に何をしたかという内容がすごく大事なんだと思います。ありがたいことに、僕には湘南ベルマーレ、Fリーグという場所がある。そこにいれたことにも感謝だし、その環境がなければたぶん頑張ることもできなかったし、頑張ろうとも思わなかったし、本当に自分一人じゃ何もできなかったなと思います。

——「がんと戦い続けるフットサル選手」としてフューチャーされることに関しては、どのように感じていますか?

入り口はなんでもいいと思うんですよ。でもフットサルっていうスポーツがこんなに楽しくて、こんなに魅力的なスポーツだっていうことを、まずは知ってもらいたい。そして、今子供たちも含めてフットサル人口が増えているのに、Fリーグは見に来たことがないっていう人が多い。入り口が僕だとしても、そこで他の選手を見て、他の選手のファンになってくれたらもっとうれしいなと。湘南の久光重貴を見に来たけど、名古屋の森岡薫ってすげえな、あの選手かっこいいなってなったらそれはそれで僕はうれしい。そういったファンを少しずつ増やしていくのが、僕が頑張れる意味っていうのも一つあるかなと。

——Fリーグのお客さんがなかなか増えていかない現状については?

僕はいち選手ですけど、もっともっと選手も含めて、Fリーグの魅力、フットサルの魅力っていうのを伝えていかないといけない。それぞれの選手が、みんなが、Fリーグのために、フットサルのために行動し始めれば、たぶん変わってくる。フットサル見たことない人たちを巻き込んでいくことで、もっと盛り上がってくるんだろうな。

——最後に、今シーズン残り少なくなってきましたが、目標は立てていますか?

治療を含めて、どうなっていくかというのは見えないですけど、やれる限りのことはやらなければいけないなって。試合に出ても出なくても、チームの一員として、やれることってたぶんある。そこをブラさずにやっていきたい。そして、ピッチの上に立ったときに、みんなが笑顔になれるような選手になりたい。帰って来た、良かっただけではなく、ゴールを決めたり、チームが勝ったりしたことで、周りの人が笑顔で会場をあとにしてくれるような試合を見せたいですし、僕自身もそれに向かって努力しなければならない。1試合でも多くピッチに立って、1回でもボールを多く触ること。本当にそれが今の目標です。

<関連リンク>
湘南ベルマーレフットサルクラブ
久光重貴ツイッター
がんでもプレーを続ける 元フットサル日本代表 久光重貴 笑顔のパス(Amazon)
「笑顔の連鎖」久光重貴サロン

1 2 3

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事