2015.11.08 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【インタビュー】湘南・久光重貴の今。「限られた時間の中で、100%でやり続けたい」

伝えられることがある限り、やり続けたい

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——久光さんはがんと戦いながらプレーするという部分でも注目されていて、試合に出ることが一つのニュースになるぐらいです。そこに正当な競争があるのかと思う人もいるかもしれません。

僕ががんだから、試合に出るようになっちゃったら、そこが辞めどきなんじゃないですか。チームに迷惑をかけるのもそうですけど、他の選手たちのモチベーションも下げるだろうし、僕がいることで、プラスのことが何一つなくなっちゃうと思うんですよ。でも、試合に出なかったとしても、何かをやるために自分がやり続けることや、伝えられることがあるうちは、僕はやり続ける気持ちでいたいし、でもそれができなくなったときは、自分がこのクラブに携わっていくことがマイナスになったときは、それはしっかりと自分で見極めて、「もうできません」と伝えなきゃならないなと。

——ピッチに立ったとき、他の人と同じようにセットに入って、5分プレーするのは難しい。その中で自分は何をピッチでは出せると思って立っているんでしょう?

5分間という時間を与えられる選手にとっては、「5分間で何かをしようか」って考えるんでしょうけど、僕の場合は1分でも2分でも、限られた時間でも与えられたら、そこの時間は100%全力でやり続けたい。その時間は、他の選手と違いのないように。

——なるほど。

そこが100%でできるようになって、その時間を延ばせたら良いことですし。でも今一番思うのが、その短い時間の中で結果を出すためには、一つのボールコントロールだったり、シュートの精度だったり、本当に上げなければならない。実際に1分という限られた時間の中に、1本のシュートチャンスで決めるか決められないかっていうのは、本当に練習の成果でもあるんじゃないかな。それを決められる選手であれば、常に必要とされる。そうならなければ、僕はいつか、いらない選手になっていく……。そういう世界であってほしいし。自分は出たいと思っているけれども、自分が出れてしまう環境というのは少し寂しいなと。

——逆に久光さんが試合に出られる状況だとしても、メンバーにかすりもしないとなれば、それだけ他の選手たちの実力が上がったということですよね。

そういうチームにするために、僕自身も1試合1試合の大事さ……僕はもう限られた試合でしかないですし、じゃああと100試合出られるかって言われたらたぶん難しいと思いますし、限られた1試合、その中の1分、2分という時間を、どう選手として立ち振る舞うか、どう全力でプレーできるかなんで。この間の試合でも、1本シュートを外したときに、悔しい気持ちもそうですけども、もう打ってしまったこのシュートは戻ってこないなと思ってたんです。当たり前のようにシュートを打って、当たり前のように外して、次、次っていう感情になれない。“次”はいつ来るか分からない。だからこそ、その1本を、どれだけ大事にできるかという風に、この間の試合で感じてましたし、その気持ちをみんなが持てるようになったら、すごい意識の高いチームになる。

——久光さんの中で「フットサル選手として、ここまでやる」というリミットはあるんでしょうか。

やれる限りは頑張りたいと思うんですけど、いつかは、走れなくなるときが来たときに、練習に参加できなくなるくらい体力がなくなってできないってなれば、辞めるって結論をしなければならない。ただ、辞めるときは自分では決めちゃいけないと思っています。それはサッカーの湘南ベルマーレでプレーしていた加藤望さんから言われたことで、やりたくてもやれる環境がなくなるし、いくらいい選手であっても、やれる環境がなければ、いい選手じゃなくなっちゃう。でも、やれる環境があるうちは、全力でやり続けるべきだと。僕は加藤さんが、ずっと自主練で一生懸命やっている姿を見ていたし、本当にサッカーに対して真正面から向き合っていた。全力で向き合ってきたからこそ、次の道でも頑張れるんじゃないかなって。

——若い頃は、きっと久光さんもそうだったと思うんですけど、自分がプレーできなくなるかももしれないとか、そこまで思わない。若いときから今のメンタルで、ずっとやってたら、また全然違ってたりすると思いますか?

うん。カスカヴェウ時代の(相根)澄さんとか、(金山)友紀さんとか、そういう意識のもとやっていたんだろうなと思います。

——昔のカスカヴェウは人に厳しく言う分、自分も厳しくやるという、良い意味での緊張感がありました。

すごく良い環境だったと思いますけど、今その環境を作れるかっていうと、簡単ではない。でも、そういう選手が10人の中で8人いたら、その8人は強い気持ちでやれるけど、他の2人は消えていく。そういう人間が集まると、やっぱり強いチームになる。

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僕をフットサルの「入り口」にしてほしい

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