2015.08.26 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第4章「その10:ガロからシャークスへ……またしても起こった大量移籍」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

再び、選手の大量移籍の季節がやってきた。この章のスタート、2001年の選手権後にチームの消滅や合従連衡が起きた話をした。あれからわずか1年、2002年の選手権が終わった頃、またしても選手の流動化が起こったのであった。

 むろん、プロリーグともなれば、シーズンが終わって次のシーズンが始まる間は移籍市場が開くのは当たり前のことである。しかし、当時のフットサルはプロでもなく、学校や企業スポーツでもないから、簡単にチーム間の選手移籍が行われた。

  まずは、Suerte banffからカスカベウに稲田、三輪、そしてのちにタイリーグに渡るゴールキーパーの古庄亨が移籍する。また、ガロからゴールキーパーの伊藤淳(のちにマルバ、エスポラーダ北海道)もカスカベウに移籍する。

  ガロからシャークスへの移籍は衝撃的なものであった。ゴールキーパーの角田、フィールドでは関、関東選抜にも選ばれた村松淳二、広瀬、高砂和重、岡部慶幸、橋本一樹ら大量に移籍となった。

  逆にガロも補強を行い、のちにFリーガーや日本代表となる逸材を集める。大量移籍がきっかけとなったといっても過言ではない。以前のシュライカー大阪、現在は関東1部リガーレ東京の監督、西野、日本代表では名古屋オーシャンズ、府中アスレティックの小山、ペスカドーラ町田の横江、滝田らである。

  なお、現在、女子日本代表監督の在原正明も、こののちしばらくしてガロに入団している。在原はのちにスペインに渡り、選手としてよりもコーチとして留学する異色の存在で、帰国後はバルドラール浦安のスクールコーチ、東急スポーツシステム(株)のフットサルスクールコーチなどを歴任している。

  ちなみに、日本代表のもう一人の通訳兼コーチ、そしてU—18フットサル日本代表監督に就任した小森隆弘は、同じ東急のフットサルスクールスタッフの先輩である。小森は、奇しくも、この頃ブラジルでプロサッカーチームに挑戦、のちに当時はカスカベウの市原がブラジルのアマフーザとプロ契約、渡伯した折、雑誌ピヴォにインタビュー記事を書いたりしていた。小森は、帰国後、映像関係の仕事についた折もフットサルにかかわり、その後、(株)東急スポーツシステムに入社、スペインでのフットサル研修の経験を積んでフットサルスクールを立ち上げた。

  移籍ではないが、驚くニュースもあった。それはファイルフォックスのオスカー監督の退団である。選手権を優勝したばかりなのに、なぜということになるが、その理由はいかんともしがたいものであった。

 全日本選手権優勝監督といっても賞金が出るわけではないし、監督そのものも無給である。むしろ家族の犠牲の上に成り立っている。むろん、これは選手とて同じであるが、再び盟主の座を取り戻したことでもあり、生活もあるので一区切り付けたかったものと思われる。むろん、この時、わずか2年後には再び復活するとは誰も思わなかった。

  なお、関西のアスパから上京、ファイルフォックスに入団した原田も、地元に戻ることを決意、ファイルフォックスを退団、のちのマグさらにはシュライカー大阪の母体であるATletico MAG’s/CIBLASILに移籍した。

 カスカベウにも波乱があった。それはカスカベウの重鎮、市原のブラジルパラナ州プロチームアマフーザとのプロ契約移籍である。甲斐、前田、相根と続いた海外経験、海外移籍を見て、満を持しての移籍であろう。もっとも、市原は中学時代からブラジル留学の経験があったから、ブラジルは庭みたいなものである。

  移籍にはさまざまな理由があり、外からは窺い知れないものがある。当時は、こんなに移籍があっていいものかと思ったものであるが、こうして時間が経って振り返ってみると、アマチュアの移籍は、刺激しあって才能を磨く大きな機会と考えられる。このように自由な移籍の繰り返しがあったからこそ、関東はフットサルの達人達の百花繚乱の地になったのであろう。

  ということで、お宝写真は。当時、大量移籍で話題となった新しいシャークスの集合写真としよう。すでに名前は紹介したので、ここでは列挙しない。最後のスーパーリーグ優勝、関東リーグ初参入初優勝、第4回地域チャンピオンズリーグ優勝とこのあと輝かしい実績を残すのだが、この時はFリーグ設立に翻弄され、いずれ解散になるとは誰も思わなかった。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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