2015.08.14 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第4章「その7:フウガの前身『ボツワナ』衝撃デビュー!」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 日本に話を戻して、再び選手権地域予選が始まる季節になってきた。すでにブラジルでのプロ契約を終了した甲斐、前田は8月末にカスカベウに戻り、スーパーリーグに参戦すると同時に選手権の準備に取り掛かった。しかし、準備期間が十分あるのか不安を残していた。

 一方のファイルフォックスも当然選手権モードに突入する。上村らの抜けた穴をウイニングドッグから移籍の木暮、岩田、ゴールキーパー江村、FC FUNから小宮山友祐(バルドラール浦安)、オスカー人脈で中里パウロ、三井賢、高校を出たばかりの佐藤竜らで強化を図った。しかし、難波田は年末まで帰国しないためやはり不安を残していた。ちなみに、木暮は9月に帰国したが、ニューヨークで起きた9.11同時多発テロに遭遇、ニューヨークで足止めされたという。

 この年、入団した小宮山は1979年生まれで、ファイルの木暮、岩田、他チームでは小野(フトゥーロ)、豊島(ロンドリーナ)、中沢亮太(府中アスレティック)、西野宏太郎(ガロ)らの同期に比べると遅咲きデビューであった。当時は、その後、日本代表キャプテンにまで登りつめるとは誰も思わなかった。

 2001年10月27日、第7回選手権の都予選が始まった。場所は立川市泉市民体育館である。ここで大波乱が起きる。カスカベウがなんと予選のグループリーグでボツワナに0-2で敗戦、決勝トーナメントすら上がれずに選手権から姿を消したのである。たしかに不運はあった。交通渋滞にはまって一部の選手がキックオフに間に合わなかったことや審判のジャッジ、コートが狭く、試合時間も今では考えられない10分ハーフのランニングタイムなども影響したかも知れない。

 しかし、そのボツワナがのちのフウガで関東リーグ3連覇、選手権優勝を飾ったとなると素直にボツワナを讃えるべきであろう。まさに戦国時代の象徴である。奇しくも、この時、隣のピッチではファイルフォックス対小金井5戦が同時併行で行われており、ファイルフォックスはボツワナ勝利の歓声を隣で聞くことになった。これも何かの因縁であろうか。

 ここで少しボツワナのフットサルとのかかわりについて触れておこう。すでに紹介したとおり、ボツワナは都立駒場高校のサッカー部OB仲間が集まって結成されたチームで、その中心にはキャプテン木村をはじめ太見、関らがいた。目黒の名前がついているのは駒場高校が目黒にあったからである。

 では、なぜフットサルかというと、木村が小学校時代に板橋にある十条FCに入部、サッカーを始めたが、その十条FCはサッカークラブの名門であると同時にフットサルを盛んに行っていたからである。なぜなら、十条FCの代表栄隆男はサッカー協会のフットサル委員会委員長、日本フットサル連盟副会長などを歴任、日本のフットサルの普及に貢献した人物で、前項で書いた第3回アジア選手権の日本代表団長も勤めたくらいであるから当然といえば当然である。その栄の薫陶を受けた木村が、仲間を誘ってフットサルを始めるのも自然の成り行きであった。

 当初はそれほど真剣にやってはいなかったというが、1DAYの民間大会に出て優勝、刺激を受け、そのうち東京都の1部リーグに参加するようになり、競技フットサルにのめり込むことになる。典型的なサッカーチームのフットサル入りパターンであった。しかし、もう一つのグループとの出会いがなかったら、これほどまでのチームには育っていなかったであろう。その話はのちのことである。

 一方のファイルフォックスも難波田を欠いたこともあり、守備が安定せず、決勝トーナメント1回戦のFCベンガ戦を12-8、準決勝のガロ戦を5-4といずれも大量失点をくらいながらの勝利で苦しみながら決勝戦に臨む。決勝戦の相手はカスカベウを破ったボツワナでこれは15-1で圧勝、再び全国にコマを進めることができた。この15点は、両雄といわれ、一緒に戦ってきたカスカベウが負けたのを見て、先輩の力を見せつけようという気持ちが入った得点ではなかったろうか。

 しかし、これが逆にボツワナのリベンジの気持ちに火をつけ、のちに何度となくファイルフォックスは痛い目に遭うとはこの時は誰も想像できなかった。

 ちなみにFCベンガは垣本右近を中心とする国士舘大サッカー部OBで構成されたサッカーチームで民間のサッカー大会で何度も優勝する有名チームであった。この予選ではフトゥーロを破っており、のちに関東リーグの強豪カフリンガへと発展する。ここにも新たに戦国時代を担うチームが出現した。

 さて、お宝写真は、ファイルフォックス、カスカベウ、ボツワナが同じピッチで戦ったカスカベウがボツワナに敗れる大波乱の一コマとしよう。写真の向こうがカスカベウ対ボツワナ戦で、このあとすぐに終了ホイッスルがなる。一方、ファイルフォックスはまだ戦っている最中であるが、場内の大歓声を聞くことになる。なお、ファイルフォックス、カスカベウの試合を同時に観戦できるとあって、会場は満員であった。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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