2015.07.17 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第3章「その8:市原のカスカベウと、木暮のウイニングドッグ。全日本で分かれた“明と暗”」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 2000年11月、駒沢屋内競技場では都予選の決勝戦ファイルフォックス対カスカベウが行われていた。この1年、あいまみえることのなかった三国志両雄の戦いである。

 ファイルフォックスは、目立った大会記録はコパジャルの3位くらいで、第2回リガ天龍、関東リーグ、スーパーリーグなど事情はあったものの出場せずと今年の活動はそれほど活発ではなかった。

 一方のカスカベウはブラジルツアーでプロチームにさんざんにやられ、関東リーグには出場できなかったが、FDCカップでウイニングドッグに敗れて2位、コパジャルはイパネマズKOWAに敗れて2位、第2回リガ天龍は3位と無冠が続くものの、少なくとも活動は精力的だった。

 その差が出たのであろうか、前半は3-3の同点だったが、後半2-0と今までにない粘りを見せて、ついにカスカベウがリベンジを果たす。しかも、第3勢力の小金井ジュール、府中水元クラブ、ガロを次々と倒しての東京都優勝であった。

 つまり、カスカベウが初めてストレートで全日本選手権出場の切符を手に入れたのである。この結果、東京都からは2位のファイルフォックスと、IPDとの3位決定戦を制したガロが関東予選にまわることになった。

 2位のファイルフォックスは今までずっと東京都の開催地枠からストレートで全国大会に出場していたから、初の関東予選である。しかし、彼らには回り道したくらいの気持ちで余裕があり、敗戦のショックは少ないように見えた。

 一方、3位のガロはカスカベウに敗れたとはいえ、再び関東予選に進むことができ、昨年、まさかの敗退の不覚を取り戻す絶好のチャンスを得たことで勝利の喜びを爆発させた。

 神奈川予選は、決勝は、ウイニングドッグとブラックショーツの対戦となり、ウイニングドッグが5-3で下し優勝、2位のブラックショーツとともに関東予選出場を果たす。

 エスポルチ藤沢から独立して再起を図ったロンドリーナは初戦ブラックショーツに敗れ、早々と姿を消してしまった。のちに選手権優勝を果たすロンドリーナであるが、スーパーリーグに続く敗戦であり、当時は前途多難な船出となった。

 一方のブラックショーツは、設立の思惑どおりの船出となり、新興戦力神奈川の2チームは明暗を分けるものとなった。

 千葉はNACが優勝、プレデターは決勝で敗れたものの2位を確保して出場を果たした。茨城はマルバが優勝、3年連続関東予選出場を果たした。

 そして関東予選、まずファイルフォックスは予選ブロックでプレデターを退け、準決勝ではマルバを退けて決勝に進む。プレデターは前回、ウイニングドッグと予選リーグ同組であり、結果的には2年連続、関東予選優勝チームと同組という不運なめぐり合わせであった。ちなみにNACも予選リーグ敗退となっている。

 一方、ウイニングドッグは、決勝トーナメント1回戦でブラックショーツを退け、準決勝でガロを3-2で退けて決勝に進む。ウイニングドッグは、第4回選手権の都予選でガロに負けたきっかけで、本格的にフットサルに取り組んだのであるが、それ以降も関東リーグ、民間大会等でずっとガロに負けていた。ようやく、リベンジを果たしての決勝進出であった。

 ファイルフォックス対ウイニングドッグ。お互い、強豪チームを退けての決勝である。しかし、試合展開は思わぬ方向へ進む。ウイニングドッグは、ミスから気持ちを切らすと崩れる悪いくせがある。これが出て、前半だけでなんと0-5の大差がついてしまったのだ。後半からいきなり木暮のパワープレーで3点を返すがそこまでで、結局6-3でファイルフォックスが関東予選を制するのだった。最後はファイルフォックスの余裕が勝因といえる。

 なお、ウイニングドッグにはこの年、ダニエル大城、シーナが助っ人に入ったがあまり機能しなかった。やはり、短期の助っ人は難しい。

 これで、組み合わせによっては、全日本選手権本戦でファイルフォックスとカスカベウ対決の機会が生まれる可能性がある。果たして、どうなるか。

 また、日本が選手権に向けて熾烈な戦いを続けている頃、グアテマラでは12月3日から世界選手権が開催されていた。日本はアジア予選で4位になったため、アジアからはイラン、カザフスタン、タイが出場、いずれも予選リーグで敗退してしまった。優勝は王国ブラジルを破ってスペインが初優勝を遂げる。のちにスペインが日本フットサルに大きくかかわってくる予兆であった。

 さて、今回のお宝写真は、ファイルフォックスに選手権関東予選で敗れ、出場を逃したウイニングドッグの木暮(このあとウイニングドッグを退団)と東京都予選でファイルフォックスに勝利、長いトンネルから抜け出すべくストレートで選手権出場を決めたカスカベウ、市原(市原はブラジルにいたせいもあって、意外と選手権はこの時が初出場)の写真である。

 といっても、この写真は時代がだいぶ後のものであるが、この頃から2人の親交は厚く、市原が引退した今でも連絡をとりあっているという。市原は、前身のエスポルチ藤沢時代から甲斐、相根らとともにカスカベウを牽引、その後の活躍は言うまでもない。

 残念ながら、2014年に湘南ベルマーレを最後に引退、フットサルコーチを務める傍ら、現在は父親の会社を継ぐべく、社会人の道を歩んでいる。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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