2015.06.17 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第2章「その9:カスカベウの野望を打ち砕いた“雑草軍団”ウイニングドッグ」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 前回のコラムにあるように、第5回全日本選手権の東京予選ではファイルフォックスが優勝してストレートに全国大会の出場権を獲得。2位のカスカベウと3位のガロが関東予選に回ることになった。

 神奈川は予想どおり今年から東京を回避したウイニングドッグと戦力強化を図ったエスポルチ藤沢が勝ち進んだ。決勝は両者の戦いとなった。結果は、3-2でウイニングドッグが勝利、しかし、神奈川は2チームが関東予選に進めるので、この2チームが関東予選に進むことになった。千葉はプレデター、茨城はマルバが順当に関東予選にコマを進める。

 そして、悲喜こもごもの関東予選が1999年12月18、19日、埼玉県足立郡吹上町体育館で開催された。

 まずは予選リーグ、神奈川代表ウイニングドッグと千葉代表プレデターが同組で対決することとなった。プレデターは助っ人にダニエル大城、シーナを擁したが、チームワークがかみ合わず、ウイニングドッグに0-2と負けてしまい、予選リーグ敗退となってしまった。

 神奈川代表のエスポルチ藤沢は、茨城代表のマルバを下し、予選リーグを突破するが、なんと県予選で当たったウイニングドッグといきなり決勝トーナメント1回戦で再び対戦することとなってしまった。

 そして、プレデターを下して勝ち上がったウイニングドッグは、県予選ですでに破っている自信からかエスポルチ藤沢を9-1の大差で破り、決勝戦まで進む。

 都予選でファイルフォックスに敗れたとは言え、本命の東京第1代表カスカベウは順調に予選リーグを勝ち上がる。

 東京第2代表のガロは予選リーグを勝ち上がるものの伏兵群馬代表の群馬コーチャーズに敗れ、決勝トーナメント1回戦で敗退の番狂わせとなってしまった。

 結局、決勝戦はその群馬コーチャーズを8-2の大差で下したカスカベウとエスポルチ藤沢を下したウイニングドッグの対決となった。

 この両者の過去の対戦はというと民間大会で何回か対戦しており、分はカスカベウにあった。しかし、両者はすでに紹介したとおり、カスカベウのエスポルチ藤沢時代に同じ練習場のコートで交流があり、お互い手の内は知り尽くしていることもあり、むしろ、心理的にはウイニングドッグの方に分があった。

 なぜなら、カスカベウから見たら最も当たりたくなかった相手であろうし、ウイニングドッグから見ると、カスカベウはエスポルチ藤沢のイメージが強く、エスポルチ藤沢には負けないという妙な自信があったからである。

 案の定、カスカベウは、ウイニングドッグの豊富な運動量と激しい気迫に手を焼くことになる。先制点を挙げるが追いつかれ、再び1点差とするがまた追いつかれる展開に、ついに逆転を許し、結果は2-5で敗戦となってしまった。

 カスカベウは、エスポルチ藤沢時代から2年連続して選手権出場を逃してしまう。甲斐が監督を兼務していたが、選手とのかけもちではどうしてもヒートアップしたときに間を置くなどの冷静な試合運びが出来ない。都予選に続いて悔いが残る結果であり、こののちもカスカベウは監督不在に悩まされることとなった。

 ウイニングドッグが神奈川にまわり、東京ではカスカベウがファイルフォックスに敗れ、関東予選に回る展開の「あや」が微妙な組み合わせを生み、悲喜こもごもとなった関東予選であった。

 さて、今回のお宝写真は、カスカベウの全日本選手権出場の野望を打ち砕いたウイニングドッグの関東予選優勝の時の集合写真である。

 甲斐、相根、市原、前田、GK遠藤と日本代表クラスを擁して、どちらかというとフットサル界のエリート集団を形成しつつあったチームに、同じ練習コートで教えを乞うたこともある、どちらかというと雑草チームが下剋上を果たした記念の写真といえなくもない。

 結局、カスカベウが悲願の優勝を果たすのは、1年後であった。そして、奇しくもその年にウイニングドッグは消滅、伝説のチームの1つになった。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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