2015.05.20 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第2章「その1:眞境名オスカーと難波田治が築いたファイルフォックスの礎」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 1998年11月、いよいよ第4回全日本選手権の東京都予選が始まった。その決勝トーナメント1回戦、ファイルフォックスは、井の頭くなを一蹴する。続いて、小金井ジュールと当たり、これも下して、準決勝で府中水元クラブと対戦する。ファイルフォックスの勢いは止まらなかった。このまま、府中水元クラブも破って決勝に進む。優勝すれば開催地枠でストレートに決勝大会へ進める。

 もう一方の山では、初出場同士のガロ対ウイニングドッグが決勝トーナメント1回戦で当たった。結果は乱打戦となり、サッカーに一日の長があるガロが10-6で勝利、準決勝に進む。

 しかし、そのガロもサッカーの学芸大学蹴球部に破れ、都予選敗退となってしまう。ガロもウイニングドッグもこの敗戦をきっかけにサッカーを脱して、本格的にフットサルに取り組み、のちには関東予選で対決するまでに成長するのであった。

 決勝はファイルフォックス対学芸大学蹴球部となり、ファイルフォックスが勝利、ストレートで全国大会出場の切符を手に入れた。

 続いて、12月、関東予選が開催された。

 エスポルチ藤沢は神奈川県予選で優勝、関東予選に進出する。しかし、府中水元クラブがファイルフォックスに破れ、関東予選に回って来たため対戦することになり、なんと敗戦となってしまう。刺激を受け、十分研究した府中水元クラブに敗れるという皮肉な結果になったのだ。

 だが、その府中水元クラブも決勝で筑波大サッカー部に破れ、4回目にして選手権出場を逃してしまう。この結果、以降は選手権に出場することなく、第3勢力に甘んずることとなる。

 こうして、第4回選手権の予選大会は、三国志1強のファイルフォックスが生き残り、もう1強カスカベウの前身エスポルチ藤沢は破れ、第3勢力の府中水元クラブ、小金井ジュール、のちのプレデターにつながる井の頭くな、ウイニングドッグ、ガロらも決勝大会進出は叶わず、それぞれの思いで、1998年を終えることとなった。

 明けて1999年1月、第4回選手権が始まった。初出場のファイルフォックスは、府中水元クラブから移籍した定永、上村、難波田、前田、渡辺英明(のちにフトゥーロ)らの設立メンバーに加え、オスカー人脈で日系ブラジル人の助っ人を補強、イパネマズKOWAからダニエル大城、比嘉リカルド(元新潟アルビレックスのちにデウソン神戸、ヴォスクオーレ仙台監督)なども加わり、戦力に厚みを増して出場している。この結果、次々とサッカーチームを破り、ついに初出場、初優勝してしまう。

 決勝の相手は、関東予選で府中水元クラブを破った筑波大サッカー部であった。前半7分、上村のなめるような左サイドドリブル突破から右のファーに決める先制点で勢いに乗り、助っ人ダニエル大城のハットトリック、難波田の強烈なトゥーキックのミドルシュートなど、終わってみれば6-2の圧勝であった。

 ちなみに、前回大会でアズーが決勝で敗れたルネス学園甲賀サッカークラブの卒業生で藤井健太を中心に構成するアスパも予選リーグで下している。

 優勝要因は、監督オスカーも含め、日系ブラジル人の影響が大きく、ブラジルを源流とする彼らの卓越した足元の技術、ゴール前の決定力はファイルフォックスのみならず日本のフットサル界になくてはならない存在となった。

 ダニエル大城はのちに兄のエジバウドと群馬県大泉にブラジルフットサルセンターなるコートをオープン、日本人との交流大会開催を通じて日本のフットサルレベルアップに貢献した。比嘉リカルドは、のちに帰化して日本代表に選ばれ、キャプテンを務めるなど同じく日本のフットサルのレベルアップに貢献している。

 さて、今回の貴重な写真は、優勝カップを手にするファイルフォックスの若いオスカー監督とのちに“闘将”と言われるとは思えないほど初々しい難波田である。難波田はこの時、まだ22歳であったが、すでにキャプテンマークを巻いている。そのキャプテンシーはその後もいかんなく発揮され、ファイルフォックスを4度の全日本選手権優勝に導いたのであった。また。2000年代前半の日本代表の中心選手としても活躍した。

 現在は、かつての名選手を集めたチーム「闘魂」を立ち上げ、試合を楽しんでいる。つい先日行われた9年目を迎えるFリーグの開幕戦のエキジビジョンマッチに出場、年齢がそうさせたのか強シュートでならした難波田らしくない華麗なキーパーの股を抜くゴールは、観客を大いに沸かせたものである。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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