2019.03.20 Wed

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【伝説の証言者】奇跡のチームのその後のストーリー。「ただの通過点」(須賀雄大監督)と「達成感」(金川武司)

クラブに大きな経験をもたらした2009年の成功体験

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──金川さんが示してきたフウガ・イズムが今のチームには薄れてきているという見方もされていますが、一方ではしっかりと継承されているとも感じています。

金川 全体的な雰囲気は盛り上げていきたいですけど、個人的には同じ3番を背負っている春木(啓佑)ですね。選手としての良さを出せていますし、みんなあいつのことが好きだと思う。面白おかしく、でもやる時はやるという彼にはすごく期待をしています。楽しんでやり切ってほしいなと思いますね。

──春木選手はまさに金川さんというか、フウガという感じ。

須賀 そう捉えられがちですし、実際にそういうところもありますが、総合的にはやっぱりタケの方が面白い。タケはしょうもないというか。春木は真面目なんですよ。春木は後天的にああなっていて、真面目だけどふざけているタケは先天的にネジがおかしい(笑)。春木は頑張ってタケに寄せようと無理している感じがあるなと。背番号は3だけど春木は春木でいいし、今度は春木を目指す子が出てくればいいなと思います。

──2009年のあのチームは、今のチームでも目指すべきものがありましたか?

須賀 正直、あの時もチーム内でバトルしてきたので、最後は献身的なところが出ましたけど、普通に1次ラウンドで敗退していたら、そうじゃなかったと思います。勝つことでまとまっていったんです。だから、今のチームが一体感で負けているとは思いません。それでも、あの時は「勝つ」という一つの目標に向かい、実際に勝っていくことで強くまとまっていったので、やはり結果はすごく大事だと強く感じます。

──結果がすべてではないけど、結果もすごく大事だと。

須賀 今の選手にもあの成功体験を経験させてあげたいですし、それがあればまた次もこうすればまとまっていくとイメージできますよね。ただ残念ながら、監督の力でできるのはその手前まで。最終的にこのチームがどこまでまとまれるかは僕でも分かりません。95パーセントはまとまっていたとしても、残りの5パーセントを埋められるかどうかは、誰か奇跡的なキャラクターがいるとか、最後まで勝ち続けられる順位にいるとか、そういうところに関係してきます。今の選手にそのポテンシャルがないのではなくて、最終的にそうなっていくために必要なのは勝つことも大事。その成功体験を味わってほしいと思っています。

──今はまた、10年前とは少し違う新しいフウガの道を進んでいます。

須賀 でもやっぱり、あの時のベンチ外の選手のレベルを考えると、彼らが取った行動は本当にすごいと思います。(渡邉)知晃もそうですけど、あの大会でベンチやスタンドにいた選手が結果的にどんな選手になったのか。今、苦しい思いをしている選手がいても、そこでどういう振る舞いが大事で、それがチームにどういう影響を与えて、その結果、自分がどうなっていけるのか。やり切ることが大事だと思います。だから僕は、ベンチ外にもベンチの選手にも求めます。絶対にその選手に返ってくることが分かっていますから。

──そうしたことをまさに今、金川さんが子どもたちに伝えている。

金川 そうですね。人は、いい時も悪い時も絶対にあるものです。フットサルでも、いい時にいいのは当たり前なので、悪い時にどう振る舞って、何をできるかが大事だと思います。「悪い時にどうするか」というところも自分に戻ってきますから、すごく大事なこととして伝えていきたいですね。

──金川さんが関わった選手が、そろそろトップに上がってきますよね。

金川 現役時代からコーチをさせてもらっていたので、ウイングス(U-12)から見ていた(フウガドールすみだバッファローズの)畠山勇気とか。その他にもバッファローズに何人かいます。これはどうなるか分からないですけど、僕がずっと言っているのは、5年後、10年後のフウガはすごく面白いチームになるということ。ずっとやってきた下部組織の子どもたちがトップに上がり始めたら、すごく面白いと思います。

──クラブとしてようやくそのフェーズに入ってきました。

須賀 たとえばスペインの考え方はすごくリアリズムで、「試合に出ないと意味がない」、「試合に出てこそ成長する」というものです。それは日本にも浸透してきて、控えが応援するのはどうなのかみたいな是非を問う話がありますよね。どちらかというと、カテゴリーを落としででもメインでやれるチームに行くという流れになってきていると思います。それは僕も同じ考えで、クラブの子どもにも、しっかりと出場機会が与えられるべきだと思うんですけど、一方では、「試合に出られなければ何もない」という表現の仕方が正しいのかは、常に自問自答しています。

──出られないことにも価値がないわけではない。

須賀 春木にしても、トップで出られる可能性があるのに、今シーズンはバッファローズという都リーグ1部のチームで始めました。その時に、このクラブで、このメンバーでやりたいという強い思いがあって、結果的に成功に結びついたと考えると、何でもかんでも誰かの真似をするのではなく、僕らは自分たちのクラブで積み重ねてきた成功体験があるので、それを再評価するのが大事だなと。だから、チームを転々と渡り歩いてでも出場機会を求めるべきだというのは、一度踏みとどまって考えなくてはいけないところなのかなと思っています。その意味で、2009年の大会が自分たちの大きな経験になっています。

Interview & Directed, Key Visual by Yoshinobu HONDA

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【Contents】【伝説の証言者】FUGA MEGUROはなぜ日本一になれたのか? 7人が明かす「史上最高の下克上」の真実に迫る

Witness 1 フウガ・イズムの生みの親と伝道師。「奇跡のチームはこうして生まれた」(須賀雄大監督&金川武司)
Witness 2 決勝の出場時間はゼロ秒。「あの試合がなければFリーグを目指していなかったかもしれない」(深津孝祐)
Witness 3 スタンドで涙を流した男。「出られない悔しさがなかったのはあれが最初で最後だった」(渡邉知晃)
Witness 4 勝ち越し弾、決勝弾を奪った男。「ヒューマンパワーにあふれたフウガが果たした役割」(荒牧太郎)
Witness 5 狂犬と呼ばれいたあの頃。「頭の中の理性と野生が共存していた」(星翔太)
Witness 6 奇跡のチームのその後のストーリー。「ただの通過点」(須賀雄大監督)と「達成感」(金川武司)
Witness 7 10年後の名古屋のキャプテン。「あの大会から、自分を含めた物語が始まった」(星龍太)
Afterword あとがきにかえて。「10年前と10年後の彼らが、“今”を生きる僕たちに教えてくれたもの」

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