2018.09.29 Sat

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【前半戦総括】12年目の新展開!オーシャンズとFリーグ選抜とロベカルと、それぞれのチームと。

Fリーグ選抜が示した日本フットサルの可能性

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 “名古屋1強”と混沌とするプレーオフ進出争いの他にも、多くの話題があった前半戦。その中心にいたのはFリーグ選抜ではないだろうか。開幕前に「1勝もできないのでは?」と言われたチームは、4勝2分8敗の8位につけている。第4節に浜松を5-0で完封して初勝利を挙げると、第5節は町田に3-0で連勝、しかも2試合連続無失点というインパクトのある結果を出したのだ。

 さらに第7節、バルドラール浦安に3-2で勝ち切ると、第8節は名古屋の連勝を止めて2-2で引き分けた。0-2のビハインドから後半に2点を奪い返した戦いぶりは、どんな相手にも臆することなく戦う彼らの真骨頂。多くのフットサルファンの想像を超える結果を示して、前半戦ですでに爪痕を残したと言える。

 しかし、彼ら自身は全く浮き足立っていない。

「前半戦はせめて五分五分の成績までいきたかったんです。非常に高い目標ですし、チームとしても無謀だと思われますけど、立ち上げたときから、(規定により)出場はできないですけど、(上位3枠の)プレーオフを目指していました。その意味では、ダメですよね」

 高橋優介監督は、序盤戦を振り返ってそう戒めた。もちろん「すごく成長したし、こちらが驚くようなものもたくさん見せてもらいました」と選手を評価しつつ、あくまでもトップリーグに出場するチームとしての立ち位置を意識して、結果に対してシビアに考える姿勢を貫いていた。

「例えば、イラン代表に対して、日本代表がフィジカルで全員、上回るのは難しいですよね。でもその舞台を目指すメンバーなので、まずは選手としてのベースを上げないといけません。でもそこを上げてもまだ同等でしかない。じゃあどうやって戦うのかといえば、駆け引きや戦略。その意識が選手にも必要です」

 高橋監督が言うように、日本代表を輩出することがこのチームの大きな存在理由であり、「2020年のワールドカップで戦える選手を育成すること」は、短期目標の一つである。常にその根本的な部分を見失っていないからこそ、Fリーグ選抜は序盤戦でブレることなくピッチに立てていた。

 彼らの戦いには「若手育成の本質が詰まっている」とさえ感じる。

 それは「(若い年代は特に)スタイルを持たないほうが強い」ということ。自分たちで意図的に手段を変えて相手を誘導したり、相手の出方に応じてリアクションを変化させたり、まるでカメレオンのように、七変化なスタイルを見せられること、つまり“決まった型を持たない”ほうが、柔軟に戦えるのだ。

 Fリーグ選抜は「攻撃でも守備でもアグレッシブに戦う」という、チーム哲学のような意識を持ちながらも、手段となるシステム面ではフレキシブルな戦いを見せた。本職のピヴォが不在のメンバー構成の中で、攻撃では新井裕生を前線でプレーさせたが、決してそれに固執はしなかった。システムの話で言えば、3-1も4-0の形も使い分けながら、選手それぞれのキャラクターを引き出す連係を模索し続けた。

 特に守備面では、序盤の数試合こそ完全なマンツーマンで対応したが、徐々にマークの受け渡しを浸透させた。そうした姿には「少しずつ選手の引き出しを増やしながら戦っている」という印象を受ける。

「3巡目になる頃には、完全なゾーンにもトライしたい。ベースとしてマンツーマンに立ち戻れるものを持ちつつ、その(高度な)守備にまで行き着けたら、選手はどのチームに行っても、どんなやり方にも対応できるようになる。それに彼らが指導者になっていくことを考えると、ずっと同じことしかしていない選手では、それしかできない指導者になってしまいますから」

 極端に言えば、ロングボールで前線に入れてくる相手に前プレを掛け続けても意味はないし、ガチガチに引いてくる相手に後ろでボールを回し続けていてはゴールを奪えない。だからこそ、試合のあらゆる状況に対応できる解決策を持っていないことには、勝負にならない。「真っ向勝負で挑んで負けた」は聞こえはいいが、それは「対抗策がなかった」と言い換えることもできる。つまりFリーグ選抜は、若さと勢いを生かした真っ向勝負を挑みながらも、戦況を見極めたプレーを常に意識して戦ってきたのだ。

 高橋監督の下で頭角を表し始めた選手たちは、そうした成長に加えて、他のどのチームのベテラン選手でも味わえないような経験を手にした。ロベルト・カルロスとのプレーだ。その戦いぶりや、試合後、選手たちが何を感じたのかは別の記事の考察に委ねるが(リンクを参照)、世界の頂点を知る男に学んだ「勝者のメンタリティー」は、彼らのキャリアの中で決して欠かせないものとなったに違いない。
 
 相手もこれまで以上に対策を立ててくる中で、中盤戦以降にどんな戦いを見せるのだろうか。一つだけ確かなのは、彼らはこの先も1試合ごと、いや試合中でさえも急成長を遂げていくということ。Fリーグ選抜は、日本フットサルの未来を照らすようなポジティブな戦いぶりを、この前半戦で示した。

 12年目は、過去11シーズンにはない新たな一面を見せている。名古屋とFリーグ選抜とロベカルと、それぞれのチームと。様々な思惑が交錯する中で、最後にどんな結末が待っているのか──。

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