2018.05.08 Tue

Written by EDGE編集部

コラム

フットサル選手として、ママとして--。“なでしこ5の闘将”小村美聡が示す、女性アスリートの生き方。

しんどい思いの先にある喜び

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「そこまで本気でやるとは思っていなかった」というクラブ創設の前後から、小村は一気に女子フットサルの世界にハマっていった。

 当時の女子フットサルは、全日本選手権を何連覇もするようなレジェンドチームがいたり、その日本一の座を争ったりする競争関係も顕著だった。俗に言えば、選手はギラついていた。男子と同じように、仕事とフットサルを両立しながら、短い時間で効果的、効率的に技術を鍛え、戦術を磨いて、チーム力アップを目指すチームが女子フットサルのトップカテゴリーに存在していた。そんなチームと戦い、打ちのめされ、スコアでは肉薄しながらも力の差を感じる日々を過ごしていく中で、小村やチームメイトの心に火が点いていった。

「結果にはとにかくこだわってきた。勝ってナンボだろうと。でも今では、内容がよければ結果もついてくるはずだと、見てくれている人も楽しいと思って応援してくれるだろうと、結果と内容の両方を追い掛けてやっている。振り返るとしんどい時期の方が多かったけど、そういうものを10年間で積み上げてきた」

 ピッチで誰よりも声を張り上げ、フィクソとして後方から味方を鼓舞しながら、プレーでも支える姿から、小村はいつしか“闘将”と呼ばれるようになっていた。フットサルのイロハを知らなくても、気持ちさえ折れなければ戦えると信じて、女子代表まで一気に駆け上がった。この10年のうちに、タイのクラブへの移籍を経て、フットサル選手としての幅も広がった。「勝ったら嬉しいし、負けたら悔しい。そこは本当にシンプルで、その思いで突っ走ってきた。みんなフットサルが好きだから、その気持ちがいつもあるし、チームとして結果が出てもまだまだ足りないから、『満足するなよ』っていつも言ってる(笑)」

 楽しいと思えることに本気で向き合う。それはすべてのアスリートに共通することだろう。

「本気の世界に入ると、戦える環境があることにすごくありがたいと思える感情が出てきて、それがチームの原動力になる。私は、出産でチームを離れた時にそのことをすごく感じたし、女子代表もクラブも、負けているとすごく悔しい気持ちになった。それをただ自分が見ているだけで終わるのが嫌だった。人生に置き換えたら、本気でやれる時間はきっと長くない。だからみんなにもそのことを感じてほしいし、しんどい思いをしてでも、結果にこだわりたい。そうやって結果が出たらみんなで喜べる。その景色を見るためにピッチに立てることが本当に幸せ。だからこそ、フットサルが心から好きなんだなって、つくづく感じる」

 小村が言う「しんどい思いの先にある喜び」は、アスリートの原点かもしれない。

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ママさんでも、続けられる

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