2018.01.19 Fri

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【永井義文のフットサル観戦力講座】第3回「町田・森岡薫の“ボールに助走をつける”トン・ドォン!シュート」

写真:本田好伸

元日本代表であり、昨シーズンをもってシュライカー大阪で現役を引退した永井義文が、Fリーガーのプレーを徹底解説! 将来的に、指導者としてFリーグ監督を目指す永井は普段からどんな視点で選手を見ているのか。AbemaTVのハイライト動画を元に、永井の独特な視点と、関西人ならではのユーモアに詰まった解説をお届けする。第3回目は、ペスカドーラ町田の森岡薫がプレーオフ準決勝で見せた「これぞ森岡!」という圧巻のシュートに詰まった技術を紹介!
(文 永井義文/元フットサル日本代表)

森岡薫すげぇ!

 こんにちは! 永井義文です!

 第3回目の「永井義文のフットサル観戦力講座」は、AbemaTVが編集したプレーオフ準決勝のナンバーワンプレー、ペスカドーラ町田の森岡薫選手のゴールシーンです!

 このゴールは、Fリーグ通算得点ランキング1位の森岡選手(273点)と、同2位のクレパウジ・ヴィニシウス選手(235点)に共通するシュート前の“ある動作”がポイントです。

 そのポイントとは「ボールに助走をつけること」です。

 例えば「立ち幅跳び」と「走り幅跳び」ではどちらが大きく跳べるでしょうか? 考えるまでもなく、「走り幅跳び」ですよね。なぜなら、走り幅跳びは、跳ぶ前に助走をつけているからです。

 これはシュートでも同じことが言えます。シュートを打つ前に、ボールに少し助走をつけてあげるだけで、いくつかの点で通常のシュートよりもメリットが生まれて、ゴールを奪いやすくなるのです。

 これまで森岡選手は、今回と同じような形からゴールを量産してきました。「ボールに少し助走をつけてあげる」とは、シュートの直前にインサイドでボールを1メートル運んでいるということです。歩幅にしておよそ1歩分ほどボールを運んでから「トン・ドォン!」のリズムでシュートを打っています。

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 実は、ヴィニシウス選手もこの形からゴールを量産してきました。フウガドールすみだとシュライカー大阪による4/5位決定戦のベスト3プレーでナンバーワンに選ばれたゴールも、この形でした。

(ただしこのゴールは、ヴィニシウス選手の技術もさることながら、大阪の完璧な連係も見事です。佐藤亮選手によると「練習では何回も見たけど、試合でこれだけきれいに決まったのは初めて」とのことです)

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 さて、「ボールに助走をつけてあげる」ことで、本当にゴール量産につながるのでしょうか? もしかしたら、皆さんもそんな疑問を抱くかもしれないですが、答えは「イエス」です。その理由は2つあります。

①「トン」で1歩分だけ運んでいること
②インサイドでボールタッチすること

 この点に注目すると、スタンドやAbemaTVなどで観戦している際にも、助走のあるなしによって、ゴレイロに防がれてしまうか、シュートが決まるかを見分けることができるようになります。

①「トン」で1歩分だけ運んでいること

 仮にシュート直前のボールタッチで、1歩分ではなく、2、3歩分、距離にして2〜3メートル動かしてしまうと、シュートを打つまでに時間が掛かり、ゴレイロにシュートのタイミングを測られてしまいます。トラップやドリブルが大きくなってしまうことをイメージしてもらうと分かりやすいと思いますが、そうするとどんなに強いシュートを打てたとしても、ゴレイロに対応されてしまう可能性が高くなります。

 一方、1歩分だけ運ぶと、トーキックのようなモーションでシュートを打つことができるので、ゴレイロはタイミングを取ることができず、手を伸ばした時にはもう、ボールがゴールに入っているのです。おそらく、スピードガンでシュートスピードを計測しても、両者のシュートスピードは大差ないでしょう。ですが、「タイミングの測れないシュート」は、ゴレイロにとって「シュート体感スピード」も速く感じるはずです。

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②インサイドでボールタッチすること

 アウトサイドでタッチすると、ボールが外側に流れ、シュートの力が外に逃げてしまいます。また、足の裏でタッチすると、1タッチ目から2タッチ目のシュートまでの時間がインサイドのタッチよりも長くなるので、ゴレイロがタイミングを取りやすくなります。

 つまり、インサイドでボールをタッチすることで、ゴール方向に向かいながらゴレイロのタイミングをズラして、短いシュートモーションで打つことができるのです。

 これこそが、「トン・ドォン!シュート」がゴール量産につながる最大の理由です。

 もちろん、ゴールの要因はこれだけではなく、大前提には、森岡選手やヴィニシウス選手のリーグトップクラスのシュート力があります。ですが、単純なシュートの威力だけがゴール量産の理由ではないということです。シュートの威力と同じか、それ以上に、シュートを決めるための技術が高いということです。

 ちなみに僕は現役時代に、森岡選手のプレーを見て、映像を編集して、その動作を研究することで、自分のプレーに生かしてきました。今回の「ボールに助走をつける技術」も、何度も使わせてもらいました。

 ただ、トップスピードのプレーの中で、シュートが打ちやすい場所でかつ、1歩分、距離にして1メートル運ぶボールタッチは本当に繊細で難しい技術です。森岡選手はそこでシュートモーションから、状況を判断した上でパスに切り替えることもできますから、細かい話を抜きに「森岡薫すげぇ!」ってことです(笑)。

 僕はそんなプレーを真似して、何度も失敗しました。ボールが前に動き過ぎて、シュートを打つ時にボールがつま先をかするように当たってしまったり、ミスをしてチームメイトや会場のお客さんをガッカリさせてしまったり……。ミスした時のあの空気と言ったら……今でも鮮明に覚えています(苦笑)。

 そして町田は、森岡選手だけではなく、ピレス・イゴール選手、ダニエル・サカイ選手、ゆうき(室田祐希)、滝くん(滝田学)……などなど、他にも素晴らしい選手がたくさんそろっています。

 だからこそ、そんな町田と名古屋オーシャンズのプレーオフ決勝が今から本当に楽しみです!

永井義文(ながい・よしふみ)
2008年、大学在学中からシュライカー大阪の主力選手として活躍。フットサル日本代表として国際大会で活躍する中、2014年には単身イタリアへ渡り、イタリアフットサルリーグ セリエA2「ASD FUTSALISOLAに在籍。リーグ戦14試合に出場して10得点を挙げる。2015年に再びシュライカー大阪へ戻り、2016-2017年シーズンはFリーグ優勝、フットサル日本選手権優勝の2冠獲得。2017年4月に引退を決意。現在は指導者として、各種メディア、イベント出演、解説など、日本フットサル界を盛り上げるべく活動中。

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