2017.02.23 Thu

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【1st Roundプレビュー】「薫くんを止めないと勝てないんで、やりますよ」すみだのキーマンが森岡封じを宣言

森岡を抑えれば攻撃力は半減する

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 第27節の府中アスレティックFC戦で負ったケガの影響で3試合を欠場し、復帰した第31節のペスカドーラ町田戦では、なす術なく0-4で敗戦。諸江自身、フィクソとしての仕事ができず、「何もできなかった」と反省した。ただしすみだは、この試合を含めて、プレーオフを確実なものとしてからの数試合で、より高みを目指すための戦いを試み始めていた。リーグ戦を戦ってきた主力メンバー、セットに手を加え、従来よりももっと形にこだわった攻撃を意識するなかで、例えば前線から奪いに来る相手にも、ハーフに引いた相手にも対応できるようなバリエーションを手に入れるべく、選手たちはピッチで頭をフル回転させながらプレーするようになっていた。

 そんな戦いのなかで、随所に可能性を見出しながらも、試合をトータルで見れば、勝っても相手を上回った内容だとは言えず、どこか消化不良のようにも感じられた。諸江のプレーに攻撃性が欠けていた理由もここにある。「以前であれば、サイドで味方を孤立させて、相手1人をはがしてからピヴォ当てをしたり、そこで数的有利をつくったり、ある意味では分かりやすい攻撃をしていた。それは見た目が良いかもしれないが、相手に読まれ易く、かつ40分間続けることはリスクがあるために難しい。今はより確率を上げるようなやり方を模索していて、まだまだ臨機応変にできるところまでは成熟していない。自分自身も、形をつくるところに比重を置いてしまっている」。

 諸江の現状でのファーストチョイスはバランスを見ることやサポートであり、自らが仕掛けることではないために、重心が後ろにあるのだろう。だからこそ、攻撃者として機能するシーンが激減していたのだ。「もしかしたらダイナミックさやアグレッシブさに欠けている試合があると思うが、それは一皮むけるための期間だった」と、すべてはプレーオフへの準備であり、リーグ制覇への伏線である。

 1st Roundでは、今シーズン3連敗を喫した町田と対戦する。早い段階から、3位、4位を争っていた両者の対戦が決定的だったために、準備期間は十分にあった。須賀監督もおよそ1カ月前の時点で、「岡山(孝介)監督はポーカーフェイスで考えていることを(簡単には)表に出さないで、「隠していない」と言ってくる(笑)。でもプレーオフは一発勝負であり、リーグ戦とは性質が異なるので、自然と違ったゲームになる。こちらにも考えていることがある」と、すでに臨戦態勢にあった。

 そんな町田戦のキーマンこそが、諸江である。町田は今シーズン、23試合で22得点を挙げた森岡薫が、終盤に掛けて一気にパフォーマンスを上げている。諸江は完封負けを喫した第31節の対戦で、そのすごさを改めて痛感したと言う。「試合にも個人の戦いにも敗れて悔しさはあったけど、改めてすごい選手だなと。(選手に対して)すげーなって感じるのは、久しぶりのことだった」。だからこそ、「あれだけの選手とやりあえるのは幸せなことだと思うし、マッチアップには怖さもあるけど、楽しみたい。本当に対戦が楽しみ」と、フィクソとして相手と対峙する闘争心、もっと原点にあるプレーする喜びに気づかされた。

 森岡と諸江のマッチアップは、プレーオフの勝敗を大きく左右するだろう。「正直、1対1ですべてを止めるのは難しい。この前はアグレッシブに取りに行ってやられてしまったので、絶対にやられないようにするときと、奪いに行くときを、もっと冷静に判断できれば、やられる確率を下げられると思うし、味方にサポートしてもらうことで、もっとできる」と、森岡封じの算段は付いている。町田の攻撃は森岡が全権を握っているわけではないものの、「薫くんが起点になって怖い攻撃をしているので、そこを抑えられれば攻撃力は半減する」。

 「森岡薫は俺が止めてやる?」と聞くと、諸江は笑いながらこう話す。「薫くんを止めないと勝てないんで、やりますよ」。対戦を待ちわびるその目は、自信に満ちあふれているようだった。そこに、精神的な弱さを見せていたかつての姿はない。今日、2月23日に30歳を迎える諸江に、もう迷いはない。町田に挑み、その先のリーグ制覇を見据える諸江が、大きな仕事をやってのける気がしてならない──。

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