2017.02.23 Thu

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【1st Roundプレビュー】「薫くんを止めないと勝てないんで、やりますよ」すみだのキーマンが森岡封じを宣言

写真:本田好伸

いよいよ24日、今シーズンのリーグ優勝チームを決する戦い、プレーオフが幕を開ける。リーグ4位として2年連続でこの舞台に挑むフウガドールすみだは、ホーム会場である墨田区総合体育館でリーグ3位のペスカドーラ町田と1st Roundを戦う。今シーズンの両者の対決は、すみだが3戦全敗。それでも、リーグ戦とは性質の異なる一発勝負の戦いに、すみだは確かな勝機を見出している。そしてこの試合の鍵を握るのは、“ピッチ上の監督”諸江剣語である。このクラブで花開いた30歳は、森岡封じを宣言した。
(取材・文 本田好伸)

怖くないドリブラーから攻撃的フィクソへ

「もう、迷いはないですから」

 そう話す目には力強さがある。諸江剣語は今、自身のキャリアのなかでも、特に自信に満ちあふれた時期を過ごしている。フウガドールすみだの“ピッチ上の監督”として攻守の鍵を握り、相手の攻撃の芽を摘み取り、いち早く自チームの攻撃へとつなげていくフィクソが、プレーオフ1st Roundで激突するペスカドーラ町田戦の鍵を握っている。

 かつて北信越リーグでプレーしていた諸江は、そのポテンシャルを評価されてバルドラール浦安の前身であるプレデターに加入、2007年のFリーグ開幕を経験した。ただし、周囲の期待を背負いながらもピッチで持ち味を出し切れず、満足のいく出場機会を得られない。周りを気遣う人柄が災いし、先輩に遠慮し、ピッチで物怖じしてベンチに戻ってくると、次の出番は日に日に少なくなっていき、気が付けば、浦安セグンドへの降格を余儀なくされる。セルジオ・サッポやミゲル・ロドリゴといった歴代の日本代表監督も注目してきた逸材は、「うまいが、怖くない」という、ブレイクできないまま伸び悩む若手プレーヤーの一人にすぎなかった。

 ネガティブな思考に陥り、「なんでダメなんだろう……」と思い悩む諸江の転機は、間違いなくすみだへの移籍だった。10年に須賀雄大監督からの誘いを受けて、当時、関東リーグを戦っていたFUGA TOKYOに新天地を求めると、周囲には、「諸江はもう、Fリーグに戻って来れないだろう」と言う人たちもいた。ただ実際には、関東リーグで埋もれるどころか、“静学出身”のテクニカルなドリブラーではなく、「攻撃的フィクソ」という新たな才能に目覚め、同時に精神力を鍛えながら成長を遂げた。

 すみだがFリーグ入りした2014シーズン頃には、完全にチームの中心選手として欠かせない存在になっていた。再びFリーグの舞台に戻ってきた諸江は、上背こそないが、屈強なピヴォに負けないフィジカルベースをつくり上げ、リーグ随一の体幹と下半身の強さを武器に、底辺でボールを持ちながら采配を振るう、新時代を象徴するプレースタイルを見出していた。守備だけではなく、前線へと持ち上がるドリブルで相手を引き付け、周囲を生かすアグレッシブなプレーは、すみだの大きな武器となった。

 そんな、押しも押されぬFリーグのトッププレーヤーになった諸江だが、ここ数試合のプレーにはアグレッシブさが欠けているようだった。それには大きな理由がある。

<次ページ>森岡を抑えれば攻撃力は半減する

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