2016.10.19 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第15章「その9:2011年3月11日、全日本選手権の真っ只中で発生した東日本大震災」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

16年目の全日本選手権中止

 2011年3月11日(金)14時46分、第16回全日本選手権の代々木第一体育館が突然揺れ始めた。といってもこの時間は報道で知った時間であるが、おりしも、2次ラウンド準々決勝2試合が終わり、これから第3試合が始まろうとしていた矢先であった。

 ピッチでは、第3試合の湘南ベルマーレとステラミーゴいわて花巻の選手達がアップを始めていた。最初は、大きな揺れではあったが、いつもの地震でいずれは収まるだろうくらいに考えていたが、収まることはなく、むしろより激しくなり、会場内は騒然となった。しかし、MC中村義昭(DJジャンボ)の適切な場内アナウンスのおかげもあって、比較的冷静に観客たちは体育館に出ることができた。

 あとでわかったことであるが、それは、東北、東関東地方を襲った大震災、いわゆる「東日本大震災」であった。むろん、残りの2試合は中止、さらに翌日からの準決勝、決勝も中止と発表された。

 結局、3月24日、今年度は大会自体が中止と発表され、第16回選手権は幕を閉じることとなった。ちなみに、記録に留めておく意味で、2次ラウンド準々決勝の組み合わせを見てみると、第1試合がバルドラール浦安対バサジイ大分、第2試合がデウソン神戸対府中アスレティック、第3試合が湘南ベルマーレ対ステラミーゴ岩手花巻、第4試合が名古屋オーシャンズ対ファイルフォックスであった。関東同士の対決はなく、抽選により、ファイル対名古屋の因縁対決がまたしても行われる予定であった。

 そして、第1試合が2-1で浦安、第2試合が8-3で府中が勝利、関東勢2チームのどちらかが決勝まで進むことが約束された。恐らく、名古屋対関東勢の戦いになったであろう。

 それにしても、名古屋は選手権にまたしても見放される結果となった。前身の大洋薬品バンフの時こそ優勝を飾ったが、名古屋オーシャンズになってからは、1年目は浦安に、2年目はフウガに、いずれも決勝で敗れ、3年目はアジアクラブ選手権出場のため欠場、そして4年目は大震災で大会自体が中止となった。この結果、注目だった名古屋オーシャンズの年間3冠は、ついにこの三国志を記述中は成らなかったことになる。

 さて、奇しくもこの大会中止が三国志の掲載年の最後の記録になることもあり、ここで少し、全日本フットサル選手権の歴史について述べておきたい。覚えておられる方も多いと思うが、本誌の第1章その1は「それは選手権から始まった」であった。

 そのフレーズのとおり、競技フットサルの歴史は、選手権から始まったと言って過言ではない。フットサルの特長である「いつでもどこでも誰でも」の名のとおり、誰でもが日本一になれる夢のある大会であった。

 そして、今回の中止になるまでの15年間、16年目まで、どれだけ多くの選手、家族、友人、関係者たちがその夢を追いかけ、挫折も味わいながらここまで来たかと思うと感慨深いものがある。ちなみに、中止以降も含めて歴代の優勝、2位、3位までのチーム名を列挙してみよう。

(簡易表記、本文中と同じ表記) 
1996年 第1回 ルネス学園 札幌蹴球団 NTT九州サッカー部
1997年 第2回 府中水元クラブ 三菱黒崎FC 広島大学サッカー部
1998年 第3回 ルネス学園 アズー 横浜マリノス
1999年 第4回 ファイルフォックス 筑波大蹴球部 グレートホッチポッチ
2000年 第5回 ファイルフォックス アスパFC FC小白川
2001年 第6回 カスカベウ ファイルフォックス ボルドン
2002年 第7回 ファイルフォックス Suerte bunff 小金井ジュール
2003年 第8回 ロンドリーナ カンカンボーイズ カスカベウ
2004年 第9回 バンフ東北 ファイルフォックス フトゥーロ
2005年 第10回 ファイルフォックス エマーソンFC ダイワスポーツ札幌
2006年 第11回 プレデター フォルサベルチ 高槻松原FC
2007年 第12回 大洋薬品バンフ 府中アスレティック ファイルフォックス
2008年 第13回 バルドラール浦安 名古屋オーシャンズ シュライカー大阪
2009年 第14回 フウガ目黒 名古屋オーシャズ デウソン神戸
2010年 第15回 シュライカー大阪 湘南ベルマーレ デウソン神戸
2011年 第16回 中止
2012年 第17回 シュライカー大阪 バルドラール浦安 府中アスレティック
2013年 第18回 名古屋オーシャンズ フウガすみだ エスポラーダ北海道
2014年 第19回 名古屋オーシャンズ エスポラーダ北海道 バルドラール浦安
2015年 第20回 名古屋オーシャンズ デウソン神戸 ペスカドーラ町田
2016年 第21回 ペスカドーラ町田 名古屋オーシャンズ バルドラール浦安

 こうしてみると、第16回の中止までは、関東代表選出チームが15回中10回優勝を占めており、突出していたことがわかる。しかし、最近の第21回までの累積でみると、名古屋の活躍が影響して、名古屋以西としてまとめると20回中関東が12回、名古屋以西が8回と拮抗する勘定になる。

 関東三国志としては、関東の躍進を期待したい反面、多様な地域のチームが優勝することで、昔のような夢のある大会となって欲しいものである。

 さて、今回のお宝写真は、大震災から2か月あまり経過した2011年5月3日、駒沢体育館で行われた被災地復興支援のチャリティマッチの模様としよう(ラブフットボール提供)。

 このチャリティマッチは、中止になった大会関係者がフットサルを通じて何か被災地に支援ができないものかと考え、準々決勝参加の8チームによるオールスターマッチの形式で開催したものである。

 奇しくもこの原稿を書いている本日(2016年10月8日)、仙台でFリーグ設立10周年記念のオールスター戦が行われている。なぜ仙台かというと、大震災の復興支援も開催目的の1つだという。不思議な縁だが、実は、その5年前、別の形式ではあるがオールスター戦は行われていたことになる。ちなみに、その時のメンバーを紹介しておこう。

Dream Stars
監督 中村恭平(府中)
コーチ 谷本俊介(府中)
浦安 藤原潤/稲葉洸太郎/中島孝
大分 白方秀和/仁部屋和弘/小曽戸允哉
神戸 西谷良介/吉川智貴/原田浩平
府中 伊藤雅範/清水誠/村山竜三

Power Stars
監督 小野直樹(湘南)
コーチ 松村栄寿(ファイルフォックス)
湘南 豊島明/田中智基/野嶋倫
花巻 久光邦明/後呂康人/冨田祐耶
ファイルフォックス 難波田治/長尾龍/曽根直人
名古屋 森岡薫/木暮賢一郎/篠田龍馬

 このメンバー表を見てもわかるとおり、関東リーグから決勝トーナメントに進出、代々木に戻ったファイルフォックスにとっては、望んでいた名古屋オーシャンズとの因縁対決は、全く別の形、オールスターのチームメイトとして戦うことになったのである。

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 冒頭の写真は、「Dream Stars」(青のユニフォーム)の仁部屋が、後半に勝ち越しとなる2点目を決めた時、サポーターに全員が駆け寄るシーンである。

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 2枚目の写真は、試合開始前、被災地で亡くなられた方々に黙祷を捧げるシーン。

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 3枚目は、「Power Stars」(ピンクのユニフォーム)が、名古屋コンビで2-2同点ゴールを挙げた時、チームメイトの難波田を交え、難波田、木暮、森岡の3人が抱き合って喜ぶシーンである。(恐らく、これは相当貴重な写真)

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 最後に、試合後のセレモニーの記念写真、ところで、このPUMAカップは今どこにあるのであろうか。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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