2016.10.06 Thu

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【検証レポート】なぜFリーグには新しいスターが出てこないのか? フットサル界が解決すべき「育成」という課題。

フットサルチームが勝てない、そもそも少ない理由

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 筆者は、育成年代でフットサルチームが少ないという現状こそが、フットサルの発展を著しく停滞させているという感覚を抱いている。それは、日本サッカー協会が主催する、各年代のフットサル大会を取材していて痛感してきたことでもある。

 ジュニア(U-12)年代の最高峰のフットサル大会は「バーモントカップ」だが、参加チームの大半は、日頃からフットサルに取り組んでいない。この年代から、当然のように勝利至上主義が横行し、勝つための手段として、パワーやフィジカルに頼るチームが多い。フットサルのピッチで起きる現象を理解し、それを子どもたちに体感、体得させることでサッカーのスキルアップにつなげていこうと前向きに取り組む指導者は少ない。必然的に、子どもたちはピッチで選択肢を持たず、ロングボールの蹴り込みや、強引なシュートを繰り返す。

 ここで最も問題だと感じているのは、そうした「フットサルコートでフットサルをしないチーム(できないチーム)」に、「日頃からフットサルに取り組んでいるチーム」が勝てない、ということである。

 いかに相手の攻撃を防ぎ、自分たちの攻撃を発揮するのかということで言えば、それはフットサルを志向するチームに限らず、すべてのチームがフットサルと向き合い、その方法を探るべきである。

 このコラム(“投げ合い”から”蹴り合い”へーーポートボール化するバーモントカップ。このままで子どもたちは成長できるのか?)でも記したが、“蹴り合い”で勝てている限り、その戦いが横行するのは必然のことであり、間違っているとは言えない。このバーモントカップを見たFリーグCOO補佐も務める北澤豪氏は、サッカー番組「FOOT×BRAIN」で「守備力の低下」を提言していたが、これは守備に限った話でもなく、「攻守両方のアプローチが足りない」という話でもある。

 対応できない守備も問題であり、選択肢を持たない単調な攻撃も大いに問題である。要するに、フットサルを知らない指導者が多いのであり、それは当然、子どものプレーにダイレクトに影響している。これは、フットサルどころか、フットボールが前進していかないことを示す日本の現状である。

 フットサル大会でフットサルチームが勝てないという状況は、その先の「全日本ユース(U-15)フットサル大会」、「全日本ユース(U-18)フットサル大会」にも引き継がれている。16年1月に行われた第21回の全日本ユース(U-15)は、長岡JYFCがこの4年間で3度目となる優勝で連覇を達成した。彼らは、フットサルを軽視するチームではなく、むしろ理解を示しているチームではあるが、日頃からフットサルのトレーニングを積んでいるチームではない。

 さらに8月に行われた全日本ユース(U-18)は、フットサル専門チームのフットボウズが存在感を示したが、決勝で帝京長岡高校高校に敗れて準優勝に終わった。帝京長岡は、先の全日本ユース(U-15)で長岡JYFCのメンバーとして優勝経験を持つ選手も多く、フットサルの素養を持つチームだと言えるが、それでも高校サッカー部のチームである。フットボウズが圧倒的な強さで優勝するくらいの実力を要さない限りは、広く一般の指導者や世間に対して、フットサルの有用性をアピールすることはできない。

 これは余談だが、育成年代のフットサル大会で指導者や選手に話を聞いていると、「自分たちのサッカーをする」という言葉が出てくることが少なくない。単純に、「フットサル」と言いたかったところを「サッカー」と言ってしまうケースも目立つ。ただいずれにせよ、それくらい意識がフットサルには向いていないのだろう。

 先ほど、「育成に着手するフットサルチームが少ないという現状が問題」と指摘したが、これはつまり指導者不足も意味している。育成年代のそれぞれのカテゴリーに応じた指導を、というかそもそもフットサル自体の指導をできる指導者が少ない現状こそが、フットサル界の育成が進まない最大の理由に他ならないだろう。

 次回は、この現状を打破するために不可欠なFリーグの育成事情について考察し、さらに、この先のフットサルの育成の可能性を探っていく。

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