2016.10.06 Thu

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【検証レポート】なぜFリーグには新しいスターが出てこないのか? フットサル界が解決すべき「育成」という課題。

それぞれの年代で学ぶべき技術や戦術がある

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 日本フットサルにおいて、育成の重要性が広く語られ始めたのは前任のフットサル日本代表監督、ミゲル・ロドリゴが就任した09年以降である。ミゲルがそれまで携わってきたスペインフットサルは、ジュニア年代を教える指導者たちが、フットボールにおいて適用される、体系化された育成メソッドに基づいて子どもたちを指導する(スペインでは年齢の分類や、それぞれのカテゴリーごとの概念も日本とは異なるが、ここでいうジュニア年代とは主に9歳くらいから10歳までのことを指す)。

 選手たちはその後、12歳までに少人数制のサッカーも経験し、13歳になると「フットサルかサッカーか」という選択肢からいずれかを選び、その後のフットボール人生を進んでいく。かつて、ジョゼップ・グアルディオラが率いたバルセロナが世界中を席巻したメンバーの大半がバルセロナのカンテラ(育成組織)出身だったことが注目を集めたが、その例が示す通り、世界のフットボールでは、育成年代の選手をどのようにトップカテゴリーへ導いていくのかを、指導者が考えなければならない。

 ミゲルも例外ではなく、フットサル、サッカーを問わず、多くの指導者たちに、ジュニア年代からフットサルをプレーしていくこと(=12、3歳くらいまではフットサルに取り組むこと)の有用性を説いてきた。ミゲルはよく、「フットサルはサッカーの約6倍のボールタッチの機会がある」と言い、いわゆる足技のようなテクニックというよりもむしろ、ピッチの状況を踏まえた判断や決断、実行など、トップ選手が等しく学ぶべきフットボールの原理原則を理解することができるものなのだと訴えていた。

 そして、「子どもは子どもであり、小さな大人ではない」という考えのもとで、それぞれの年代に応じて、技術や戦術、精神面で学ぶべきものがあるために、それぞれに適したアプローチが重要であるということを示した。そうしたものを踏まえて、ミゲルは、学校教育にもフットサルを導入すべきだと提唱して教師向けの指導に着手したり、最も人材不足だとされる指導者の養成にアプローチし、子どもたちをきちんとしたメソッドに基づいて指導できるよう、フットサル指導者ライセンスの整備にも尽力した。ただこうした働き掛けはまず、ジュニア年代の指導者というよりも、Fリーグの日本人監督であったり、各地域リーグを戦うチームの指導者たちが学ぶところから始まった。

 フットサル指導者ライセンスの最初の発行は08年であり、まだ構築途中にあることを考えても、まずはトップに近いカテゴリーの指導者自身が学び直さないといけないというのは当然のことであり、そもそもフットサルの育成年代の指導者が少ないために、そうならざるをえない。現在、そのライセンス制度はC級、B級と発展してきたため、今後は、そうした指導メソッドを獲得したトップチームの指導者たちが、育成年代へとアプローチしていくという段階にある。ただそのフェーズへの移行がなかなかなか進まない。それこそが、フットサルの育成がなかなか進まない現状を示している。

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フットサルチームが勝てない、そもそも少ない理由

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