2016.10.05 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第15章「その8:名古屋の猛攻を凌いだファイル。狙い通りの“ワイルドカード”をつかむ」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

関東の復権

 2011年3月5日から大阪の舞洲アリーナ、神戸のグリーンアリーナで第16回全日本フットサル選手権の1次ラウンド(予選リーグ)が開催された。参加チームは、Fリーグ10チームと、北海道1、東北1、関東3、北信越1、東海2、関西2、中国1、四国1、九州2の24チームであった。今年度からフットサル施設枠と大学枠が廃止され、すべて地域の代表がFリーグに挑む大会となった。ちなみに、前回は2次ラウンド(決勝トーナメント)に進んだのは全てFリーグのチームであった。

 ところで、参加チーム枠の変更ばかりでなく、予選グループの順位決めのルールも変更になっていた。第15回までは、勝ち点が同じ場合は、得失点差、次に総得点、次に当該チーム間の対戦成績、抽選の順番であった。しかし、今大会から、勝ち点が同じ場合は、当該チーム間の対戦成績、当該チーム間の得失点差、当該チーム間の総得点差、グループ内の得失点差、総得点、変則の数、抽選と続くルールに変更になったのだ。

 これは、予選グループは6グループあり、Fリーグチーム数は10チーム、したがって、Fリーグチームが2チーム同居するグループが4つとなり、Fリーグ対地域リーグの得失点差でグループの順位が決まってしまう確率が高くなる弊害を無くそうとするものである。まさか、その適用が早くもなされ、悲喜こもごもの結果になるとは誰も予想できなかったに違いない。

 では、どこの予選グループで起きたのであろうか。それは。Bグループで、このグループには九州代表のボルク北九州、関東のフウガ、湘南ベルマーレ、シュライカー大阪のFリーグ2チーム同居の組み合わせであった。昨年までであったら、九州代表のボルク北九州が標的にされ、いかにこのチームとの対戦で大差をつけるかが焦点になったことであろう。しかし、今年からは、フウガ、湘南、大阪の3チームの直接対決がものもいうことになった。

 そして、初日、大阪対フウガは3-0で、湘南対ボルクは6-0でまずは大阪がリードした。2日目のフウガ対湘南は、なんとフウガが5-4で湘南を下し、フウガは五分に持ち込むことに成功する。大阪対ボルクは11-1で大阪が大勝する。この時点で大阪が2勝、以前のルールだったら1敗しても得失点差16であるからほぼ大阪が1位抜けで決まりと思われた。しかし、最終日、フウガは頑張ってボルクを16-3で破り、2勝1敗、得失点差を10点とした。この時点で、フウガは大阪が湘南に勝てば大阪が1位抜け、フウガはグループ2位になってワイルドカード争いに残るはずであった。しかし、新ルールのせいで、湘南ががんばった。なんと、湘南が大阪を4-2で下したため、3チームが1勝1敗の同勝ち点、したがって当該チーム間の得失点差争いとなり、大阪、湘南が同じプラス1、フウガがマイナス2となり、この時点でフウガは3位で予選リーグ敗退となってしまった。大阪、湘南は得失点差が同じだから総得点の争いとなり、湘南がグループ1位、大阪は2位となり、得失点差11でワイルドカード争いにまわることになってしまった。

 フウガは、Fリーグチームを下しながら、新ルールにより涙を呑んだ。もっとも、ワイルドカード争いに残ったとしても、結果的には他のチームが得失点差で上回り、2次ラウンドには進めなかった。

 他のチームとは、実は同じ関東代表のファイルフォックスであった。ファイルは、なんと因縁の名古屋オーシャンズと同組のCグループとなった。因縁とは、周知のとおり、名古屋には定永久男、木暮賢一郎、前田喜史、森岡薫の4人のファイル出身のメンバーがいるからである。一方のファイルには、ファイルから名古屋オーシャンズの前身である大洋薬品バンフに移籍、その後古巣に戻った難波田治、ウイニングドッグ時代から木暮のチームメイト岩田雅人がいた。

 ファイルのゲームプランとしては、名古屋に最小失点で負け、他チームには大量得点で勝利することであった。名古屋以外のチームは北信越代表のジョガボーラ、四国代表のディスダードであった。実際、ファイルは初日のジョガボーラに8-1、2日目の名古屋戦を最小得失点差の0-1で負け、3日目の試合に賭けることとなった。ここでも難波田の若い選手たちへの鼓舞が光り、粘り強い守備で名古屋の猛攻を1点に抑えるのだった。ちなみにワイルドカードのもう1枚はAグループのバルドラール浦安は2勝1分けで確保している。

 もう1チーム有力なワイルドカード狙いのチームがあった。それは、グループEのペスカドーラ町田で、同組にはデウソン神戸、ナスパ四日市(東海)、レオン福岡(九州)がいた。まず、デウソン神戸が5-1で町田を下し、3勝として1位抜けを決める。町田は2勝1敗狙いの大量得点が必須となった。町田の3日目の相手は、レオン福岡でそれまでの得失点差は神戸に大差で負けたのが痛く、マイナス1であった。しかし、レオン福岡に14-2の大差で勝利し、得失点差を11とする。これは、大阪と同じであるが、総得点で大阪を上回っているから、ファイルの結果次第となった。試合はファイルより1試合早く終わっている。

 ファイルは、得失点差6であるから、6点差を付けてディスダード(四国)に勝たねばならなかった。守備は堅調だが、得点力には不安のあるファイルだったが、この日は違っていた。当時はチームメイトだった選手が多くいる王者名古屋にみっともない負け方をせず、1点差で乗り切ったことが自信をつけたのであろうか。荻窪孝が大爆発、6点を奪う活躍を見せ、10-2で大勝をする。この結果、得失点差を14とし、町田を退けてワイルドカードにより決勝ラウンド進出を果たすのだった。同時刻スタートで名古屋対ジョガボーラが行われていたが、さきに試合が終わったため、名古屋の木暮、前田らがファイルを応援している姿が印象的であった。

 なお、関東第3代表のカフリンガは、死のグループと呼ばれるDグループに入ってしまった。このグループには、関西代表のSWH、エスポラーダ北海道、バサジイ大分のFリーグ2チームがいて、関東、関西の地域代表とFリーグ2チームが激突するグループとなった。カフリンガは、エスポラーダ北海道に引き分け、関西代表で関西リーグ優勝のSWHに9-6で勝利する健闘ぶりを見せた。しかし、バサジイ大分に2-6で破れ、予選リーグ敗退で初出場の選手権を終えた。

 関東代表の3チームは、関東リーグ1位のカフリンガが関西リーグ1位のSWHを破り、関東の面目を保つと同時にFリーグチーム北海道と引き分け、2位のフウガが湘南ベルマーレを破り、古豪ファイルは名古屋に0-1と健闘、1次ラウンドを突破するなどいずれも好成績を納めた。

 ちなみに、1次ラウンド突破は、Fリーグが岩手、浦安、湘南、名古屋。大分、神戸、府中の7チームと地域リーグからファイルの合計8チームで、関東は4チームを占めることとなった。

 西高東低と揶揄されたこともあったが、関東の復権の日は近い。

 さて、お宝写真は、本文でも述べたとおり、ファイルフォックス対名古屋オーシャンズの因縁対決の写真にしよう(写真提供/ラブフットボール)。冒頭の写真は、両者の試合前の握手の写真で、なんと名古屋には木暮、ファイルには難波田が写っており、ファイル全盛時代の名コンビが対決する。名古屋には、川原永光、あのリカルジーニョ、そして昨シーズン引退した北原亘、ファイルには、大量にFリーグ移籍のあと、補強なったメンバーの杉本聖和(20番)、曽根直人(19番)、望月徹(7番)らが写っている。ファイルにとっては、決勝トーナメント進出すなわち4年ぶりに代々木に戻れる重要な試合になる戦いであった。

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 ということで、こちらの写真は代々木帰還の願いを込めたファイル応援の横断幕にしよう。確かに4年ぶりの帰還は半ば達成したものの、実際には幻に終わるとは、この時、誰が想像できたであろうか。

 長い間ご愛読いただいたこの「関東フットサル三国志」も、あと2回を残して終わりとさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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