2016.09.28 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第15章「その6:全日本予選の決勝で実現した因縁対決。フウガvsファイルの関東激闘史」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

新しい力と伝統の力

 名古屋の4連覇が決まった2週間後の2月5日、6日と駒沢屋内球技場では、第16回選手権の関東予選大詰めの試合が行われていた。数々のドラマを生んできた選手権関東予選も、Fリーグが設立されてから4年目を迎える。ファイルフォックスと死闘を演じ、ようやく本大会決勝でファイルを下して優勝したカスカベウ、何度も何度も挑戦しながら予選突破できなかったがFリーグ設立直前のシーズンで優勝したプレデター、カスカベウに関東予選で負けながら本大会に出場、最後はそのカスカベウを破って優勝したロンドリーナなどはもういない。

 逆に、一昨年Fリーグ優勝チームの名古屋を破って日本一になったフウガ、今年度の関東リーグ優勝チームのカフリンガ、めきめき力を付けてきたコロナ、ゾットなどがベスト8を占めるようになった。そんな中、唯一、1996年の第2回選手権予選から出場しているマルバ(当時はSHNHA&CO.+MALVAと称す)、1998年の第4回予選から出場しているファイルがベスト8に残っていた。2チームとも関東リーグの成績は良くなく、ファイル5位、マルバは最下位で降格であったが、伝統の力であろうか、ベスト8に駒を進めてきたのだ。

 マルバはゾットを、ファイルは、フュンフ(山梨)を倒し、ベスト4に進む。もう1つの山は、フウガがコロナを、カフリンガが2部優勝の柏を倒してベスト4に進む。奇しくも、ベスト4には古豪のマルバ、ファイルと新興の関東リーグ優勝のカフリンガ、2位のフウガが残る展開となった。このうち、3チームが選手権本戦出場の切符を得ることができる。

 結果は、古豪組はファイルがマルバを倒し、新興組はフウガがカフリンガを倒して決勝はファイル対フウガの因縁対決となった。2チームは、フウガのボツワナ時代を含めて過去に選手権出場をかけて5度も戦っている。

  最初は、第7回選手権で無名のボツワナがカスカベウを破った伝説の都予選の時である。この時は、都予選決勝で当たり、ファイルがボツワナを下し、ファイルが関東予選に進出、ボツワナは関東予選へ進むことはできなかった。ボツワナはこの敗戦をきっかけに本格的にフットサルに取り組むようになる。この年の優勝チームはファイルであった。

  2度目の対戦は、第11回大会都予選の予選ブロックで当たっている。これも伝説となりつつある残り1秒のキックインドラマの結果、ボツワナが土壇場で勝ち越し、ファイルは予選ブロック敗退となってしまう。(第9章栄華期の頂点その7「残り1秒、キックインドラマの仕上げ」を参照)この年の関東代表は、フォルサヴェルヂ、プレデター、カスカベウ、ロンドリーナで、優勝はプレデターであった。

  3戦目は、第12回大会で、この時は3位決定戦で当たり、ボツワナが勝っている。この年は、4チームまでが本戦に出場できるため、両チームとも本戦に出場した。この年の関東代表は、プレデター、府中アスレティック、ボツワナ、ファイルで、優勝チームは大洋薬品バンフである。ボツワナは初出場を果たす。

 4戦目は、第14回大会で、準決勝で当たり、フウガが勝利、フウガは関東大会優勝のみならず選手権優勝の偉業を成し遂げる。ファイルは3位決定戦でカフリンガを破り、選手権出場を果たしている。この年の関東代表はフウガ、ロンドリーナ、ファイルである。ちなみにその前の第13回大会は、フウガは準決勝でフトウーロに敗れ、3位決定戦もシャークスに破れ、選手権出場はならなかった。13回大会は、関東代表は、ファイル、フトウーロ、シャークスで、バルドラール浦安が優勝している。

  5戦目は、第15回大会関東予選の3位決定戦で当たり、3-3のPK戦にもつれこみ、ファイルが勝って選手権本選へ進んだ。フウガは、前年選手権優勝、このシーズンの関東リーグを優勝しながら連続出場はならなかった。この年の関東代表はマルバ、ゾット、ファイル、優勝チームはシュライカー大阪である。

  これまでフウガが3勝2敗となっている今回の戦いであるが、今までとは違ってどちらも選手権出場を決めているので、淡々と試合は進められた。しかし、気迫はどちらかというとファイルが上回っていただろうか。とりわけ、復帰した難波田治の気迫は凄まじかった。難波田としては関東リーグを5位に終わり、不本意だったのだろう。若手を鼓舞し、2-1でフウガを下すのであった。ファイルの伝統である守ってカウンターで攻めるスタイルがようやく浸透、伝統が蘇る結果となった。

  マルバ対カフリンガの3位決定戦は、マルバが前半は2-1でリードするが、最後はカフリンガの地力が勝り、5-2でカフリンガが勝利、3番目の選手権本戦出場の切符を手に入れた。しかしながら、マルバも伝統のスピードあるカウンター攻撃が戻りつつあり、伝統の力でベスト4まで来た。1部復帰は近いのではなかろうか。

  こうして、関東リーグ1位、2位と伝統のチームの3チームが、Fリーグ所属のチームが待ち構える選手権本戦に臨むことになった。Fリーグが設立されてからの関東代表としては、新しい力と伝統の力がミックスした1番充実した代表である。楽しみな地域リーグの挑戦となった。これも未来への光明であろうか。

  さて、お宝写真は、全日本選手権関東予選決勝のファイル対フウガの試合の1コマにしよう(写真提供/ラブフットボール)。フウガといえば、もはやFリーグに参入、絶対王者名古屋オーシャンズのライバルと目されるまでに成長したが、関東リーグ時代は、ファイルフォックスに追い付き追い越せのチームでついに関東リーグ3連覇を成し遂げたチームである。このようなDNAを持っているチームなのであろう。

 左の写真はそのフウガを牽引する背番号4、諸江剣語の試合後である。いかにも悔しそうな表示がそのDNAを表している。諸江は、1989年生まれで金沢市出身、サッカーの名門静岡学園に留学、レギュラーを張るほどの実力の持ち主である。その後、フットサルに転向、最初はプレデターに加入、プレデターのFリーグ参入とともにFリーグも経験、ミゲル監督のアジアインドアゲームゲームス日本代表にも選ばれた。しかし、心機一転、フウガに2010年に入団、その2年目の写真ということになる。今や、Fリーグ、フウガドールすみだのキャプテンとして、無くてはならない存在となっている。恐らく、負けん気と苦労した経験が生きているのであろう。

  右の写真は、貴重な同点打を放ったファイルの19番、曽根直人である。曽根は、1987年生まれ、神奈川県出身、東海大相模サッカー部でプレー、その後フットサルに転向した。神奈川県のN.U.fantarsに所属していたが、セレクションでファイルフォックスに合格、小柄ながら鋭いドリブルからの突破が魅力で、めきめき頭角を現した。

 そして、この大会の2年後の2013年4月にはFリーガーを目指してフウガすみだに移籍、フウガのFリーグ参入とともにFリーグレビューを果たした。つまり、諸江と曽根は、このあとチームメイトになったというわけである。そして、今シーズン(2016)、曽根は再びファイルフォックスのユニフォームを着ることになった。果たして、2人が再び戦うことはあるのであろうか。今シーズン、ファイルは曽根、三木一将(バルドラール浦安)、藤本豊(ヴォスクオーレ仙台)の3人がファイルに戻ってきて、若手の成長も著しく、目下、関東リーグ1位である。もし、全日本選手権の関東代表ともなれば、戦う機会があるのかも知れない。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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