2016.09.23 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第15章「その5:名古屋オーシャンズが“予想通り”Fリーグ4連覇を果たす」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

名古屋の4連覇と中位以下の混戦

 関東リーグ最終節が行われた12月18日から年が明けた2011年1月16日、Fリーグでは早々と名古屋オーシャンズが4連覇を決めた。Fリーグ第22節であった。

 関東リーグが、最終節まで4チーム優勝の可能性があるデッドヒートを繰り返していた展開とは対照的に、この節で名古屋オーシャンズが勝ち点56、2位は府中アスレティックで勝ち点40と得失点差16を付けての優勝となった。最終25節の結果は、府中は2位を守り切れず、神戸、大分が浮上、2位、3位、府中は4位に終わった。

 昨シーズン途中から怪我で出場しなかったシジネイの代わりにリカルジーニョ、ウイルソンの代わりにネゴン、新たに若手、逸見ラファエル勝利の台頭などマイナス要素がなくプラス要素ばかりの名古屋が昨シーズンと同様、優勝を早々と決めることは当然といえば当然であった。実際、専門誌「フットサルナビ」が行ったポータルサイト主宰者、ライター、カメラマン、編集者などフットサル識者11人の優勝予想アンケートでは全員名古屋を優勝に投票していた。

 問題は、2位以下で2位から中位の予想が難しかったようである。それでは、大きく外した順から並べてみることにしよう。

 最も当たらなかったのは、ペスカドーラ町田の不振であった。予想では、平均4位であったが結果は9位に終わった。失点が118点、1試合平均4.4点のワーストではこれも仕方あるまい。浦安から市原誉昭、稲田祐介の移籍によりカスカベウの復活と前評判が高く、そのご祝儀投票もあったと思われる。なお、ジュニオール監督は14節終了時点で辞任、育成指導担当だった横山哲久(シャークスからペスカドーラ町田)が代わって監督指揮を執ることになった。

 逆に、順位を上げた方で当たらなかったチームは府中アスレティックである。予想は平均で8位と評判が悪かったが、4位まで順位は上げた。名古屋が優勝を決めたこの時点では2位だったから大躍進である。評判が悪かった理由は昨年最下位だったからであろうが、監督がセルジオ・ガルジェッリから中村恭平に交代となったこと、デウソン神戸から伊藤雅範を獲得、守備とメンタリティが強化されたこと、攻撃でポイントになるベッチーニョの加入などが過少評価されたものと思われる。また、タイからルーチャイを途中からであるが助っ人に呼んだ効果も大きいがこれは予想できなかった。実際、府中は昨シーズン最下位のときは得点、失点ともワーストであった。

 次に差があったのは、2位に8票、3位に3票の高得点をマークしたシュライカー大阪の不振で、この節も9位の湘南に1-2で破れ、この時点でなんとアドリアーノは退任、次節からドゥダが選手から監督への交代人事を発表した。(この辺の経緯は、第12章移籍勃発その10「日系ブラジル人監督の系譜」で書いている。)

 大阪が投票で2位の高評価だった理由は、昨シーズンの選手権制覇とGKイゴールの評価が高かったためと思われる。しかし、今シーズンは失点が昨年の50から67と1.34倍高く、一方、得点能力が70点とステラミーゴいわて花巻の58についでワースト2位では、最終順位5位に終わるのも仕方がないところである。

 次に、バサジィ大分が投票では平均5.7位が結果は3位、エスポラーダ北海道が投票では平均4.1が7位と開きが3位くらいになっている。

 デウソン神戸は、予想では平均4位だったが、結果は2位、まあまあ当たった方であろうか。鈴村拓也が昨年後半からスペインに戻ってきて、守備の強化が図られ、山田ラファエルユウゴ、原田浩平の攻撃陣などバランスが評価され、結果もほぼ期待どおりだった、

 若手中心に切り替えた浦安は、監督にサテライトを指導していた岡山孝介を起用、ベテランの市原、稲田を放出し、サテライトから小倉勇、瀬川昴暁などを抜擢した。予想では戦略ダウンの心配の向きもあったが、平均予想が8.0位、結果は6位で若干健闘を見せた。

 湘南ベルマーレは、監督が奥村敬人から再び小野直樹が指揮を執ることになったが、戦力の方は大きなプラスマイナスがなく、予想も平均7.5位、結果も8位であった。ステラミーゴ岩手花巻も予想9.6位、結果10位と同様である。

 このような結果を見てみると首位と下位は比較的予想がつくが、中位がなかなか予想しにくいということがいえる。

 これはなぜだろうか?

 無論、実力が伯仲していることもあろう。実際、2位から5位までは勝ち点2差内にひしめいている。しかし、本質的にはFリーグはプロリーグではないことが要因に挙げられよう。つまり、プロリーグならば選手の実力が俸給に反映され、その集合体としてのチームにその実力が反映される。例えば、Jリーグでいえば、選手の年俸の合計金額でチームの順位がほぼ決まるといわれている。サッカーばかりでなくプロ野球においても同じことがいえる。

 逆に言えば、選手の査定システムが出来上がっているとも言える。例えば、有名なのはプロ野球の楽天で、あらゆるシーンを想定して、そのプレーに点数がついて、その点数を金額換算すると年俸が決まるといわれている。サッカーJリーグでも、ビデオ映像から選手のプレーを解析、選手の査定や作戦立案に使われている。

 フットサルにおいても、スペインリーグでは、多くの監督は選手がピッチに立っている時に得点が入ったらプラス、失点したらマイナス、シュート、ゴールの数はもちろん、パスの数、成功率などのスコアを付けて、査定や選手のレベルアップに役立てている。

 むろん、順位予想にこのようなツールを使えといっているわけではなく、まだまだ、選手の査定の仕組みができておらず、その仕組みの整備が急務であると考える次第である。

 また、第三者が選手を査定するばかりでなく、選手自身も自己評価を行い、常に危機感を持って試合に臨む必要がある。

 Fリーグが設立されて4年、どれだけ選手はレベルアップできたのであろうか。選手はどれだけチームにどんなプレーで貢献できたのであろうか。プロならば、簡単である。年俸がそのバロメーターに他ならないからである。

 Jリーグも初期の頃は、リネカー、リトバルスキー、ジーコなど有名外国人による観客動員を図った時代があった。しかし、今は逆に海外にどんどん人材を輩出するまでになった。Fリーグもいずれはリカルジーニョ頼みには限界があろう。そのためには、日本人プレーヤーのレベルアップが必要で、そのためには、プロ化でなくとも、何らかの査定の仕組みがないと選手もチームも発展はない。

 さて、お宝写真は、予想を外さず毎年優勝の名古屋オーシャンズ4連覇のご褒美ではないが、アジアクラブ選手権の優勝記念写真にしよう。この写真は帰国後のオーシャンアリーナで行われた優勝報告会の集合写真である(フットサルネット提供)。第2回目となるアジアクラブ選手権は、2011年6月よりカタールで行われ、名古屋オーシャンズは、予選リーグを順調に3勝0敗で突破した。

 決勝トーナメント準決勝は、レバノンのアルサダカでこれを2-1で破り、決勝進出を果たす。決勝は、強豪イランのシャヒド・マンスーリだった。試合内容は、インターネットテレビで何とか日本でも見ることができ、覚えておられる方も多いと思う。前半終わって0-2、しかも北原亘が2枚目イエローで退場という厳しい状況から、木暮賢一郎、森岡薫の得点で延長に持ち込む。延長も前半は0-0、後半3分、ついに渡邊知晃が逆転打、劇的に日本のクラブがアジアの頂点に立った。

 Fリーグの各チームは、日本で優勝はもちろん、アジアNo1を目指す気概をもって戦って欲しい。ちなみに、つい先日、名古屋は7回開催中3回目の優勝を果たしている。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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