2016.08.22 Mon

Written by EDGE編集部

コラム

“投げ合い”から”蹴り合い”へーーポートボール化するバーモントカップ。このままで子どもたちは成長できるのか?

フットボールの原理原則を無視して選手の成長はない

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 この状況はもはや「フットサル」ですらないと感じている。フットサルとは決して、パスを回したり、相手を崩したり、スペースを使ったりすることを指すものではない。むしろ、いかにゴールを奪うのかという部分の根本的な考え方はサッカーと同じはずである。相手のプレッシャーを感じて自ら攻撃権を放棄し、単調な蹴り込みを続けて自陣での守備機会すら回避してしまうというように、攻守の攻防や駆け引きもなく、フットボールの原理原則を無視してしまえば、選手としての成長は見込めない。ゴールを奪う手段が目的のようになってしまうことで、もはや何の競技なのかも分からなくなってしまうだろう。

 子どもたちは勝敗にすべてを懸け、その結果次第で人生を左右されるようなトップアスリートではない。競技の未来を担っていく小学生年代の選手に、勝利という結果だけを求めてしまったら、成長の可能性を奪ってしまいかねない。そうは言っても、短期間でチームを仕上げなくてはならないこの年代(からユース年代まで)では、結果を早く求めることが起こりがちなのかもしれない。良い結果が出れば、良い選手が入ってくるかもしれないと、クラブのフロントが考えるのも当然だろう。ただ、もしかしたら数年後、もっと素晴らしい選手になる可能性があるにも関わらず、そこに対してアプローチをせず、成長の機会を奪ってしまっているとしたら、それは将来のフットボール界にとってもマイナスなことでしかない。

 そんな思いを抱きながら、一方では、それで勝ててしまうチームがいる以上、世間を説得するのは簡単なことではないとも感じている。負け犬の遠吠えは、むなしく響き渡るだけである。だからこそ、選手の成長と勝利を同時に追究するチームが増えないと、現状を変えていくことはできないと感じている(ルール改正に動く人が出れば少しは変わるかもしれないが)。

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勝ち方ではなく、戦う術とメッセージを子どもたちに

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