2016.08.18 Thu

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第14章「その4:フウガの関東3連覇が象徴する“フットサルのメッカ”府中の栄枯盛衰」

写真:伊藤大和(さすらいフットサラー)

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

フットサルのメッカ府中の栄枯盛衰

 2009年12月5日、北区滝野川体育館で関東リーグ1部の第12節が行われた。恒例の選手権予選のための中断が明けた最初の節であった。この節は、アルティスタ6-5フトゥーロ、カフリンガ2-2ファイルフォックス、フウガ6-4マルバ、ゾット4-2ブラックショーツとなり、フウガがほぼ優勝しかも3連覇を手中に納めることとなった。2位ゾットとの勝ち点差は6で残りが2試合、得失点差は10であるから決まったようなものである。開幕こそ2連続引き分けで、多くのFリーグ移籍者の影響かと心配されたが、負けなかったことが今年のフウガを象徴しているようだ。開幕2引き分けのあとは、ゾットに負けるまで5連勝したから、いかに最初の2引き分けが価値あるものだったかがわかる。つまり、昨年からの戦力ダウンを組織でカバーし、安定した戦いぶりを示したのだった。

 このフウガの優勝を手伝ったかのようなチームがあった。それは、ファイルフォックスとフトゥーロだった。ファイルフォックスに至っては、フウガに2-7、4-8と大量失点で2敗、フウガの得失点差の90%を献上した。この時点で、ファイルフォックスは最下位、フトゥーロは6位で、府中の名門2チームが残留争いをする状況となっていた。

 一方、Fリーグに目を転じてみると、同じ12月5日に16節が行われ、府中アスレティックは、バサジイ大分に1-4で敗れている。第8節から9連敗中で、順位は最下位であった。

 フットサルのメッカといわれた府中で、黄金時代を築いた3チームが、関東リーグで6位と最下位、Fリーグで最下位とは、栄枯盛衰は世の常とはいえ誰が想像したであろうか。

 しかし、これは時代の流れの象徴であろう。フットサルの人材、技術、情報が府中ひいては関東に集まり、一時期は栄耀栄華を極める。しかし、全国リーグが出来て、人材および技術、情報は全国に拡散する。その結果、関東ひいては府中は衰退を始めたのだった。

 奇しくも、この12月5日、ペスカドーラ町田はシュライカー大阪に0-5と大敗、前節の名古屋オーシャンズとの直接対決に続いて2連敗、いっきに優勝から遠のいてしまった。ちなみに、バルドラール浦安は5位、湘南ベルマーレは8位であった。

 12月5日から1週間後、関東リーグの第13節が行われた。ついにフウガがファイルフォックスを8-4で破り、最終節を残して前人未踏の3連覇を達成した。3度優勝のファイルフォックスを倒して3連覇達成が象徴的であった。皮肉なことに、この結果、ファイルフォックスとフトゥーロの残留争いが始まった。最終節、ブラックショーツ対フトゥーロ戦でフトゥーロが負けると、もう1試合のファイルフォックス対マルバ戦の結果次第でどちらかが自動降格、どちらかが入れ替え戦にまわるということになったのだ。

 そして、12月23日の第11回関東リーグの最終節、ブラックショーツ対フトゥーロ戦は、ブラックショーツが4-1でフトゥーロを破り、残留を決めている。そしてファイル対マルバ戦、結果は、3-0でファイルがマルバを破り、フトゥーロが降格、ファイルが入れ替え戦にまわることになった。

 最終節の最終試合、フウガはカフリンガを4-2で下し、11勝2分け1敗で有終の美を飾った。準優勝は唯一フウガを破ったゾットが入った。また、3位にはマルバ、4位アルティスタ、5位ブラックショーツ、6位カフリンガという順位だった。

 まさにフウガ優勝、ゾットが準優勝、フトゥーロが降格、ファイルフォックスが入れ替え戦にまわるという栄枯盛衰が現実のものとなった。

 ちなみに2部は、コロナが優勝、準優勝はIwatsuki Futsal Club/tzkで、コロナが昇格、入れ替え戦はファイルとIwatsuki Futsal Club/tzkで行われる。

順位表

 さて、お宝写真は趣向を変えて、フットサルナビに掲載された第11回大会の関東1部、2部の最終順位表にしよう。表を見てもらえばわかるとおり、フットサルのメッカ府中出身の2チーム、ファイルフォックスとフトゥーロが下位に並んでいる。Fリーグに参入した府中アスレティックが最下位だったから、府中の栄枯盛衰の象徴の順位表といえよう。2チームはわずか3勝しかできず、フウガは2引き分けのあとは1敗しかしなかったから、フウガの完勝であった。フウガは関東リーグ史上初の3連覇を達成した。

 ちなみに、7年後の現在の関東1部は、フウガが抜け、マルバ、アルティスタ、フトゥーロの3チームが降格したままである。代わりに2部にいたコロナ、柏、この時は、まだ千葉県一部リーグだったFCmm、東京都1部リーグだったリガーレ東京(当時はデルソーレ中野)、群馬県リーグだったデルミオーレクラウド群馬(途中で改名、現在の監督はあの岡田サントスジオゴ)の5チームが1部に昇格している。現在は、Fリーグには関東から5クラブ参入、関東1部に9チーム、2部に12チーム、以下都県リーグと連なるピラミッド構造が完全に出来上がっていて、栄枯盛衰があってこそ初めて競技フットサルは活性化するものである。早く、Fリーグと地域リーグの入れ替え制の実現が求められる。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

関東フットサル三国志/バックナンバー

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事