2016.07.29 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第13章「その10:実力者たちが選んだ“Fリーグでプレーしない”という生き方」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

選手淘汰が始まったFリーグ3年目

 2009年3月1日、Fリーグは選手の登録制度の見直しは発表した。それは、若手の育成と選手枠の縮小を狙ったもので。通常登録選手枠を20人から14人に減らし、U-23枠を1人以上登録しなければならない制度である。

 前項で書いた新陳代謝は、表面にいた者が沈み、沈んでいた者が浮かび上がるその繰り返し、つまりチームの浮き沈みを示したものであるが、淘汰選別は、条件にマッチしないためにふるいにかけられるあるいはふるいにかけることを言う。この制度により、淘汰選別が始まったのである。そうでなくとも、Fリーグも3年目に入り、チームの格付けが明らかになり、選手の年齢も上がることから、適合する選手とそうでない選手が出てくることは仕方がないことである。逆に、選手の方も、何が何でもFリーガーではなく、自分の適したリーグ、チームを選手の方からふるいにかけるようにもなってきた。

 ちょうど、府中アスレティック、エスポラーダ北海道の2チーム増もあいまって、この年度末から登録締め切り時期にかけて淘汰選別が始まった。

 主だった関東の選手について、新チームの関連から整理すると、府中アスレティックには、浦安の小野大輔、清水誠、名古屋の上澤貴憲、小山剛史、町田の宮田義人が移籍した。また、いったんは湘南ベルマーレを退団した難波田治を招聘した。これらの動きは、地域への戻りが色濃く出た移籍といえよう。

 名古屋からも多くの放出があった。前述の府中への移籍に加え、ボラ、野島倫は湘南へ、マルキーニョスは町田へ移籍となった。これは、2年目に入ったアジウの意向と若返りのチーム方針ではなかろうか。

 湘南は、前川義信の辞任にともなう影響で、岩田雅人が古巣ファイルフォックスへ、三井健はデウソン神戸に移籍となった。

 同じく、花巻はパコ辞任にともなう影響もあってか、岡崎チアゴ、松浦英、矢ノ目憲央、塩澤昴、小島修人、内山慶太郎らが放出となった。逆に、マルバの出浦知弘が移籍した。

 浦安は、若返りを目指し、前述の小野、清水に加え、藤井健太、川原永光、大森茂晴らを放出した。

 町田は、カスカベウ時代から在籍していた松原君守を放出、横山哲久は引退、育成に回ることになった。

 また、全日本選手権を制したフウガからFリーグに上がった選手も数多く出現した。星翔太、荒巻太郎は浦安へ、渡邊知晃、半田徹也は花巻へ、佐藤亮は大阪へ、GK石井秀樹は府中へ移籍した。

 このように、それぞれのチーム事情があってさまざまな淘汰選別が行われた。その中で、Fリーグから地域リーグに戻っていった選手が数多く現れるようになった。ちなみに、前述の選手でいえば、岩田(ファイルフォックス)、大森(マルバ)、小島(マルバ)、塩澤(マルバ)、松浦英(都リーグ デルソール中野)、松原(カフリンガ)、内山(フウガのコーチ)らである。また、1年前でいえば、花巻の遠藤晃夫がファイルフォックス、大阪の西野宏太郎がデルソール中野、のちのことになるが難波田がファイルフォックスへと地域リーグに戻っている。

 今後も、この傾向は恐らく増えるものと思われる。彼らには、若手の指導育成に期待したい。それが、全体の底上げ、地域の活性化につながるのだ。

 さて、お宝写真は、古い写真ではなく、新しい写真であるが、もはやFから地域リーグに戻った選手が現実に今や指導者になったお宝写真として紹介させていただく。(提供は、元湘南ベルマーレ監督の前川)

 この写真は、つい最近、今年の関東リーグ1部5節の会場にての撮影で、右がリガーレ東京監督の西野、左がファイルフォックス監督の吉成、真ん中は元湘南ベルマーレ監督の前川である。この3人には共通点がある。それは、前川が湘南ベルマーレの監督になる前、東京都選抜の監督だった頃、2人はその選抜選手であり、3人は選抜仲間なのである(第9章その8参照)。

 西野は、すでに紹介したとおりシャークスからFリーグ1年目でシュライカー大阪に移籍した。しかし、在籍1年でデルソーレ中野に移籍、その後、リガーレ東京で監督・選手としてチームを牽引、1部に昇格すると第17回(昨シーズン)、関東1部で初優勝を成し遂げた。

 一方、吉成は、同じシュライカー大阪にFリーグ2年目で移籍した。しかし、吉成も在籍3年目で古巣ファイルフォックスに戻り、第16回(2シーズン前)に監督としてファイルとして8シーズンぶりの優勝を成し遂げた。

 つまり、西野と吉成はシュライカー大阪で入れ替わったあと、最後は、再び選手ではなく、監督として関東リーグで対戦する間柄となったのである。前川によれば、奇しくも2人から別々に、対戦試合を是非見てもらいたいと連絡があったとか。3人の絆の強さを感じる。

 ちなみに、前川は、先日、7月27日の自身のFACEBOOKでトルクニメスタンの第2代表監督として日本を出発した報告があった。前川にとっては、湘南ベルマーレ以来の現場復帰であり、期するところがあるに違いない。がんばって欲しいものである。(第1代表監督は中村恭平)

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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