2016.07.27 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第13章「その9:1年での降格を乗り越えて……。ゾットが4年ぶりの関東リーグ1部昇格!」

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

新陳代謝とそれを阻むもの

 全日本選手権の予選リーグが行われている最中の2009年3月7日、8日、関東では、第11回関東リーグに向けて、1部、2部の入れ替え戦および2部の参入戦が行われていた。

 このシーズン(第10回)の関東リーグは、優勝フウガ、2位カフリンガ、3位ファイルフォックス、4位府中アスレティック、5位アルプルナス、6位ブラックショーツ、7位フトゥーロ、8位コロナであったから、本来ならコロナは自動降格であった。しかし、府中アスレティックがFリーグ参入を決めたので、自動降格はなく、コロナ権田が入れ替え戦に臨むことになった。自動昇格は2部1位のアルティスタ埼玉である。昨シーズンはシャークス消滅により同じ状況が起きたが、それだけ新陳代謝が進んだことになる。

 さて、コロナの入れ替え戦の相手は2部2位のゾットであった。奇しくも両チームのプロフィールには共通点があった。コロナは、正式にはコロナFC/権田といい、以前は権田FCと名乗っていた。由来は、今でも選手である権田次郎が創設したチームで、法政大学のサッカー同好会から発展したチームである。

 一方のゾットは早稲田大学のサッカー同好会から発展したチームで、両者はF-NETが主催する民間大会の大学リーグでライバルチーム同士という関係にあった。

 また、関東1部には、ゾットは第6回リーグから参入することができ、コロナより先輩格となった、しかし、まさかの1年で降格、逆にコロナは第8回から参入し、3年間1部をキープ、今ではゾットより格が上という存在になっている。

 そんなお互い負けられない一戦は、残り9分、コロナが1-1の同点に追いつき、俄然、コロナが有利になった。規定では引き分けの場合、1部チームが残留の決まりとなっているからだ。しかし、ゾットには、降格した次の年は、都リーグまで落ちるという苦しい経験があった。恐らく、ここで上がれなかったら、もはや折れてしまう恐怖心さえあったかもしれない。その執念が実り、残り4分、ついにリードを奪い、結局、このリードをキープ、2-1でコロナを下すのであった。実に4年ぶりの1部復帰である。恐らく、代表の清野はフウガと入れ替わるように降格した4年前の悔しさを当時の仲間と一緒に晴らせた喜びで胸がいっぱいだったに違いない。

 2部の方は、府中アスレティックのFリーグ参入により、1部降格枠がなくなったため、3チームが都県リーグから上がることができ、東京都から太洋薬品バンフ、群馬からBFC—KOWAが昇格となった。BFC—KOWAといえば、一世を風靡した日系ブラジル人チームの流れを汲むチームでチアゴを擁していた。降格したのは2部12位のVEGARRA千葉で、2部11位のミリオネア横浜は残留となった。

 こうしてみると、第8回関東リーグ終了時点でFリーグ設立にともないプレデター、カスカベウ、ロンドリーナが抜けて、第9回終了時点でシャークスが脱退、第10回終了時点で府中アスレティックが抜け、合計5チームが関東リーグから抜けたことになる。

 代わりに第9回から2部が設立され、カフリンガ、セニュールイーグルズ、ゾット、高西フットサルクラブ(今のアルティスタ)、CRAQUES、ミリオネア横浜、みつわ台FC千葉、N.Uファンターズ、OHRA、三栄不動産、サルバトーレソーラ、武田消毒などが名を連ねた。

 このうち、9回、10回の2年間の歴史を経て、カフリンガ、ゾット、アルティスタの3チームが1部に昇格した。結局、プレデター、カスカベウ、ロンドリーナ、シャークス、府中アスレティックの5チームに代わって、フウガ、コロナ、カフリンガ、ゾット、アルティスタの5チームが台頭してきたといえる。(コロナは、このあと、1年で1部に復帰)

 2部の新興勢力としては、第10回から柏、NOVO、Iwatuki、UFCJAZZYSPORTS、VEGARAAFC千葉が現れ、今回の11回に向けての参入戦では前述したBFCKOWAと太洋薬品バンフが現れている。

 Fリーグ設立は、着実に競技の裾野を広げ、新陳代謝を促している。

 選手権が終わってまだ5日しか経っていない翌週の3月20日より、山口県の周南市総合スポーツセンターにて第9回地域チャンピオンズリーグが始まった。フウガがFリーグ優勝チームを破って日本一の快挙を成し遂げた余韻が覚めてしまったのか、場所が遠いのか、いつも通りなのか(笑)、試合は静かに始まった。

 関東からは、優勝したフウガと2位カフリンガが出場したが、結果は、驚くべきものであった。なぜなら、選手権優勝チームのフウガがまさかの予選リーグ敗退となってしまったからである。フウガは、予選ブロックCの組み合わせに入り、滋賀のジョイ、福岡のRD/DINOS、エスポラーダ北海道と当たることになった。そして、なんとジョイ、RD/DINOSの対戦はともに2-2の引き分けで終わり、最終戦のエスポラーダ北海道に8点差以上で勝利しないとワイルカード通過ならずという結果になってしまった。(4チーム3ブロックの予選リーグで、各ブロック1位とワイルドカード1チームが決勝トーナメント進出)

 さすがに、この戦いは、選手権王者らしく来年度Fリーグ参入が決まっているエスポラーダ北海道を4-1で下したが、時すでに遅かった。

 関東からのもう1チーム、カフリンガは予選を1位で通過、しかし、準決勝で東海代表、静岡県のXEBRAに破れ、京都のフュンフとともに3位に終わった。優勝したのは、エスポラーダ北海道で、京都のフュンフ、決勝ではカフリンガを破ったXEBRAを下しての優勝だった。結果的には前身のDC旭川から数えて2連覇、3度目の優勝、関東は、4大会連続3位という成績に終わった。

 すでに地域リーグ優勝、選手権優勝、地域チャンピオンズリーグ優勝の3冠は、古い3冠となってしまったが、Fリーグができてしまった今日、この3冠を取ることは極めて難しくなった。フウガがそのチャンスを逃してしまったことはまことに残念だが、選手権が終わった翌週開催の過密日程の大会では致し方あるまい。

 実は、この年度末の過密日程は、競技人口の裾野を広げ、新陳代謝を促すことを阻害する要因になっている。つまり、地域リーグ、Fリーグ、選手権、地域チャンピオンズリーグの日程を見てみると、全て、年度末に終わるように日程が組まれている。これは、予算の執行上、仕方がないことであるが、これ以上のチームの増大、日程の拡張を阻む要因になっていることは確かである。

 ちなみに、関東の場合でいえば、まず、関東リーグを年末までに終わらせる。1部は12月23日が最終節であった。正月明けには、選手権の関東代表を決めなければならない。この年は、1月の18日、24日に熾烈な選手権代表争いが行われた。一方、Fリーグは、佳境を迎え、2月8日に最終節を迎えている。そして、3月はいよいよ年度末、3月6~8日、13日~15日に選手権、続いて20日~22日まで地域チャンピオンズリーグである。また、2月15日から3月28日まで都リーグのカップ戦が行われている。カップ戦であるため、関東リーグ所属とはいえ、都所属のチームは出場を義務つけられているのだ。

 このように多彩な大会を年度末にこなす必要があり、もし、関東リーグ1部チーム数拡大、Fリーグチーム数拡大、地域リーグとFリーグの交流戦などなど、競技人口拡大の施策を行うには、もはや年度末の壁を破らねばならない時期に来ているのではないだろうか。

 ちなみに、関東オールスターは、前年度の事業でありながら、日程の関係で例年、4月上旬に行っている。

 さて、お宝写真は、この時、1部、2部に昇格、今や1部で中心的な役割を果たしている新勢力の写真を紹介しよう。新勢力とは、2部の柏、コロナ(参入戦でゾットに敗れたが、翌年昇格)、ゾット、カフリンガの4チームである。残念ながら、アルティスタ埼玉は、昨シーズン(2015/2016年)、ついに県リーグまで降格してしまった。

 写真左上から、コロナの大場徹(第12回最終節、ファイルフォックス戦)、右上がすでに登場したことがある垣本右近、(同、ブラックショーツ戦)、左下が同じくゾットの清野潤(第15回16節のブラックショーツ戦)、右下は柏の奈須隆康(同ゾット戦)である。これら写真の共通点がわかる方は「関東リーグ通」であろう。

 彼らは、当時は選手兼監督として、チームを牽引、熾烈な降格争いを戦い抜き、1部在籍を維持してきた人物ばかりである。今回の写真提供は、関東リーグを写真で精力的に取材してくれているラブフットボールジャパンにお願いした。このような現役のそれもプレーしている貴重な写真を提供頂き、感謝したい。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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