2016.04.20 Wed

Written by EDGE編集部

Fリーグ

浦安の新戦力・時国司は「運用資産3兆円のヘッジファンド日本法人社長」の顔を持つ「フットサル台湾代表エース」。

4月20日、バルドラール浦安が香港レンジャースから時国司が新戦力として加入することを発表した。台湾代表の一員として先日のAFCフットサル選手権にも出場した、積極的なシュートを武器とするピヴォだ。ただ、時国は“普通の選手”ではない。ピッチの外では運用資産3兆円のヘッジファンドの日本法人社長という顔も持つ。トップフットサル選手とエリートビジネスマン。“究極の二足のわらじ”を履く時国司とは——。
(文・北健一郎/futsalEDGE編集長)

2つの顔を持つ男

 運用資産3兆円のヘッジファンド日本法人社長でありながら、フットサル台湾代表としてアジア最高峰の大会に出場する——。恐らく、時国司のような選手は世界中を探してもどこにもいないだろう。

 時国司は、1981年7月6日、台湾と日本のハーフとして台北で生まれ、その後日本に移り住んだ。サッカーではFC町田(現・FC町田ゼルビア)ユースに加入。台湾U—19代表に招集され、キャプテンとしてアジアユースにも出場した。

 だが、「自分の実力ではサッカーで食べていくことはできない」とアジアユースを最後にサッカーを引退。慶応義塾大学ではサッカー部に入らず勉強に専念した。卒業後は外資系金融業界の最高峰であるゴールドマンサックスに入社。結果を出せなければ解雇されるのが当たり前という競争社会で戦ってきた。

 転機が訪れたのは3年前のことだ。当時、時国はロンドンビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得し、オービス・インベンスメントというヘッジファンドで働いていた。サッカーから離れて10年以上が経っていたが、「新しい挑戦をしたい」と現役復帰を決意した。

 多忙な仕事の合間を縫って、朝と夜に自分で時間をつくってプレーできるフィジカルを取り戻した。フットサルのイングランドリーグ2部に所属するFCエンフィールドのセレクションに見事合格。フットサル経験は浅かったものの、サッカー時代からの武器だった「ゴールを決める能力」を生かし、FAカップで4ゴールを挙げるなど活躍した。

 昨年3月、香港オフィスへの異動を命じられると、自ら資料をつくって香港のクラブに売り込み、強豪チームの香港レンジャースFCとサンペガサスFCからのオファーを勝ち取った。前年度に香港フットサルリーグで優勝していた香港レンジャースに入団し、背番号10を与えられると、香港の地でもゴールを量産して存在感を放つ。

 時国の活躍は祖国・台湾に届いた。フットサルワールドカップ東アジア地区予選に挑む台湾代表候補25名に選ばれたのだ。時国は25名から16名に絞り込まれる強化合宿も生き残り、最終メンバーに名を連ねた。

 韓国、中国、香港、モンゴルと同グルプープとなった地区予選では、5チーム中2位になって、アジアで16チームしか出られない最終予選(AFCフットサル選手権)進出を果たした。最終予選はグループ3位で決勝ラウンド進出はならなかったが大健闘といっていいだろう。

 バルドラール浦安と時国との正式契約は、6月14日まで行われている香港フットサルリーグの終了後となる。台湾代表選手とはいえ、日本のトップリーグですぐに活躍できるという保証はない。今年7月には35歳になるように、年齢的にも若くはない。さらに7月からは日本法人社長に就任し、仕事の責任もさらに重くなるという。

 だが、10年のブランクを乗り越えて現役復帰を果たし、イングランドと香港のトップリーグでプレー、台湾代表として国際大会に出場した男に対して、「そんなことは不可能」と誰が言えるだろうか。“究極の二足のわらじを履く男”、時国司の新たな挑戦に注目してほしい。

<関連リンク>
新加入選手のお知らせ(バルドラール浦安)

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