2016.01.13 Wed

Written by EDGE編集部

Fリーグ

北原亘がプレーオフ決勝前のロッカールームで語ったこと。名古屋の完勝を呼び込んだ元主将の言葉。

写真:河合拓

Fリーグプレーオフファイナルラウンド第1戦が9日に行われた。過去2シーズン、名古屋オーシャンズは初戦で勝つことができずに、優勝決定は第2戦までもつれたが、今年は初戦から強さをいかんなく発揮。初めてプレーオフファイナルに勝ち進んだ府中アスレティックFCを6-3で破り、Fリーグがスタートした2007年から続く連覇の記録を9に伸ばした。
(文・河合拓)

ロッカールームでの北原の言葉

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 名古屋オーシャンズにとっては、特別な一戦だった。チーム創設時からのメンバーであり、初代キャプテンでもある北原亘が、このシーズン限りでの引退を発表していたからだ。ピッチ内外でチームを支え続けてきた男のFリーグでのラストマッチ。試合前に粋な計らいを見せたのは、その北原が過去につけていたキャプテンマークを腕に巻くペドロ・コスタだった。 

 名古屋はロッカールームを出る前に円陣を組む。その最後に普段であれば、キャプテンが全員の前で話をするのだが、ペドロ・コスタは北原にその役を譲ったのだ。名古屋の歴史を築いてきた男は、ゆっくりと言葉を吐き出した。

「引退を発表して、Fリーグの試合は今日が最後になる。今まで10年間、名古屋に所属してきたけれど、今季のメンバーが最高のメンバーだ。このメンバーと有終の美を飾りたい。自分を信じて戦おう。自分を信じられなければチームメイトを信じられない。一緒に優勝しよう。オーシャンカップでは、目の前で府中に歓喜の輪をつくられて、苦い経験をした。そうさせないように、自分たちが喜べるように最後まで戦い抜こう」

 チームのマネジャーである“ガッツ”こと渡邉有輝は、北原の話が終わった瞬間に、この試合での勝利を確信できたという。北原の言葉は、選手たちに響き、強い団結力を生み出していた。

 しかし、試合の序盤は渡邉の想像とは少し違うものとなった。12月19日のFリーグ最終節から試合間隔が空いていた名古屋と、ペスカドーラ町田、シュライカー大阪との連戦から中2日の府中は、互いに慎重な姿勢を見せていた。その中で前半5分に、名古屋が先に失点をしたのだ。 

 元名古屋の山田ラファエル・ユウゴが右サイドから放ったシュートを、GK篠田龍馬が後方に逸らしてしまい、府中が1点を先制した。山田のシュートを受けた瞬間、篠田は過去に右手首を負傷した際と同じような衝撃を感じていたのだという。「ボールが手に当たった瞬間に、ケガをしたときと同じような曲がり方をして『これはヤバい』と思った次の瞬間には、ボールはゴールに入ってしまっていたんです」。防衛本能が働いた結果の失点だった。

 早い時間帯の失点に、名古屋は動揺することはなかった。ここからポゼッションを高めていく。同点ゴールから1分後には波状攻撃を見せ、セルジーニョのシュートがクロスバーをたたき、こぼれ球をシンビーニャがボレーで狙った。その後も、両ブラジル人はゴールを狙い続け、8分にはセルジーニョが中村友亮からの落としをゴールに蹴りこみ、同点に追いついた。

 セカンドセットが流れを引き戻した名古屋だが、ファーストセットが試合に乗れない。「今日の入りは少し堅かった。普段なら薫も、あんなミスはしない」と北原が振り返ったように、11分には森岡薫の横パスが山田ラファエルにカットされ、2点目を許してしまったのだ。

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勝敗を分けた時間帯

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