2015.10.30 Fri

Written by EDGE編集部

Fリーグ

また「皆本ポーズ」を見せてくれ。皆本晃の全治8カ月の怪我に思うこと。

写真:本田好伸

府中アスレティックFCの皆本晃が全治8カ月の大怪我を負ったことが発表された。「森岡薫を越える」ことを公言し、プレーオフ進出に向けてこれからというタイミングでの出来事。だが、府中のエースはすでに来シーズンに向けて気持ちを切り替えているようだ。
(文・北健一郎/futsalEDGE編集長)

必ずパワーアップして戻ってくる

皆本晃選手の負傷について

 10月23日、府中アスレティックFCのHPに1本のリリースが出た。見た瞬間、嫌な予感がした。クラブがわざわざリリースを出すということは、ねんざや打撲のレベルでないことは明らかだ。クリックすると、そこに出てきたのは衝撃的な文字だった。

病名:左膝前十時靭帯損傷
全治:全治8カ月の見込み

 皆本が負傷したのは第24節のペスカドーラ町田戦。22日には埼玉県内の病院で手術を行い、無事に成功したという。ただ、Fリーグの残りシーズンはもちろん、出場の可能性があるプレーオフも、来年2月に行われるワールドカップ出場をかけたAFCフットサル選手権も出られないことが決定的になった。

 

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 皆本はフットサルナビの最新号で表紙を飾ったばかりだった。ゴールパフォーマンスとしておなじみの、腰を落としてガッツポーズをしながら吠える「皆本ポーズ」はインパクト大だ(ちなみに、カメラマンのオッケーが出るまで100回以上やらされたという)。

 ただ、その写真以上にインパクトがあったのが彼の言葉だった。

「森岡薫への挑戦状」というタイトルがつけられた巻頭インタビューで、皆本は胸の内を赤裸々に語っている。そこには“ビッグマウス”ととらえられてもおかしくないような、ストレートな言葉が並んでいた。

「僕は府中は自分のチームだと思ってるし、自分でゲームを作って点も取って、試合も勝たせてるって思っています。そういう選手にならなければいけないと思っているので」

「薫さんはバロンドールの候補にも選ばれるような人で、世界でも有数の選手の1人だと思います。そんな選手が日本にいて、同じ舞台で対戦する機会もある。目指せるチャンスがあるのに、彼を越えようと思わない理由がないと思っています」

「プレーオフまで行ったら、勝てると思います。名古屋との直接対決は自信があるんで。何しろ自信しかないんで(笑)」

 すげぇな、と素直に思った。フットサル専門誌という、多くの選手や関係者が見ている場所で、こんな発言ができるのは、相当な覚悟と自信がなければできない。ましてや、皆本が言っているのは普通に達成できそうな目標ではない。

 Fリーグナンバーワンプレーヤーの森岡薫を超えて、8連覇中の名古屋オーシャンズを破って優勝すると言っているのだ。もちろん、その中心にはチームを引っ張る自分がいる、と。

 皆本は今シーズンの始めから、「森岡薫を越える」と公言してきた。自分の野心を隠すことなく、さらけだしてきた。オフには府中の日本人選手として初めてプロ選手として契約。中村恭平GMに「府中の未来を担う選手のために」と直訴して勝ち取ったそうだ。

 ビッグマウス。プロ契約。でも、皆本にとってそれは自分を高みに導くための方法論の一つだったと思う。そして、自分を追い込みながら進化することで、府中のみならず、Fリーグ、そして日本フットサル界を次のステージに引っ張り上げたいという気持ちがあったのだろう。

 皆本の言葉を読んで、僕はすごく期待した。この男だったら、停滞感が漂っているFリーグを変えてくれるんじゃないかと思った。だからこそ、皆本のこのタイミングでの負傷は残念でならない。

 それでも、皆本自身は、今回の怪我をネガティブにはとらえていないようだ。公式リリースのコメントは、こんな言葉で締めくくられていた。

「私自身のキャリアは常に山あり谷ありで、これまでも谷のあとは必ず大きな山を作ってきました。
大きな山を作る準備はもうすでに始まっています。
皆さんを必ずまた驚かせてみせます!
ぜひ来シーズンの開幕戦に期待しててください!」

 復帰までの道のりは決して簡単ではない。ベストなパフォーマンスを取り戻せる保証もない。だけど、この男には明確にイメージできているのだろう。

 開幕戦のピッチで、エネルギッシュに走り回り、何度もドリブルを仕掛け、豪快にゴールネットを揺らす姿が。そして、チームメートから「ダサい」と言われながらも、トレードマークの「皆本ポーズ」をキメる姿が。

 うん、間違いない。この男は絶対に戻ってくる。今よりもパワーアップして、戻ってくる。ちょっと早いけれども、来シーズンのFリーグの楽しみが一つできた。

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