2015.07.30 Thu

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【オーシャンカップ】府中優勝の裏で痛感した大会の意義。熱狂的なフットサルは、そこにあったのか。

Fリーグ勢のモチベーションは?

 ではFリーグ勢はどうか。ここが最も大きな問題だと感じたのだが、各チームによって明らかに大会へのモチベーションが異なっていた。「出るからには優勝したい」と話す選手を多数見掛けた。つまりその程度だったということ。「絶対に優勝したい」という大会ではなかった。

 普段、出場機会の少ない選手の経験の場ととらえてメンバー構成するチームや、まるで練習試合のように、探り合いながらゲームを進める様子もあった。当然、試合を迎えれば、目の前の勝負に勝つことを目指すだろう。でも、その先にある「カップウイナー」というゴールを明確にイメージしていたかどうかというと、多くのチーム、選手がそうではないように思われた。

 そもそも、その動機付けがチームとして定まっていない場合、こうした一発勝負の大会を勝ち上がるのは容易ではない。短期決戦だからこそ、チームが一体となり、勢いに乗って勝ち上がることこそ、勝者の条件でもあるはずだ。その点において、最も優れていたのが府中だったということに違いなかった。

 彼らは、「5試合の長丁場で結果を出すための想定をして戦ってきた」(谷本俊介監督)と、最初から優勝の道筋を考えて、選手を起用してきた。特にゴレイロのクロモトと田中俊則の1試合ごとの併用が最たる例だ。決勝では、「2人で一つのゴールを守ってほしい」と伝え、前半ことごとく名古屋のシュートをシャットアウトしたクロモトから、後半の田中にスイッチした。そして田中も、全く違和感なく試合に入り込むと、クロモトと同じように名古屋の猛攻をしのぎ切った。決勝の6-0というスコアは、無失点ということに大きな意味があった。決勝に限っていえば、MVPになったクロモトだけではなく、田中もまた同じくらいのパフォーマンスを示したと言えるだろう。

 対する名古屋のモチベーションはというと、府中を上回るほどではなかったように思う。森岡薫が敗戦後、「そんなに悔しくない」ともらした言葉は、おそらく本音だろう。「これがリーグ戦(で優勝を逃した後)だったら(悔しすぎて)取材は受けていない」と。王者として、すべてのタイトルを獲得することは至上命題だが、それでも何を優先すべきかは考えている。その後に控える同じような過密日程で戦うAFCクラブ選手権のタイトルのほうが、彼らにとっては重要だろう。あえて口にはしないが、それは細部のプレーに宿ってくる。

 決勝戦では残り10分で3点差を追い上げようとパワープレーを開始したが、危機迫る感じは出ていなかった。その微妙なプレッシャーの違いは、府中の選手も肌で感じていた。「(11分のパワープレー返しからの)4点目が決まって勝利を確信できた」(小山剛史)と、試合は残り8分と少し、勝敗はもう決していた。

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Fリーグの歴史は動いていない

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