2015.06.12 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

関東フットサル三国志/第2章「その8:プレデター登場と伝説の試合」

岩本

Fリーグができるまで、日本フットサルの頂点は間違いなく「関東」だった。その関東を軸に競技フットサルの歴史を振り返っていく当連載。昔からのファンはもちろん、フットサル観戦ビギナーや、Fリーグ以降にファンになった人には「最高の教科書」になるはずだ。
(文・木暮知彦/関東フットサルリーグ広報委員)

 アトレチコミネイロの衝撃を受けている間に、再び選手権地域予選の季節がやってきた。関東は都予選に優勝すると開催地枠の関係でストレートに決勝大会に進出できる。東京の2位は関東予選にまわる。一方、他の県は優勝チームが(県の登録チーム数によって第2代表あり)関東予選に出場できる。したがって、都予選の結果と関東予選の組み合わせがどのようになるか一喜一憂したものである。

 すでに紹介したが、1997年塩谷竜生が率いるBocchiというサッカーチームがあり、そこに、嶋根、帖佐浩二郎(のちにフリースタイルフットボール球舞に所属)などがいた。嶋根は井の頭くなでフットサルも掛け持ちでやっていて、その井の頭くなは、第4回選手権の東京都予選でファイルフォックスに大差で破れチームとしては転換点を迎えていた。

 そこで嶋根と塩谷が中心となり、新たなチームを作りなおそうと言うことで、島根と幼馴染、のちにバルドラール浦安の岩本昌樹を誘い、井の頭くなの岡山、島根、岩本、米川正夫(現バルドラール浦安監督)や帖佐の通う明海大学のサッカー部の先輩、後輩が合流しできたチームがプレデターである。

 当時、岩本は九曜クラブでサッカーをやっていて、九曜クラブといえば、前出の相根、黒岩、遠藤、横澤らがフットサルに転向、その刺激も受けて、最初はかけもちでサッカーとフットサルをやっていたが、次第にフットサル専従となっていった。岩本はのちには日本代表候補、日本選抜に選ばれている。ちなみに、先日行われた2015/2016シーズンのFリーグ開幕戦のイベントに球舞が出演したが、帖佐の華麗な足技はプレデター時代に培ったものでる。

 嶋根や岩本の出身が千葉であったこと、また明海大学のサッカー部出身者が結成当初チームの半数を占めていた事もあり、プレデターは活動拠点として千葉を選んだ。

 この年、ファイルフォックス、カスカベウは東京、プレデターは千葉、ウイニングドッグは東京を避け、本来の神奈川から出場することとなった。

 その神奈川には、甲斐らが抜けたエスポルチ藤沢が新たな陣容を構え、選手権に臨む。監督は大塚、選手に黒岩、広山、関野ら残ったメンバーに加え、社会人サッカーチーム厚木マーカスで一緒にサッカーをやっていた奥村敬人(のちにロンドリーナ、湘南ベルマーレ、現在は湘南ベルマーレコーチ)、奥村の友人で国士舘大でサッカーをやっていた阿久津貴志(のちにロンドリーナ、湘南ベルマーレGKコーチ、現在はテクニカルダイレクター)、井久間、竹花、さらには横沢直樹(のちにロンドリーナ、タイリーグ、現在は湘南ベルマーレ監督)、多田大輔(のちにブラックショーツ)らを擁したのだった。

 むろん、この時点では各チーム、どんな組み合わせで関東予選を戦うかは知る由もない。

 こうして、1999年末、第5回の選手権地域予選が始まった。それでは2強と第3勢力の各チームの戦いぶりを紹介しよう。

 まずは激戦区、東京都予選であるが、2連覇を狙うファイルフォックスにはメンバーに変動があった。小野大輔(のちにフトゥーロからスペインに渡り、日本に戻ってからはバルドラール浦安、府中アスレティック、現在は湘南ベルマーレ)、アスパから原田、板谷、イパネマズKOWAからチアゴ山崎が加わり、ダニエル大城はプレデターに移籍となった。

 ファイルフォックス、カスカベウ、府中水元クラブ、ガロら強豪チームは順調に決勝トーナメントに進んだ。しかし、小金井ジュールは予選敗退となってしまった。

 そして、カスカベウは府中水元クラブと1回戦で当たる。結果は、11-4でカスカベウの圧勝に終わった。これは、名門府中水元クラブとはいえ、普通のサラリーマンとして働きながらフットサルをしているチームとフリーターもしくはフットサル施設スタッフで働きフットサルに割く時間が多いフットサル専門チームの差が出てきたことを意味し、次第にその傾向が強まる現れであった。

 続く準決勝では、ファイルフォックスとカスカベウが激突する。この戦いは今でも語り草になるほど激しいものであった。というのも、審判の微妙な判定が次第に両者の気持ちをヒートアップさせ、ファイルフォックスの5ファウルによる前田の第2PK、カスカベウ相根の審判への猛抗議による退場、人数が少ない時のゴールキーパー遠藤のナイスセーブの連発など劇的シーンが数多く詰まっていたからであった。

 結果は6-4でファイルフォックスが勝利、決勝戦にコマを進めた。一方のカスカベウは3位決定戦に回ることになった。もう一つの山は、ガロが勝ち進み、決勝はファイルフォックス対ガロとなった。結果は4-2でファイルフォックスが勝利、ガロは先制点を奪い、2-2の同点までは粘ったが最後はファイルフォックスの地力に及ばなかった。

 結局、東京はファイルフォックスが優勝、ストレートの全国切符を手に入れた。2位のガロと3位決定戦を制したカスカベウの2チームが関東予選に回ることになった。

 さて、今回のお宝写真は、「もっさん」というニックネームで親しまれているが、そのテクニックは秀逸、スペインリーグにも挑戦したことがあるプレデター創設メンバーの岩本昌樹である。競技フットサルの黎明期に数多くのチームが勃発、それこそ三国志のごとく戦いを繰り広げてきたわけであるが未だ現役を張る選手はもう数が少なくなってきた。今シーズンもスピードあるドリブルからのゴールを期待したい。

 写真は2002年5月にスペインへ挑戦したときの2部クラブであるアルバセテの練習の一コマである。アルバセテはバレンシアの西、内陸に入ったところに位置する。のちに書くことになるが、2001年から2002年頃はスペインリーグに数多くの選手が挑戦、岩本はいわゆる留学ではなく高評価を受け、契約まで漕ぎつけることができ、のちに続く選手たちを勇気づけたのであった。なお、この写真は、フットサルネットの山戸も取材がてら同行、山戸の提供によるものである。

※この連載は毎週水曜日・金曜日の2回更新予定です。

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