2015.01.31 Sat

Written by EDGE編集部

コラム

「futsalEDGE」の所信表明 フットサルには「メディアの力」が必要だ

写真:松岡健三郎

フットサル界は危機に瀕している。爆発的なブレイクができず、Fリーグの観客動員も伸び悩んでいる。フットサルというスポーツの魅力を伝えるためには、何が必要なのか。
(文・北健一郎/futsalEDGE編集長)

 フットサルに関わるようになって10年以上が経った。最初に僕がフットサルに触れたのは相根澄さんがイタリアから帰ってきたばかりの頃だったから、そう、2003年だ。当時はペスカドーラ町田ではなくカスカヴェウで、バルドラール浦安ではなくプレデターで、シュライカー大阪ではなくマグで、名古屋オーシャンズは存在すらもしていなかった。

 それから、幸運にも僕は、フットサルというスポーツが大きく変わって行く様をメディアの人間として取材することができた。2004年に日本代表が世界選手権(現ワールドカップ)に出場し、2006年には日本初のプロチーム・名古屋オーシャンズ発足。

 そして2007年、全国リーグ「Fリーグ」がスタートした。このスポーツの魅力に取り憑かれ、人生を捧げた多くの人の力によってフットサルは右肩上がりで成長し続けた。フットサルがメジャースポーツになっていく日も遠くない、そう誰もが思っていた。

 だが。

 2015年の今、フットサルの置かれている状況は、そのころ思い描いていたものとはいえない。確かにフットサルを「する」人は増えた。フットサルという言葉自体は完全に市民権を得たと言っていいだろう。問題はフットサルを「見る」人が増えていないことだ。Fリーグは観客動員に苦しんでいて、スタンドには空席が目立つ。新規開拓がうまくいかず、熱狂的なファンに何とか支えられているという印象が強い。

 僕自身もここ数年はフットサルと距離ができてしまっていた。サッカーの仕事が多くなって、取材が重なってしまうことが多かったのもあるが、正直に言わせてもらえば「魅力を感じられなくなった」のが最大の理由だった。どうして、自分はフットサルに魅力を感じられなくなってしまったのか。自問自答してみた。

 恐らく、Fリーグも、地域リーグも、日本代表も、当事者たちのテンションは、今も昔も変わっていないはずだ。それなのに、僕自身がフットサルに「リアリティー」を感じられなくなってしまった。

 フットサルの現場から距離を置いてみて、気付いたことがある。情報が入ってこないのだ。

 あの試合がすごかった、あの選手がこんな発言をした、今はこのチームが面白い、あそこは迷走しているらしい。そんな情報が現場を離れたら、ぱたりと途絶えてしまう。現場に行くことは大事だとわかっているのに、どうにも興味がわかなくなってしまった。

 その一方で、現場に行っていなくてもリアリティーを感じられるものもあった。例えば、ロンドン五輪の「なでしこジャパン」の健闘には心が震えたし、錦織圭がテニスで勝ち上がって行くのは大興奮した。僕が見ていたのはテレビ画面だったのにも関わらず。それはなぜか、「メディアの力」があったからだ。テレビ、新聞、雑誌、インターネット、あらゆるメディアから発信される情報によって、リアリティーを感じられる。

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