2020.05.27 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

【大学フットサル名鑑】Vol.10 東大フットサル部さんぱち先生

第10回を記念するのは、東京大学フットサル部さんぱち先生。東京大学は学力だけでなく、フットサルという競技においても知識を使った戦術を展開している。部活動になって1年がたち、独自のプレーモデルを持つさんぱちの背景を、主将の井小路さん、副主将の北村さん、主務の小泉さんの3名から聞いてみた。

編集部:こんにちは。今日はよろしくお願いします。まずそれぞれの役割を教えてください。

井小路:主将として、練習の指示、プレーモデルの構築、メンバー決めが基本的な役割です。そのほかに、OB会、新歓、プレーのフィードバックなど全体的な部分を決めていきます。昨年までは、学生監督がいましたが、今年は一人で監督兼キャプテンと言った感じになります。昨年は、1人監督専任でいましたが、今年は、僕が兼任と言った形をとっています。昨年が特殊な年で基本的には、キャプテン、監督兼任の形をとっていました。

北 村:副主将、副キャプテンとして活動しています。戦術決めとかにはあまり拘らずに、メンバー決めにより関わっていると言った感じです。キャプテン1人と副キャプテン2人の合計3名でメンバー決めを決め、できるだけ公平性を保てるようにしています。ピッチ外での業務で、SNSの運営、リーグのところ、スポンサーの窓口などを任務しています。副キャプテンがやるというよりかは、僕が請け負っていると言った感じです。

編集部:総務も兼任ってことですか?

北 村:副キャプテンは今年からですが、総務的なものは1、2年生の頃から行っています。そのまま今年もやっていて、引き継いでいかないと行けないとは思っています。

編集部:スポンサーがついているんですね。

北 村:OBの方々が立ち上げた会社のつながりの会社にスポンサーでついてもらったりしています。

編集部:最後に小泉さんお願いします。

小 泉:主務をしています。スポンサーとか、イベントの時に責任者が必要になるので、そう言った時に出て行ったり、打ち合わせに参加したりし、責任者として活動しています。他にも外部コーチとの連絡を取ることも仕事です。他にも主務とは別で体育館の確保も担当しています。会場は、練習の4割程度は学校の体育館を使用しています。他の日程は、一般の施設を借りて行っています。

編集部:主将ではなく、主務が対外的には出るんですね。その他にも係みたいなのはいるんですか?

井小路:キャプテン、副キャプテンとは別に、プレー面の評価をフィードバックする強化係がいます。プレーモデルやゲームの方向性、チームの指針は私の方で決めていくのですが、練習後などのフィードバックをメインに、サポートしてくれる強化が1名います。

小 泉:係としては3年生の全員が役職を持っています。まずリーグごとに連絡をする人、事務的なところで会計、その他常務の集まりにいくもの、また別の運動会総務委員会に参加するもの、など全員が何かに入っている感じです。

編集部:次に、さんぱち先生の経歴を教えてください。

井小路:2019年から部活動として活動していますが、現在実は5年間の審査期間中となります。今は直轄部として活動していて、完全な体育会としては活動できていません。

北 村:チーム自体は、2002年ごろに立ち上がったチームで、結構長い歴史のチームで、実際に部活動化が始まったのは、ここ3、4年でそれまではずっとサークルとして活動してきました。

編集部:サークル活動からなぜ部活動を目指しましたか?

井小路:一つは、関東のリーグからの正式ではないけど、体育会をメインで加盟して行っていきたいという声が上がったこと、また当時、学校内の他のところでフットサル部を作るという動きが見えたのですが、それでも僕たちが東大フットサルとしてこれまで活動してきたという自負があったので、部活化という方向に決まりました。そうしないと、自分たちのチームの存続も危なかったというのがあります。

編集部:部活動にしてよかったことはありますか?

小 泉:一つは、部活なので、体育館を他のサークルよりも優先的に使えるようになったのが一番大きいです。あとは、新歓の時も部活動として声かけをできるので、部活動として活動したいという人が来るようになり、選手の質が高まったのかなとは思います。
まだ1年目なのでわかりませんが、上手い人たちは以前よりも入ってきたのではないかと思っています。

編集部:他にも色々ありそうですね。

井小路:プラスの面で言うと、スポンサーとかの部分において、対外的にもしっかりとした組織として示すことができることが、将来的な成長の部分では大きいのではないかと思います。また大会という意味では、東大の運動部ということで、双青戦という京大との交流戦ができるふくらみはあったのではないかなと思います。

双青戦の様子

北 村:環境面の充実みたいなのも大きいですが、同時に個人的な感覚としては、東大の部活としてやっているんだぞというプライドというか意気込み、モチベーションが上がったというのは実感としてあります。

編集部:1年目ですからね。これからもっと恩恵を受けると思います。確かに部活動として活動することでスポンサーも動きが変わりそうです。今の部員数はどのくらいいますか?

井小路:現在の部員数は、2,3,4年生の3学年で22名です。4年生はまだ参加していて、関東リーグが終わる2月の頭に代が入れ替わります。そう意味ではまだまだ入れ替わったばかりです。

編集部:フットサルと言うとどうしてもサッカーより下に見られることがあると思うのですが、どういった選手が入ってきますか?

北 村:高校までサッカーやってて、大学からフットサルという選手がほとんどです。全員がサッカー経験者となります。

編集部:サッカー経験者が多いですよね。まだフットサルを知らない人は、プレーしないとわからない魅力があると思うのですが、フットサルの魅力はなんですか?

井小路:ここにいる3人とも三者三様で面白いと思いますが、僕の場合は、元々真面目にサッカーを部活でやりたいという気持ちもありサッカー部に入ろうか迷っていました。当時のサッカー部で、色々あって、入部に迷っていました。当時のさんぱちの活動規模はまだまだ小さかったのですが、当時のキャプテンから、これから大きくしていきたい旨を話していただいて、それを魅力だと思い、さんぱちに参加することになりました。

編集部:実際初めてプレーしてみてどうでしたか?

井小路:自分のプレーもどっちかというとスピードが上がっちゃうタイプだったので、そういった意味では、苦労しました。ただ、ボールを触る回数が多かったり、戦術の再現性が高かったりと、やっているうちに今まで知らなかったことに触れて面白くなりフットサルと言う競技が好きになっていきました。
この競技は人数が少ない分、戦術の再現性が高いのがとても魅力です。他に、ゴールが近いので常にスピーディーな展開がフットサルの面白みです。

編集部:戦術ですね!頭がいいぶん、そこは特に強みになると思います。

小 泉:僕はもともと、フットサルをやろうとか、サッカーをやろうとか思っていなくて、新歓に行きました。その時にフットサルの戦術が東大らしいと思ったことと、チームの雰囲気がよさそうで、楽しそうにできると思いました。それと、新歓ムービーの時にピッチ内の人もゴールから遠い人も、全員が一緒に盛り上がれるのがサッカーとも違うと感じて、面白そうだと思いました。
サッカーとスピード感も全然違いますし、ポジションも決められてますけど、前後の入れ替わりもあるので、なんでもできていないといけない。攻めも守りもある程度のクオリティーを求められることが結構難しいと思いました。

編集部:そうですね。展開の中で選手が入れ替わる。時にはサイドも変わる部分も魅力ですよね。

北 村:自分はちょっと二人と違って、高校生の時から、さんぱちを知っていて、入りたいと思っていたのですが、理由としては、まずポジションがGKで、身長的にも高いレベルでやるには足りないなという自覚があって、その時にフットサルという選択肢が思い浮かんだのがあります。それと石川県出身なのですが、雪が降る地域なので小学校、中学校からフットサルの週間があったので、スムーズにフットサルの選択肢が思い浮かべることができました。そう考えた時にフットサルを真剣にやれてできれば部活動を探している時に、さんぱちを見つけたので、そういった経緯から大学入る前からここでやりたいと思っていました。元々縁があったのもあります。

編集部:高校のときから知ってたのはまた、稀かと思います。サッカーと違ってフットサルはどうですか?

北 村:高校ではサッカー部の部長をしていて、チームは弱小だったのでどうやったら勝てるか?というのを考えていました。すぐにやるなら戦術を考えるべきだと思って、調べて行ったのですがネットとか見ても、あまり見つけられない中、フットサルの戦術に出会い、こういった能力の生かし方があることを知って感動し、フットサルで自分の力を発揮したいと思ってフットサルにハマっていきました。

編集部:本当に三者三様ですね。普段の練習頻度は?

小 泉:平日に3回と土日に1回or2回あるかないかですね。木曜日は固定で、月火金のうちの2日間です。体育館が取れるスケジュールによって変更します。授業が終わってみんなが参加できる19:00-22:00の間で2時間くらい活動しています。週末は、試合が必ずあるという前提で、公式戦がない時は練習試合を組んでいます。

編集部:年間ではどういった大会に参加していますか?

井小路:通常であれば2月で代替わりして、4月までをプレシーズンに当てて、トレーニングをしています。参加しているリーグはカレッジリーグ、関東大学リーグになります。チームには二大目標あり、インカレと関東大学リーグになります。この2つから全国大会に進むのを目標に活動しています。他にはセカンドチームが東京都大学リーグ、カレッジリーグ2部にも参加しています。

編集部:通常は2チーム編成なんですね。どうやって決めていますか?

井小路:私と副キャプテン2人の3名で決めています。今年はまだ1年生がいないので、分けていないのですが、基本的には練習を見て、私が意見を出して、副キャプテンと意見を出し合って決めて行っています。

北 村:去年はだいたい2週間から1ヶ月に1回は入れ替える感じでスケジュールを組んでいました。そうしないとずっとセカンドの選手のモチベーション的にも難しい部分があるので、必ず入れ替えるようにしていました。

編集部:入れ替える基準というかそういったものはあるのですか?

北 村:そういうのはなくて、練習とか公式戦を見て、メンバーの入れ替えを発表していました。

井小路:セットは分かれていて、核となる選手以外は多少の流動性があるので、新しい選手を入れて新しいセットの練習をしていく感じです。

編集部:どういったセットを組んでいますか?

井小路:選手のリソースを生かしたゲームモデルを考えていて、今年はピボがいるセットが基本になります。また選手のリソースといった点でもう一つは「利き足」という観点も導入していて、左利きで、上手い選手がいるのでそういう意味では左利きのいるセットでは簡単にその選手からはなれるような戦術をとっています。もう片方のセットはどちらかと言うと右利きの選手が多いので高いポジションを取ったりなど、個別性を大事にしています。多少の戦術の違いがありますが、ベースのところは共有するようにしながらも、選手の特徴を生かせるような戦術をセットごとに使っています。

編集部:井小路さんは今年監督としてどういった部分に拘っていますか?

井小路:プレス回避とビルドアップの部分では、自分の中では監督の領域と思っているので、特にクリアランスとかは割と動きを決めた感じの中で選択をしていくような戦術をとっています。また押し上げてからは個別性を重視し自由にやらせる。基本的にはそのような形をとっています。自由というとカオスになりそうですが、創造性と個別制を大切にした形で戦っています。

編集部:新チームになって、やはり最初はクリアランスの練習がメインですか?

井小路:そうですね。特にシーズン前は、チームとして、どう回避するとか?どういう風に組み立てるか?という部分にかなり力を入れてきました。シーズン初めなのでサインプレーを多用するようなトレーニングが多かったです。プレス回避の練習ではクリアランスからの組み立ての練習が多かったですね。

編集部:北村さんは好きな練習はありますか?

北 村:ポジションがGKなので、結構クリアランスはシステマチックにやるようなところは共有できていると思いますが、その基準を合わせるのが、プレシーズンでは大切なので、当然合わせないといけませんし、自分の中でも落とし込めるようにしています。

編集部:小泉さんはプレシーズンどうでしたか?

小 泉:そうですね。まだ最初の方なので、特殊な練習はありませんが、新しい「サインプレー」が増えるので、それは楽しいかなと思います。結構1vs1の練習が井小路くんの好みらしく、それは楽しいですね。

井小路:そうですね。私は1vs1を重視しています。実際に敵陣に入った時に仕掛けられないと厳しいとも思っているし、自分自身も1vs1の練習で成長を感じたので、取り入れています。

編集部:1vs1は攻守に渡って必須事項ですよね。他には課題としているものはありますか?

井小路:そうですね。まだ本格的に始まっていないので難しいですけど、まず1つはチームとしては「戦術」と言うのは重視しています。逆に戦術がないと他のサッカーエリートが入ってくるような大学に勝てないので新2年生を中心にみんなで戦術の理解度を高めるのが課題でそのためにはクリアランスのところビルドアップのところを重点的に我々はやっていく必要があると思っています。またディフェンス面もまだまだなのでチームとして組み上げる必要があります。創造性以外の部分のチームとしての決まりなどはプレシーズンのところでしっかりと固めていくことが今の課題だと思います。

編集部:どんな戦術をしようと思いますか?

井小路:戦術というか、「ゲームモデル」があり、それは昨年と全く違うわけではないですけれども今シーズンの新しいものを作っていて、ボランチをベースにゲームモデルができているのですが、いきなりボランチをやってもわからないと思うので、そのためには基本的な動きからフットサルと言うものを構築していかないといけないかなと思います。特に1年生が入ったらまず基礎から始めないといけません。

編集部:フットサル経験者が少ない分、基礎の動きの理解や言葉の理解必要ですね。

井小路:例年、1年生はセカンドチームから始めています。もちろん1年生からトップに入る子もいますが、そういった選手は、上級生のサポートに加えて、セカンド練習にも参加してもらって、ベースのところもやっています。セカンドチームの練習は朝練行っていて、基本的には分けてトレーニングをしています。もちろん両方参加する選手はいます。

編集部:トップ、セカンドとありながらもサポートする感じがよく伺えます。両チームに応援も行く感じですか?

井小路:セカンドのベンチに上級生が入って、指揮をとったり、応援にトップ選手がきたりもしています。チーム全体で強制ではないですが、参加してくれています。

編集部:いいチームワークですね。他には強化していることはありますか?

北 村:夏に関西遠征を企画していて、3年くらいから始まりました。関西の強豪と練習試合をして、夜はミーティングして、上級生が下級生に教えたりチームミーティングをしています。昨年は、リーグは調子良かったのですが、ちょっと浮かれていたのか、この遠征でボコボコに負けたのである意味引き締まる遠征でした。

チームの注目選手紹介!

編集部:他の地方だとまた、情報も少なかったりするので、いい練習になりそうですね!今年の注目選手を教えてください。

井小路:3年生、副主将の和田優人(No.14)です。左利きの選手で、個人としても関東の大学選抜に入るような選手です。昨年もチーム内で圧倒的な得点をとり、左足からのシュートとパスがいい選手です。結構細いのですが、なんでもできちゃうような選手です。

編集部:彼が噂の左利きですね?ちなみに将来の有望株はいますか?

井小路:No.20がユニークな選手で、2年生の城後大樹くんです。見た目から体が大きい選手で、シュートも両足で打てる選手です。ピボとしてもボールが収まる選手ですが、彼は、性格がとてもユニークな選手です。

北 村:一言で言うと天然というか面白いやつです。本人は東京出身なのですが、あたかも田舎と言うか山奥から出てきたようなやつです笑 

編集部:面白いですね。将来も楽しみです!チームのムードメーカーはいますか?

井小路:3年生の杉本将樹(No.99)です。プレー面で言うと、ピボの選手で彼もプレーは収まるような選手です。背負うプレーが得意ですが守備が得意ではないです。プレー外だとヘラヘラしているように見られるのですが、試合になれば熱い選手で、ムードメーカー的な存在です。

北 村:常に喋っていて、いろんな人にからむ明るいタイプです。

小 泉:コミュニケーションの面ではかなり助かっています。

北 村:同じポジションの城後などに指導もするし、他の選手に対してもボールの要求など主張してくれるのでコミュニケーションにおいてとてもチームは助かっています。

理念:「以和征技」

編集部:最後にアピールポイントをお願いします。

小 泉:チームには「以和征技」と言う理念があります。「和を以って、技を征する」と言う言葉になりますが、チームワーク、これまでの積み重ねで、自分たちよりも能力が上回る相手にも勝てるように行こうと言うコンセプトで戦っています。やはり東大ということもあり、個人能力では勝てない部分もありますが、戦術やフットサルに対する向き合い方で上回り、勝負に勝って行こうと言うことでやっているので、自分たちも努力し、新入生に対しても、能力で不安を抱えていても成長する環境があるので、強敵を倒して全国大会に行こうと言う声かけはしていきたいです。
やっぱり東大というとスポーツより勉学というイメージがあると思いますが、この東大がスポーツでも成績を残していきたいと思っています。

編集部:東大ということもあって、正直少し緊張していました!だけど話して、フットサルへの取り組みなど感銘を受けました。これからも期待しています!文武両道という最高点である東大の取り組み楽しみにしています!

遠征後の写真

[編集後記]
東京大学の学生というと正直、勉学のイメージが強かった。しかし、彼らのプレーは他大学も一目を置くような、戦術を持っている。文武両道の頂点を目指す彼ら。今後も彼らの戦術を具現化していくのを注目してもらいたい。

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