2019.11.07 Thu

Written by EDGE編集部

コラム

なぜ木暮賢一郎は「ボランチ講習会」をやったのか? 「日本ではボランチの本質的なところが理解されていない」

「何のためにやるか」を正しく理解する

--今、世界中のチームがボランチを取り入れているのはなぜなのでしょうか。

一つは、ボランチが守備の原理原則の逆を突く動きからです。フットサルではゾーン気味に守備をする時に「複数のラインを保つ」という原理原則があります。自陣方向に落ちる動きをした選手に対し、後ろにいる選手がついていくと前のラインに吸収されてしまいます。相手が落ちる動きについてこなければ、フリーでパスを受けることができます。

1発でゴールに行くことはできないけれども、少なくとも自陣で数的優位を作れる。自分がボランチを戦術に取り入れた一番のきっかけも、数的優位を作り続けるために有効だと考えたからです。それ以外にもボールを奥に入れる、ピヴォに入れやすくするという狙いもあります。

攻撃側にとって、相手の守備で一番厄介な存在は「逆アラ」です。ピヴォに入れたとしても、逆アラが挟み込んできたり、カバーリングをしてきたりする。それをどうやって取り除くかが重要です。ボランチによって、相手の守備バランスを崩すことで、ピヴォと(相手の)フィクソを1対1にするという効果もあります。

--木暮監督はボランチをチームに導入する上で、どんなところに気をつけていますか。

前から後ろに下がりながら横パスを受けた時、その選手は相手ゴールに体が向いていません。ゴールに背を向けてプレーするのは、得点を取る、前進するという、フットサルの原理原則からは外れています。相手は前を向いていない選手に対してプレスをかけてくるので、体の向きが悪い状態でパスを受けることを怖がる選手が多い。

ただ、後ろ向きでパスを受けたときに、どういうプレーをするのか、周りの選手はどう動くかをチームの中で整理してあげると、ボールを受けた選手は選択肢を持てます。僕自身、現役時代にブラジル代表やスペイン代表と戦った時に、プレッシャーが強くて後ろ向きで持たされて、どうすればよいのか困った経験があります。

後ろを向いてボールを持って、プレッシャーをかけられれば、多くの選手はGKへのバックパスをするか、外に蹴り出すしかありません。そこで選手任せにするのではなく、チーム全体として「こうやって回避しよう」というパターンを作ってあげる。そうすれば、後ろ向きでボールを受けるという、一般的にはネガティブなプレーが攻撃のスイッチになります。

--木暮監督がユースオリンピックでアンダー世代の女子日本代表にボランチを教えていたのを見たことがありますが、最初はかなりぎこちなっかったような印象があります。

なぜかというと、ボランチには選手たちが育っていく過程で「良くない」とされてきた動きが入っているからです。体の向きであったり、パスの出し方であったり。頭では教えられても、実際にやると違和感があるのでフリーズしてしまう。それはむしろ自然なことだと思います。

何度も言っていますが、大事なのは「何のためにやるのか」です。SNSの動画で見たから、面白そうだからと思って指導者がチームに取り入れたとします。もしかしたら何回かは成功するかもしれないけど、相手が対応してきたらできなくなってしまうし、チームのためにはなりません。

--今回の「ボランチ講習会」ではどのようなことを伝えたいと感じていますか。

ボランチが日本で導入するチームが増えている中で、僕の中で1回整理したものを伝えられたらと思っています。こういうオプションもあるよ、こういう練習メニューがあるよと。ただ、僕のやり方が全てではないですし、そこから何を感じて、どうやって落とし込むかは人それぞれです。このやり方は好きじゃないという人が聞いてみたとしても、新しい発見があるかもしれません。どちらにしても、何かしらのヒントになればうれしいです。

<関連リンク>
サッカー界でも大注目の最先端戦術「ボランチ」を徹底解説!木暮賢一郎監督によるフットサル指導者講習会が9月1日(日)に開催!

木暮賢一郎監督による「ボランチ戦術講座」はオンライン配信を行っています。フットサル界で一大ブームとなっている「ボランチ」をチームに正しく落とし込むためには? 12月31日まで公開期間延長中。3時間(全1回)の濃密な講習会を期間中は何度でも見ることができます。再配信の予定は現時点でありませんので、お申し込みください。

<関連リンク>
大好評だった全6回の集中型フットサル指導者講習会「木暮賢一郎フットサルアカデミー」の再配信が決定!

全6回の集中型フットサル講座「KOGURE FUTSAL ACADEMY」が11月1日より3カ月限定で再配信。プレーモデル構築、トレーニング設計、個人戦術やグループ戦術、システム攻撃、守備、攻守におけるトランジション、セットプレー、パワープレー、タイムアウト。まさしくフットサルの“全て”を学べる、究極のオンライン講習会となっている。

1 2

◀︎前の記事 トップ ▶︎次の記事