2019.05.12 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【futsalEDGEオピニオン】「最強の5人制フットボール」の本質は何か? Fリーグの打ち出した新戦略を考える

大事なのはFリーグの次のマーケティング戦略

「会いに行けるアイドル」や「お口の恋人」、「マチのホットステーション」、「100人乗っても大丈夫」、「そうだ、京都に行こう」、伊藤園の「自然が好きです。」など、キャッチコピーにも種類がある。必ずしもターゲットを明確にするものばかりではなく、扇情的なあおりだったり、心をくすぐるものだったり、人のアクションを促すものだったり、自社の立ち位置を明かすものだったり。

 今回の場合は例えば、ディズニーランドと一緒だ。

「夢と魔法の王国」。そう聞いたときに多くの人はディズニーを思い浮かべるだろう。それと同じようにFリーグは、「最強の5人制フットボール」と聞いたときに、「Fリーグ」を想起してもらうことを狙っている。ここで大事なのは、「フットサル」ではなく「Fリーグ」を思い浮かべてほしいというところだ。

 先に紹介したコラムにも記されていたが、フットサルを知っていてもFリーグを知らない人は多い。いつだったか、巷のフットサルコートでFリーグに関する取材をしたときでさえ、その場にいた20人のうち半数は存在すら知らなかった。だからこそ、「フットサルを知らない人に」ではなく、「Fリーグを知らない人に」Fリーグを知ってもらうというターゲティングが、今のFリーグには必要だったというのは間違いない。

 2年半前に、Fリーグにお客さんが入らない理由というコラムを書いたことがある。そこでも検証したが、Fリーグの観客動員数は減少の一途をたどっている。シュライカー大阪がリーグを初制覇した2016シーズンの翌年、レギュラーシーズン33試合の平均観客数はついに1000人を下回った(総入場者数197,828人÷33節198試合=999人)。名古屋オーシャンズが2年連続3冠を達成した昨シーズンはさらに、それが916人になった(181,405÷198)。事細かに現状分析するまでもなく、Fリーグは観客動員数を増やさないことに未来はないというのは明らかなのだ。

 そう考えたら、仮に長期的なゴールを「フットサルをメジャーにする」としたときに、短・中期的なゴールは「Fリーグにお客さんを増やす」という設定が妥当だろう(そこは例えば「ワールドカップで日本代表が優勝する」といった競技寄りの設定もありそうだが)。だから既存ではない人たちに、Fリーグをリーチさせていくこと、ターゲットをそこに定めることが重要になるのだ。

 さて、現状を分析して、ゴールを決めて、ターゲットは定めた。となると、次にやるべきことも明らかになる。つまり、どんな価値を、どうやって提供するのか、ということだ。

 今回のFリーグの新キャッチコピーに対して賛否両論があることも、そこに議論が生まれることも大歓迎だ。ただしそれは、本質的な話し合いでなければあまり意味を持たない。キャッチコピーそのものについてあれこれ言うのではなく、Fリーグの価値とは何なのか、そしてどうやってそれを、今までFリーグに触れたことがない人に届けるのかを考えるべきだということだ。

 13年目を迎えるFリーグはようやく、ビジネスを始めた。

 それは「フットサルを食い物にする」とかそういうことではなく、「フットサルをメジャーにする」という文脈の話。その先にあるのは、世界を舞台に戦える競技的な成長、発展であると同時に、多くの人の心を動かし、心を豊かにする興行的なエンターテイメントの成熟に他ならない。

「日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール」は果たして、どんな未来を描くのだろうか──。

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