2019.05.12 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【futsalEDGEオピニオン】「最強の5人制フットボール」の本質は何か? Fリーグの打ち出した新戦略を考える

「見る」フットサルを広げるという明確なメッセージ

 2018年にスタートしたフットサル全力応援メディアSALで、この新キャップチコピーに関するコラムが掲載されている。既存のフットサルファンの間で、「5人制フットボール」に対する賛否両論があるが、フットサルをメジャースポーツにしていくために必要なフェーズであり、Fリーグはこのコピーを出すことで新しい一歩を踏み出したのだという内容だ。そこには、肯定派も否定派も含めて、議論をしていくことが大事だというメッセージも含まれているが、基本的な立ち位置としては、〝否定派〟を古い体質としている。

 そしてもう一つ、何より大事なのは、コピーを打ち出したFリーグの今後の施策であり、どうやってフットサルを広めて、Fリーグの試合会場に足を運んでもらえるようにするのか、ということなのだと。

 この意見は間違いなく、ポジティブなものだ。日本フットサルの「今」をスタートにして、前を見て進んでいこういうことは、誰がどう考えてもそうしなければいけないアクションのはずである。

 ではなぜ、否定派が生まれるのだろうか。もう少し踏み込んで考えてみたい。

「フットサル派」とされるのは既存の関係者、ファン・サポーターであり、「フットサルはフットサルだ、サッカーとは違う」というプライドのもとにこの業界に足を踏み入れてきた人たち。だから彼らは、キャッチコピーに対して「フットサルのプライドはないのか」と嘆くのだろう。心情的には理解できる。

 同時に「フットサルはすでに市民権を得ている」という考え方もある。今でこそ競技人口の衰退が叫ばれ、その数はピークの数百万の3分の1程度になってしまったとされているが、全国各地に民間、公共施設があり、日夜フットサルはプレーされている。「蹴る」フットサルは確実に、認知されているだろう。

 だから今さら、「『フットサル』を『5人制フットボール』と言わなくてもわかる」という指摘も、非常に的を得ている。しかし、考えるべきはそこではない。今回のキャッチコピーの本質は、日本の「フットサル」についての議論ではなく「Fリーグ」のマーケティングにあるからだ。どうしても「5人制フットボール」に話が言ってしまいがちだが、実は先に触れた「『Fリーグの認知拡大』のため、Fリーグを日本フットサルリーグと表記しました」という説明に、今回のキャッチコピーの狙いがすべて語られている。

 つまり市民権を得ていない「見る」フットサルを広げる、という明確なメッセージだ。

 キャッチコピーを決めるということは、もちろんFリーグを明確に伝える宣伝の意味だが、マーケティングでいえばターゲットを定めるということでもある。今回、Fリーグは明確に既存ファンではないところにターゲットを定めた。彼らが何度も目指していたものをようやく、言葉にして立場を明らかにしたのだ。

 Jリーグといえば、もちろんサッカー、Vリーグといえばバレーボール、Bリーグといえばバスケットボール、最近ではTリーグといえば卓球。ではFリーグといえば……? そもそも、「日本フットサルリーグ」を認知してもらおうというところに立ち戻ってきたことが、新キャッチコピーの始まりなのだ。

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大事なのはFリーグの次のマーケティング戦略

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