2019.05.12 Sun

Written by EDGE編集部

Fリーグ

【futsalEDGEオピニオン】「最強の5人制フットボール」の本質は何か? Fリーグの打ち出した新戦略を考える

写真:本田好伸

Fリーグは5月9日、13年目の開幕を前にキックオフカンファレンスを実施。ディビジョン1の12チーム、ディビジョン2の8チームの計20チームによる新シーズンに向けて新しいキャッチコピーを発表した。「日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール」。「フットサル」を「フットボール」と表現したことに賛否が生まれ、SNSを中心にネガティブな意見も多い。これまであまりなかった議論という意味では前向きだが、そもそも語り合うべき議論とはズレているようでもある。Fリーグが新たに打ち出した「最強の5人制フットボール」とは、何を示しているのか。その本質にあるメッセージを考えていく。
(文・本田好伸)

フットサルはそもそも「5人制フットボール」

 Fリーグがついに「フットサル」を捨てた。非常にポジティブな意味で、だ。

 Fリーグは5月9日、キックオフカンファレンスで新シーズンのキャッチコピーを発表。官房長官が新元号を発表するように、FリーグCOO代行の福村景樹氏が「最強の5人制フットボール」のボードを掲げた。

 正確なキャッチコピーは「日本フットサルリーグ 最強の5人制フットボール」であり、「フットサル」とも明記してある。Fリーグはこのフレーズに込めた思いをこう説明する。

「フットサルを全ての人が理解できるよう『5人制フットボール』と表現し、『Fリーグの認知拡大』のため、Fリーグを日本フットサルリーグと表記しました」

 今シーズンから、企業の経営サポートをする「アビームコンサルティング」がオフィシャルパートナーに加わった影響も大きく、Fリーグとしてはある意味で、一大決心したのだろう。ただ、よくよく考えていけば、どうしてこれまでこの表現を使わなかったのか疑問に思うほど、当然の流れだと言える。

 例えば、五輪種目のストリートバスケットボール「3×3 バスケットボール(スリー・エックス・スリー)」が「3人制バスケ」と言われる感覚に近い。オリンピック種目ではあるが、日本での知名度が高いとは言えない。トップリーグも開催されているが、3人制バスケの名称は「スリー・バイ・スリー」や「スリー・オン・スリー」とも言われる。つまり「スリー・エックス・スリー」はあまり浸透していないのだ。

 この種目は、国内のバスケットボール人口の拡大を明確に狙った新カテゴリーであるため、公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)の傘下にある。人数やコートサイズ、試合時間など、細かいルールは〝5人制〟とは違うものの、「ボールを相手ゴールに入れて得点を競う」という点では同じだ。〝3人制〟は間違いなく「バスケ」の一つであり、「3人制バスケットボール」の表現は的確だろう。

「フットサル」とはそもそも「室内サッカー」が前身だ。南米では「サロン・フットボール」、欧州では「インドアサッカー」と呼ばれてきた歴史がある。組織的な背景でいえば、1971年にブラジルで創設された国際フットサル連盟(FIFUSA)が長い間フットサルの世界大会などを開催してきたが、国際サッカー連盟(FIFA)の傘下に下ることを拒み続けていた。しかし、時代の流れに飲み込まれるようにフットサルはFIFAに取り込まれるようになり、世界大会は1989年、ついにFIFAが管轄する「ワールドカップ」となった。弱体化したFIFUSAは2004年に消滅してしまうが、その活動は2002年から世界フットサル協会(AMF)が引き継ぎ、実は今でも、AMFによる世界大会が、W杯と同じように行われている。

 日本に限らず、世界中でよくある話だろう。小さな組織やマイノリティは、より大きな組織に取り込まれて形を変えていく。それが衰退なのか発展なのかはまた別の話ではあるが。日本で始まったBリーグも2つのバスケットボール団体の対立構造が根本にあり、共存、さらなる発展の形を検討した上で、ポジティブな組織として生まれ変わったもの。その過程では間違いなく、多くの軋轢が生じたことだろう。

 話を日本フットサルに戻すと、日本に最初に入ってきたのはサロン・フットボールとされており、それがフットサルとしてプレーされていくようになったが、長い間それは「室内サッカー」の延長だった。「ボールを相手ゴールに入れて得点を競う」という点で、サッカーもフットサルも異なるものではない。広い意味でずっと「フットボール」の一つとして、多くの人に楽しまれてきたものなのだ。

 だから「5人制フットボール」とは、そもそもがフットサルを的確に表現するフレーズに他ならない。

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「見る」フットサルを広げるという明確なメッセージ

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