2018.12.14 Fri

Written by EDGE編集部

Fリーグ

人気投票、おひねり、ライブ配信……。Fリーグに新風を吹き込むY.S.C.C横浜の企画力。

仕掛け人はIT経営者の顔を持つGM

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 新しいチャレンジを行うクラブを牽引しているのがGMを務める渡邉瞬だ。企業のオフィスへ野菜を配達するサービスを展開する「OFFICE DE YASAI」の取締役の顔を持つ、35歳は言う。

「また行きたいな、楽しいなと思ってもらえるようにやっています。フットサルもビジネスも、サービスを作ってお客さんに喜んでもらうところは共通しています」

 もともと、渡邉は神奈川県リーグのNUファンターズでプレーしていた。NUファンターズは2013年にY.S.C.C.横浜のフットサル部門と合併。監督を経て、Fリーグ参入にあたって、GMに就任した。 

 渡邉が常に意識しているのは「ユーザー目線」だ。プレー中にも関わらずMCがしゃべる、DJが音楽を流すという演出には一部から「試合を真剣に見たい」という批判が寄せられることもある。そうした声は理解できる一方で、今は“雑音”が必要だとも考えている。

「僕自身、フットサルが好きなので試合を見ていても飽きないんですけど、あまり見たことがない人に聞くと、試合をずっと見ていると飽きる、疲れるというんです。大事なのは、初めて来た人に楽しかった、また来たいと思ってもらうこと。そうしないと、広がりが生まれず、好きな人だけのものになってしまう」

 試合を盛り上げる“演出”はピッチの外にとどまらない。ピッチの中、つまりプレーの中身についても、監督や選手と「どうやって楽しませるか」を意見交換している。 

 9月29日に行われた7節のデウソン神戸戦で象徴的なシーンがあった。試合終盤、2-0とリードしているY.S.C.C.横浜がパワープレーをしたのだ。GKをFP(フィールドプレーヤー)にしてゴールをガラ空きにして5人で攻めるパワープレーは、通常、リードされたチームがリスクをかけて点を取りに行くためのものだ。ただ、Y.S.C.C.横浜の考えは違う。 

「2-0でリードしていて、試合がまったりしていたので、パワープレーをやって盛り上げようと。お客さんも、フットサルならではのものを見たいと思うんです。勝敗はもちろん大事なんですけど、エンターテインメントとして楽しんでもらう。監督ともそこは徹底的に話しています」

 そうしたファンを盛り上げる仕掛けはポジティブに作用している。元日本代表の稲葉洸太郎は昨シーズンまでF1のフウガドールすみだでプレーしていたが、怪我の影響もあって退団。次のクラブを探していたところ、渡邉から熱烈なオファーをもらった。

「渡邉さんから、チームのビジョンとか、どんなことを仕掛けようとしているのかを聞いて、ちょっと面白そうだなと。大げさかもしれませんが、自分は『現状をぶち壊したい』というタイプ。このチームだったら新しい風を吹かせられるんじゃないかと思ったんです」

 日本代表としてフットサルW杯で日本人選手最多得点記録を持つレジェンドの表情は実に楽しそうだ。

「他のアリーナとは違うというか、すごく雰囲気がいい。ブラジルの体育館のような一体感があって、プレーしていても楽しいです。ウチは攻撃にしても守備にしてもアグレッシブにやるというのがあって、それはこのアリーナに引き出してもらっているところもある」

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JリーグとFリーグの「兄弟ダービー」

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