2018.10.03 Wed

Written by EDGE編集部

コラム

フットサルがついに五輪種目へ。世界が熱望した舞台で、木暮ジャパンが戦う意味とは?

五輪でフットサルの爪痕を残せるか

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 しかし、この“棚ぼた”はポジティブな側面しかない。もともと、考えてもいなかった五輪に出られるのだから当然だろう。残念ながら男子は、今年2月のアジア選手権で出場権をつかむことができなかったが、女子が5月のアジア選手権で準優勝したことで、日本も明るい話題に触れる機会を得たのだ。

 東京五輪では、17日間で33競技339種目が開催される。一方でユース五輪は10月6日〜18日の12日間で32競技241種目とやや少ないが、大規模な国際大会であることに違いはない。当たり前だが、U-18女子代表チームも「選手村」に入って、他競技の選手と交流を持ち、互いに日の丸を背負う仲間としてエールを交換して戦いに挑む。フットサルを広くアピールできる絶好の機会であることは間違いないだろう。

「選手には『メダルを獲ろう』ということは一言も伝えていないです。ただ大事なことは、フットサルという競技がオリンピック競技になってほしい、日本だけではなく、そういう努力をしている方や世界のフットサル関係者、選手であったりは、そういう思いで活動していると思いますし、自分もその一人だと思っています。(中略)。日本の他の競技は大人でもオリンピック種目にありますが、フットサルにはありません。女子フットサルチームが、結果だけでなく、取り組む姿勢や当たり前の挨拶、雰囲気など、日本選手団の中で一番いいチームだったと、普段からオリンピックの戦場で戦っている人たちに思われるような、そういうチームを作りたい」

 チームを率いる木暮賢一郎監督は、ユース五輪での目標をそう話した。たしかに、今回のメンバーでフル代表経験者は山川里佳子(福井丸岡RUCK)だけであり、日頃からフットサルに特化してプレーしていない選手もいる中では、「日本代表」とはいえ結果だけを求めるのは酷だろう。

 だからせめて、フットサルの爪痕を残してきてほしいというのが、せめてもの期待だ。

 他競技を「ライバル」と表現することには抵抗もあるが、五輪種目にはオリンピック憲章に基づいた出場資格の認定があり、フットサルがその座を狙うライバル競技は、想像以上に多い。

 東京五輪で正式種目化を手にした5つの競技のうち、スケートボードやスポーツクライミング、サーフィン、それに追加種別の3×3バスケットボールや自転車BMXフリースタイルなどはおそらく、マイナー競技といっても差し支えないだろう。それ以前に、日本がIOCに提案するための5競技を話し合う段階の1次選考、2次選考には、エアスポーツ、ペタンク、ブリッジ、ネットボール、水中スポーツ……などなど、聞きなれない、もしくは聞いたことがあっても競技内容をあまり知らないものがいくつも入っていた。

 つまりこうした競技を差し置くためには、国内外へのセンセーショナルを起こすようなインパクトが必要だろう。それは決して簡単なことではない。しかし逆に、U-18女子代表の選手たちがフットサルを広くアピールすることに成功すれば、この先の五輪種目の定着が、いよいよ現実味を帯びてくるかもしれない。

 2007年、第1回アジアインドア・マーシャルアーツゲームズに出場するために初めて、フットサル日本女子代表が結成された。しかしそれ以前、まだ「女子代表」の姿形がない頃から、女子フットサルの先駆者たちは代表入りを目指してきた。時を経て、国内では女子Fリーグが始まり、アジアで女子選手権が整備され、女子ワールドカップはまだ開催されていないが、今回、U-18年代がユース五輪に出場する。

 あの頃は考えられなかったようなステージまで、フットサルはやってきたのだ。

 この先、フットサルが本当の意味で五輪の仲間入りできるのか。今はまだ何もわからない。ただし、一つのきっかけとしては十分なほど、U-18女子代表が挑む晴れ舞台には、夢と希望が詰まっている──。

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