2018.10.01 Mon

Written by EDGE編集部

女子

ユース五輪に出場するU-18女子代表がTMで善戦「いい準備ができれば結果は後からついてくる」(木暮賢一郎監督)

10月7日からアルゼンチン・ブエノスアイレスで始まる第3回ユースオリンピック競技大会に出場するU-18フットサル日本女子代表は28日に国内合宿を開始。29日に、ミズノフットサルプラザ味の素スタジアムで関東女子選抜とトレーニングマッチを行うと、フル代表のメンバーも名を連ねる相手に3-6と善戦した。代表チームを率いる木暮賢一郎監督は「選手はオリンピックの舞台に立てることを楽しんでほしい」と話した。
(取材 本田好伸)

フル代表クラスの選手を相手に堂々の戦い

 第3回ユースオリンピック競技大会に出場するU-18フットサル日本女子代表、通称「ヤングなでしこ5」は28日に国内合宿をスタートすると、29日にミズノフットサルプラザ味の素スタジアムで関東女子選抜とトレーニングマッチを実施。チーム結成後、初めての実戦だけに手探りの試合になると思われたが、20分ハーフの前後半の試合の中で、彼女たちは明らかな成長を見せていた。

 相手の関東女子選抜は、先日のポルトガル遠征に参加した藤田実桜(府中アスレティックFCプリメイラ)、江川涼(バルドラール浦安ラス・ボニータス)、縄田三佳(府中アスレティックFCプリメイラ)、それに、勝俣里穂(フウガドールすみだレディース)など代表歴のある選手たちが12名。木暮賢一郎監督が事前に想定したという3つのセットの質は高く、女子フットサル最高レベルと言っても過言ではなかった。

 前半はやはり、その関東女子選抜に押し込まれて4失点。守備システムもままならない中でハーフで守備対応していたが、“木暮仕込み”のシステマチックな戦術に翻弄されてなすすべなくやられてしまった。

 しかし後半、ハーフタイムで木暮監督の的確な指示を受けたU-18女子代表は、徐々に勢いを増していく。0-5とされて迎えた32分、右サイドのキックインから前田海羽(福井丸岡RUCK)が代表チームの初ゴールを奪うと、34分には流経大メニーナ龍ケ崎で女子Fリーグにも参戦する宮本麻衣(京都精華学園高)が左からのカットインシュートを突き刺す。その後、1点を返されたU-18女子代表は40分、左サイドでターンから相手をかわした安部美楽乃(十文字高)が強烈な左足シュートをニア上に突き刺して3-6とした。

 試合はそのままタイムアップを迎えたが、後半は3-2と相手を圧倒するなど真骨頂を発揮した。

 U-18女子代表は2日にアルゼンチンの選手村に入った後、8日のカメルーン代表とのグループステージに向けてトレーニングを続ける。以下、試合後の木暮監督の取材インタビュー。

日本選手団の中で一番いいチームを作りたい

木暮賢一郎監督(U-18フットサル日本女子代表監督)
──2日間のトレーニングを経てのトレーニングマッチでした。率直な感想は?
すごくいい試みだったと思っています。自分自身もこういうところ(民間施設のミズノフットサルプラザ味の素スタジアム)でやるのは久しぶりですが、お客さんも来てくれて、女子フットサルの面白さが伝わったのではないかと感じています。

ゲームは2軸あって、一つは女子代表全体の強化の一環として、自分が関東女子選抜の選手を選んで、選手にも「強化の一環である」という話をしました。そしてユースの選手にとっては、初めてのゲームが強い相手だったのではないかなと。おそらく、スペインやポルトガルのU-19女子代表より強い相手……でないと困りますし。そういう意味では、2日という短い中でもユースオリンピックの相手と比較しても、個の能力、フィジカル的にも一番上に来るであろうという相手とやれたこと、そしてお客さんもいるといった中で、すごくポジティブなゲームだったと思っています。

相手の選手たち、見に来てくれたお客さん、セッティングしてくれた方々に感謝したいです。内容としてはもともとポジティブなものしかないですし、いきなり(選手たちを)飛躍させられるマジシャンみたいな監督は存在しません。日々のトレーニングやプロジェクト、プランニングが大事だと思っています。今日はゴールではなく通過点という意味では、いいところも悪いところも、通じたところも通じなかったところも、これをもとに改善していくことが大切だと思っています。

──U-18を率いるのは初めてだと思いますが、どのようなチーム作りするのでしょうか?
U-18の上にはフル代表があります。監督が同じということは、同じプレーモデルでU-18からフル代表への流れを作ることが一番です。その中で、頭の中に入る容量や、日常で戦術的なことをやっているかどうかというものもあるので、当然、フル代表と比べれば変化はあります。ですが、基本となる大枠のモデルは一緒です。自分が女子監督を引き受けた時に、ユース五輪があることは知っていましたし、大きなプロジェクトで言えば、ユース五輪への出場から逆算して、(木暮監督が指揮を執った)トリムカップ(全国選抜フットサル大会)で戦った日本女子選抜のメンバーも2人呼んでいます。

そこでも触れることができていますし、JFAフットサルタレントキャラバンでは、丸岡や富山のLaufen(ラオフェン)には事前に行っていますので、全体的には、自分と一緒にトレーニングしたことのある10人を選んでいます。まだ2日目ですが、全くのゼロからではなく、今日のゲームを含めてもいい種まきと言いますか、やれる範囲の中ではいい準備ができたのではないかなと思っています。

──ユース五輪では、対戦相手を分析する機会も少ないと思いますが、どこに目標を据えて、選手にはどのように選手に伝えていますか?
選手には「メダルを獲ろう」ということは一言も伝えていないです。ただ大事なことは、フットサルという競技がオリンピック競技になってほしい、日本だけではなく、そういう努力をしている方や世界のフットサル関係者、選手であったりは、そういう思いで活動していると思いますし、自分もその一人だと思っています。

「ユース」というものは付いていますが、初めてオリンピックという名の付く大会でフットサルが種目となり、そこに行けるのは素晴らしいことだと思います。代表チームであれば結果が求められるものではありますが、まだ2日しかトレーニングしていない彼女たちに「金メダル獲ろう」と言うつもりは全くありません。

ただし成長できる場ですし、まずは個人として、一人のアスリートとして成長してほしい。そして代表チームとして成長してほしいという3点を選手に伝えました。もちろん成長の中には結果も含まれていますが、しっかりとした準備が最大限できれば、後からいいものが付いてくるという期待を持っています。選手には何もプレッシャーを掛けるつもりはないですし、いい意味でそういった舞台に立てることを楽しんでほしいです。

日本の他の競技は大人でもオリンピック種目にありますが、フットサルにはありません。女子フットサルチームが、結果だけでなく、取り組む姿勢や当たり前の挨拶、雰囲気など、日本選手団の中で一番いいチームだったと、普段からオリンピックの戦場で戦っている人たちに思われるような、そういうチームを作りたいなと。そういうチームを作れたら、当然、いいものも付いてくるだろうなと思っています。

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「後退することなく、常に向上していこう」という約束事

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