2018.04.20 Fri

Written by EDGE編集部

インタビュー

「女子フットサル界の風向きを変えたい」。なでしこファイブ・木暮賢一郎新監督による1時間の“決意表明”。

写真:本田好伸

フットサル日本女子代表は、5月2日に開幕する第2回AFC女子フットサル選手権タイ2018に向けて、25日から国内合宿をスタートする。14名のメンバーを発表した木暮賢一郎監督は、16日の記者会見で、1時間弱に渡って記者の質疑応答と囲み取材に応じた。そこで語られたのは、選手の選考基準や女子フットサルの現状、その上でこの業界がどんな道筋をたどっていくべきなのかといった、示唆に富んだものだった。
(取材・文 本田好伸)

走れて、強いボールが蹴れて、球際で戦えるか

木暮賢一郎監督(フットサル女子日本代表監督)

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 就任から3カ月は、アジア選手権で優勝するためのメンバー選考に費やしました。過去の映像、大会や練習視察、JFAタレントキャラバンで選手と触れ合いましたし、トリムカップで若い選手を集めた日本選抜を率いる中で、まずはラージリストの25名を選びました。

 各個人のフィジカルコンディションは重要なので、25名には下地達朗コーチと組んだメニューを渡して『可能な範囲で取り組んでほしい』と伝えていました。アマチュアなのでできるできないはありますが、少しでも良い状態で合宿に来てもらう必要がありました。

 女子フットサルはアマチュアであるという背景もあり、25名の中には都合がつかない選手や怪我をしている選手もいました。そこから14名のベストメンバーを選びました。アジアチャンピオンになるという強い意志を持って14名とスタッフの力を合わせていきます。

 都合がつかない選手の中には仕事が理由の場合もあります。そうした環境が現実にありますが、ネガティブに捉えるのではなくこの環境や世間への認知を広めるチャンスだと思っています。今大会で何としても優勝して、女子フットサル界の風向きを変えたいです。

 選手のメンタリティーやフットサルのプレーモデルは、過去、現在、未来とつながっていくもの。そうした意味でも、現在から未来へつなげていく女子フットサル界の重要なチャレンジです。男子と同様に、女子も過去から現在にかけて良くなっていると思います。

 選考基準の一つは、過去にアジアのタイトルを獲得した経験です。恵まれない環境でも当時の監督や選手は『アジアの頂点に立つ』という強い気持ち、覚悟を持って成し遂げました。そこは僕も知らない部分なので、そういう時代を知る選手は必要だと考えました

 もう一つは、数年のスパンで、今も良いパフォーマンスをしている選手です。過去にアジアで3連覇していた時代から、この数年は何度もタイトルを逃して悔しい経験も多かったはずです。その中でもパフォーマンスを発揮している、年齢的にも一番良い世代です。

 最後は、若い世代の選手。良いフットサルを見せるというゴールは、大会期間中に完成することは難しい。ただ2020年にもアジア選手権があり、その間に国際大会があるかもしれない中で世界レベルを意識しないといけない。未来につながるグループを考えました。

 国内に圧倒的に足りないのはピヴォ。このフットサルの基礎の基礎を体現するチームは多くないですが、もしかしたら女子にはこの戦術が適していないのかもしれません。ただフットサルはフットサル。ピヴォが足りないと感じているので積極的に見て回りました。

 走れて、強いボールが蹴れて、球際で戦えるかはしっかり見ました。『フィジカル』という言葉が適しているとは思わないですが、国際舞台で戦える高い競争力が必要です。その上で、今大会において個人のタレントで主導権を握れるかどうかも基準の一つでした。

 プレーモデルの習得スピードは選手それぞれで異なります。男子でもそうですが、理解力が高く、言ったことをすぐにできる選手もいますし、逆に時間が掛かる選手もいます。その習得を1秒でも早めるのは監督の責任だと思っていますが、特に心配はしていません。

 あとはゴールを奪えるか、勝者のメンタリティーがあるかどうかも大切です。直近の大会で優勝していることも選考の際に考慮しました。また、若い選手にはそういったものを植え付けていく。そういったグループ作りをイメージして選手を選ばせてもらいました。

 25名から14名への絞り込みは、セットの組み合わせも考えました。同一チームのアドバンテージは生かしたい。2012年のW杯で優勝した男子ブラジル代表もそうでした。日本代表のプレーモデルもありますがクラブのスタイルも立ち返る場所としては強みになります。

 女子フットサルでは馴染みの少ないパワープレーや、左利きの選手など、本当に様々な角度からシミュレーションしました。僕はまず、対戦相手や他国の分析以上に、自国の研究から始めました。そうしたことを踏まえて、バランスを見て選んだのがこの14名です。

 全日本選手権優勝の丸岡ラックから選んでいませんが、高尾茜利は負傷です。ラージリストには入っていますがドクターとも協議をしながら決めました。北川夏奈は25名にも入っていません。この競技には(学業や仕事など)考慮しないといけない事情もあります。

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日本代表を率いる上で男子も女子もない

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