2018.03.16 Fri

Written by EDGE編集部

コラム

全日本選手権MVPの名古屋・星龍太。「黒歴史になるんじゃないか……」。主将の重責を背負い続けた2年間。

誰よりも、勝つことを考え続けた2年間だった

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「自分がキャプテンになった時にはもう、厳しいシーズンになることは分かっていた。だからみんなにも『気合いを入れないと(10連覇は)無理だぞ』と話していた。でも、どんどん厳しい想定の通りになってしまって、気持ちもふさがっていった。2年目の今シーズンも、負けていたらそれこそクラブの“黒歴史”になってしまうし、自分はキャプテンを降ろされるだろうし、それに、クビになっていただろうし……」

 先輩たちが成し遂げた偉大な功績と、プロチームなら勝って当然という周りの空気は、プレッシャーとして重くのしかかった。

「僕らは1番でないといけない。だから頑張ることも当たり前だし、それ以上のことをやらないといけない。誰よりも、勝つことを考え続けた2年間だった」。

 元来は言葉で引っ張るタイプではないが、そんなことは言っていられない。積極的にコミュニケーションをとって、チームの雰囲気作りに心を砕いた。

「今年のチームは、本当に家族のような関係性だった。名古屋はプロチームなので“仕事”として捉え方をすることが普通だけど、それを超えたものになった。プレーもそれ以外でも言いたいことを言い合えるし、一緒に過ごしていることがすごく楽でしたね」

 キャプテンのピッチ内外での献身がなければ、名古屋の3冠は実現できなかっただろう。

 Fリーグ優勝を決めた瞬間、星はピッチの上で泣き崩れた。「どこかで昨シーズンのように崩れてしまうかもしれない怖さがあった」と、常に張り詰めた空気の中でプレーしていた男に、ようやく訪れた安堵の瞬間だった。

「自分で思っていた以上に涙が出た。プレッシャーもあったし、肩の荷が下りたような感覚もあったし、嬉しさだけじゃなくて、感情が爆発した感じで崩れ落ちてしまった」。

 全日本選手権で優勝した星に、もう涙はなかった。誰よりも苦しんだ男は、シーズンの最後に誰よりも清々しい表情を見せていた。

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